静寂の地上に浮かぶ、氷の雲の滑走路。
フォークとナイフは口に運ぶ過程を楽しむ媒体、箸は口で素材を感じるための媒体
川が絵の具の全ての色を水で洗い流したような匂いがする、新川
みんな、蝉だ。何を見ても恋愛を鳴き、何処に行ってもその様子を確かめては無意識に判断する。同じ音でミンミンと鳴き、関係図もさほど変わらない、似た台本で役者と舞台が違うだけ。でもそんな当たり前が、如何に過去の全てから紡がれたものかを、このひと夏の蝉に見出せたなら。
最近、街を歩いていると文字が視界の邪魔をする。日々の喧騒に疲れ果てているところに尚、文明が世界を駆逐したのだ、さあ見ろ、と言わんばかりに、脳内が情報に駆逐される。せめて家だけは、と試みるもやはり全て排除するのは困難だ。ありのままを、記号ではない、自分の感性で捉えていたいのに。