「成長実感がない」と嘆く、若手の特徴【情熱社長倶楽部】VOL.164
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【今週のご相談内容】
若手の離職に悩んでいます。
新卒3年目以下の社員が多く、その理由を聴いていくと
「働いていて成長実感が得られない」と口にしています。
私からすれば、社会のことを何も知らない状態で
入社しているのであれば
“できない”ものが多いことが前提ですし、
うちは製造業なので、技術を覚えることが必要であり、
成長実感をすぐに得ることは難しいです。
だからこそ、そんな難しい成長実感を追うことそのものに
面白さを感じてほしいと思っているのですが・・・
最近の若者はそのようにはいかないようです。
この、若いうちからの「成長実感」を感じてもらうためには、
どのような環境をつくったらよいでしょうか。
やはり、うちのような業種であれば難しいのでしょうか。
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【今週の回答】
担当:大阪拠点 責任者 中村 信滋
ご質問いただきありがとうございます。
大阪で責任者をしております、中村が回答いたします。
一言に「成長」といっても、
報酬の向上を成長と捉える方もいれば、
生産性の向上を成長と捉える方もいます。
そして、これは私がクライアント様から
相談をいただくことで感じることですが、
「成長実感がない」と言う若手社員の特徴のひとつに、
【自分の中に、成長を測る物差しを持てていない】
ことがあるのではということです。
また同時に、育成する立場である会社側も
社内において、何を実現すれば
成長実感を得ることができるのかが曖昧なまま、
または、その“成長実感の物差し”を
個人の判断に委ねたまま、
若手育成をしているケースが多いことも感じています。
個人の判断に委ねてしまえば、
「育成担当によって言っていることが違う」といったことも
起きてしまいますので、注意が必要です。
当社の新卒社員も様々な価値観を持っていますが、
我々として1つ「成長実感を持ってもらうこと」に対して
取り組んでいることをお伝えします。
それは、成長実感を得られるのは
「学んでいる瞬間」だという考えのもと、
そのような“学び環境”を提供するということです。
なんだよ。そんなことかよ・・・
と思われるかもしれませんが、
これが若手社員に成長実感を持ってもらう
一番の方法だと我々は考えています。
では、人が物事を“学ぶ”のはどんな時だと思われますか?
新しい知識を得たときでしょうか、上手くいったときでしょうか、
失敗したときでしょうか、褒められたときでしょうか。
いずれも大切ですが、我々としては、
「人に教えているとき」が一番の学びであると考えています。
分かっていたつもりでも、いざ人に教えるとなると、
曖昧な部分や、理解できていない部分に気づいたりします。
そうすることで若手社員は、
アウトプットの大切さに気づくと共に、
「もっとできるようにならなくては」
「理解しなくては」と“成長の必要性”を感じるのです。
この特性を活かし、我々としては
「新卒2年目・3年目に、新入社員の指導担当を担ってもらう」
ということを実施し、
ある一定の期間は1年目が2年目・3年目に付き添い、
仕事を覚える期間を設けています。
すると、育成を任された側は急に張り切り出します。
後輩ができたという喜びを感じると共に、
1年目が業務で躓いている姿を見て
「あ~自分も1年目のときはこうだったなぁ」と
当時を思い出します。
そして、過去の自分と今の自分を振り返ることで、
“出来ることが増えている”と気づき、
それは、自身の中の「成長実感」となっていくのです。
更に、1年目からの無垢な質問に対して
“教える”ことの難しさを感じながら、
どのようにすれば伝わるのか?と自問自答を繰り返し、
以前にも増して、仕事に対して深く考えてくれるようになります。
以上が、弊社で行っている取り組みとなります。
ご質問者様は、製造業とのことでしたので、
3年目が高等技術を教える側になることは難しいかもしれません。
しかし、例えば社内ルールや社会人マナーなど
3年目でも1年目に教えられるものはたくさんあるはずです。
そういった、小さな「人に教える環境」をつくることでも、
成長実感を得られるきっかけとなるのではないでしょうか。
是非「貴社でいう、成長実感とは」を改めて明確にすると共に、
小さな1歩から始めていただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
中村 信滋