【4月組織づくりテーマ】離職防止
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4月の組織づくりテーマは「離職防止」です。
組織で、社員の本音を引き出し、
働きつづけたいと思える環境づくりのためには
何が必要なのか。
そこで、弊社ソリューションでお客様先や社内で
若手の離職防止の環境づくりをしている、
大阪拠点長の中村さんにインタビューをしました。
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大阪拠点長:中村 信滋さん
Q:お客様と関わる中で、「若手の早期離職とその防止について」のエピソードがあれば教えてください。
とある小売業の中小企業様で、離職が頻繁に起こっている状態からのご支援を担当させていただきました。社長も離職に対し危機感を持っていましたが理由がわからず、困っている状況でした。
そして離職が多かった原因は
・部署同士が対立している
・社内がぴりついているので居場所がない
・売上のことばかり言われるのがつらい
ということでした。
部署同士の対立や社内がぴりついている理由は、社長の考えや想いが社員様に伝わらず、とにかく売上を伸ばすことが優先されていたからです。そのため、まず社長自身が大切にしたい価値観である経営理念や、会社の方向性を明確に示したミッション、ビジョンの構築から行いました。
しかし方向性は見つかったものの、社内の雰囲気は一気に変わるわけではありませんでした。そこでポイントとなったのは理念発表会や社員総会でした。理念発表会や社員総会での管理職の方の姿が、会社に大きな影響を与えたのです。今までバラバラだった管理職の方々が協力して1つのものを作り上げる姿を見て、自分たちのためにこんなに動いてくれた!と社員様が感動し、愛社精神が生まれました。その結果、頻繁に起こっていた離職は止まり、温かい空気で包まれる会社となりました。
若手社員の離職は若手社員に原因があるように思われますが、実際は周囲の環境も大きく影響を与えます。若手社員は敏感に周りの環境を察知するのです。若手社員の考えを変える、というより【幹部や管理職が変わる】ということが大切です。
Q:お客様が最近の若手の考えがわからない、伝わっていないと困っていた場面ついて教えてください。
中小企業の管理職というと40代以上の方が多いと思いますが、若手社員と関わること自体に苦手意識持っているように思います。「自分が若手の頃と今の若手の考え方は違う」ということは分かっているのですが、【どう関わればいいか分からない】と多くの方が悩んでいらっしゃいます。そのため急に距離を詰めてしまい、若手社員から距離を取られるという状況に陥ることが多く、その結果若手と関わらなくなるのは一番避けたい状況です。
ここで一番重要なのは若手との関わり方というよりも【自分がどう見えているのか】ということです。若手は変化に気づきやすいのはもちろん、理由もなく怒りや焦りなどの感情をぶつけられるとトラウマになり、心が離れてしまいます。そうならないためにも、上司自らが楽しんで仕事をしている姿を見せたり、若手が自分のことをちゃんと見てくれている、と伝わるような行動が必要です。
Q:若手の考えがわからない、伝わらないときに上司が何に気を付けて、どのように行動すべきと考えますか?
よく「人を育てるためには 褒めないと(叱らないと)いけないよね」とおっしゃる人がいますが、そういうわけでもありません。今まであまり関わってこなかった上司に、急に褒められたり叱られたりしても「管理職の方に言われて仕方なくやっているのかな、、、」 「機嫌をとろうとしているのかな、、、」と、部下によっては不信感を抱いてしまうことがあります。
褒めたり、叱ったりして成長するには【承認の土台】を作ることが必要なのです。部下に「あなたのことをちゃんと見ているよ」ということが伝わらなければ、上司がどんな関わり方をしても部下は警戒してしまいます。まずは部下の行動、結果、存在を【承認】し、それを伝えることで土台づくりをします。その後褒めたり、叱ったりすることできちんと部下に想いが届くようになります。
Q:部下の違和感に気づくための環境はどのようなものだと思いますか?
先ほど申しあげた、【承認の土台】を作るべきだと思います。【承認】するためにはまず、部下の考えや行動を理解することが必要です。見張るという意味ではなく、相手に「いつも見てくれている」と思ってもらうためのものです。しかし、これは関わる上司1人だけでは出来ません。1人でやっていると、部下が自分の目の届くところにいなければ、なにも分からないからです。そのために「協力者」をつくることが重要です。なるべく自分や部下と業務上関わりの少ない人が良いでしょう。部下は直属の上司に本音をあまり言わないのです。
アニメのちびまる子ちゃんが良い例です。ドジなまる子はお母さんやお姉ちゃんによく怒られ、お父さんはあまりまる子に関わりません。そんな中でまる子を支えているのは友蔵という存在です。普通、周りの人から厳しく言われたり無関心だったりすると、居場所がないと感じます。しかし友蔵という自分の話を聞いてくれる存在がいることで、まる子はのびのび生活することが出来ています。この友蔵のような存在をつくり、部下が本音を言える場所を作ることが重要です。
また友蔵役の「協力者」に対しても、連携をとり、密に情報を共有してもらう必要があります。ただ部下の行動を共有してもらうだけでなく、こんな表情をしていたなど感情も伝えてもらいます。より多くの情報を共有をしてもらうことで部下のことを深く理解でき、適切なタイミングで声を掛けてあげることができます。すると部下は「自分のことをよく見てくれている」と感じるのです。こうして【承認の土台】を作っていきます。
Q:辞めたいと思っている部下に対し、どう接するべきだと思いますか?
まず、辞めたい理由が会社のことが好きだけど辞めたいのか、嫌いだから辞めたいのかをキチンと聞くことですね。もし会社が嫌いなのであれば仕方がないと思います。
しかし、会社が好きだけど辞めたいということであれば、この「だけど」という部分の理由を聴いてあげてください。上司もしくは会社の仕組みが原因の可能性があります。時間はかかると思いますがその改善に取り組み、もっと言えば一緒に改善していくことが必要です。
そうすることで辞めたいという気持ちが徐々に変わっていくように思います。
Q:若手が辞めることなく活躍することで、組織にどのような変化を与えると思いますか?
まず、若手が働くメリットとして、若手のほうが物覚えがよく、吸収する力を持っていることが挙げられます。そのため成長させてあげることができたら、会社での中心人物になる可能性が高いと思います。
また、先ほどの「協力者」から部下の様子を聞くだけでなく、【上司に対するフィードバック】があると会社の成長を促進する大きなポイントになります。マネジメントする立場になるとフィードバックをもらう機会がほとんどなくなり、客観的な視点を見落としがちです。しかしフィードバックをもらうことでその視点が補われ、さらにいろんな角度から物事を捉えることが出来ます。また自分の足りない部分に気づくことが出来るので、上司自身が成長することができ、その上司についていく部下も成長し、、、と成長の連鎖が生まれます。つまり若手の存在自体が会社の成長を促すのです。