クリシェは終わる(全音で動くパターンなど)
今回でクリシェについては終わります。これまでは半音で動くものを扱いましたが今回はそれ以外、主に全音で動くパターンです。
まずはメジャーコードの上で。
譜例1
キーをCにすればイントロと歌の最初のところがまんま譜例1の通りです。
次はメジャーコード上の半音上昇パターンの時の参考に挙げた「There`s A Kind Of Hush (見つめあう恋)」を今度はカーペンターズのバージョンで。これもメジャーコード上で5→6→M7→6と動く譜例1のままです。
7th系でないメジャーコードでのクリシェは割と自由度が高いというか色々考えられます。例えば
譜例2
大滝詠一さんの「君は天然色」の歌い出しがこんな感じです。
この曲はそれに続きマイナーコードの8度からの下降パターンのクリシェが続きます。
他にもジャニス・イアンの「AT SEVENTEEN (17才の頃)」ではこのようなパターンが。
譜例3
この曲もCメジャーコード上でのクリシェが終わった後に表面上は分かりづらいですが、「君は天然色」と同じくマイナーコードのクリシェのバリエーションが展開されています。
このようにクリシェは同じ曲で複数パターン使われることも多いですね。
さてではマイナーコードでもこのように下記のようなパターンは可能なのでしょうか。
譜例4
結論から言えば問題はありません。しかしあまりよく見るパターンというわけでもありません。何かで聴いたことはあると思うのですが、どうしても思い出せないので、思い出したら追加でリンクを張りますね。
クリシェについて意外と長くなってしまいました。書く前はこれほど長くなると思っていなかったのですが、実際書いてみるとまだまだ書きたいことがあって意外と奥が深いかもと思いました。しかし同じコードの中で他の声部は維持しながら、一つの声部を動かしていくという基本が分かっていれば後はその派生であれこれ枝葉末節がついてくるようなイメージでとりあえずはいいかと思います。長きに渡ってお付き合いいただきありがとうございました!