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桜の香り

春に咲く花たちのなかでも、とくに日本人にとっては桜は特別ではないでしょうか。
卒業式、入学式にはやはり桜の光景が思い浮かびます。春の陽光の暖かさや明るさが、植物の芽吹く躍動感とともに心を満たしてくれます。
春が苦手、という人に会った記憶がありません笑

今年、息子が高校を卒業しました。
幼稚園の入園式から始まって、一応一区切り。
校舎正門の桜が美しく、降雨のなかでも散ることなく咲いていた薄紅の小さな花がけなげながら、凛としたものを感じました。
これでもう(うまくいけば4年後の勤め先が制服でない限り)、制服を着ることもありません。それを考えると、門出を祝う気持ちとちょっぴり寂しくなる気持ちと。。
思い出すのは、入園から始まったそのときどきの式典の折に咲いていた桜。
4月の入学のころには、ちょっとした桜吹雪のようにはなりますが、あのひらひらさらさらと舞う小さな花弁が、なんとも風情がありますね。

年齢を経るにつれ、
ひらひらりと舞う桜はやはり日本の春の原風景の一つかなと思う



ほのかな花の、やさしい香り

桜のほんのりした香りが好きという方も多いのではないでしょうか?
とくに春先だと、和洋スイーツに桜がはいっていたりしますね。
うっすらと上品に香る桜の香り。お香などにも「桜」のよい香りがありますし、匂い袋などがあると個人的にとても喜んでしまいます。

桜の香りは上品で華やかであり、それでいて控えめ。それが桜のイメージ。淡いピンク色の小さな花びらが春の風に揺れる姿もまた美しいです。早春に百花に先駆けて花を咲かせる梅もまた、そのよい香りが「白梅香」などもあるように人気のある香りですね。
和もの、日本的な香りの代表格とも言えます。

❖ 桜、梅 天然の香り?

桜花・梅花にはもちろん香りはありますが、
桜の天然精油を見たことがありますか?
梅も同じですが、天然では精油はありません。
作ることはできるのですが、大量の精油を製造することは困難とされています。

日本では桜も梅、どちらの香りも人気があり、食品、匂い袋やインセンスなどの香りのアイテムでも好まれます。でもこれらはとても微細な調香技術によって生み出されているものなのです。

ちなみに、桜も梅もバラ科。
バラ(ローズ)はご存じのように精油としてとても人気がありますね。
採油率(花から’精油’として抽出できる分量の割合)が極端に少なく、精油でも市販されているローズでも0.02-0.05%と言われています。
ローズは1トンの花弁から2-5㎏程度しか取れません。ジャスミンやネロリなど一般に(たとえると1mlで5,000円を超えるような)高価な精油は、そもそも精油が採れないため大量の花弁が必要になります。

25000種以上あるバラの種類の中でも、香りたつ種類は数えるほどしかないと言われます。
その芳香豊かな花を健やかに育て、
咲いた花を丁寧に摘み取り、
温度や時間を調整して蒸留: Rosa damascenaもしくは溶剤 Rosa centifolia 抽出していく。
長い時間と手間がかかるのです。天候にも左右される農作物でもあるので価格が高くなるのも仕方のないこと、なのです。
(手間も時間もかかるので、「偽和(ぎわ):ローズの香りににていてる安価な精油を混ぜる」などしたり、合成成分を添加して『ローズ精油』として製造する会社もあるようです。外から見ても、瓶から垂らしてもわかりません笑 分析にかけてもそれを読み解く化学知識と香り判別の経験がなければ、商品が天然100%であるかの真偽がわからないのが実情かと思います😿 (精油の品質については、今度あらためて)

Junwa's NOTE202303
Rosa damascena:おもに水蒸気蒸留で精油を抽出される種
Rosa centifolia:おもに溶剤抽出でアブソリュートになる種


春を寿ぐ

話がバラに行ってしまいましたが、桜のお話にもどります笑

ローズが採油率が少ないと述べましたが、梅も桜はさらに少なく、採油できる量が確保できないので精油を製造するには至りません。あの小さな花弁を考えればわかる気もしますね。ローズは花弁の大きさもあり1枚1枚にまだ厚みがありますから、少ないながらも精油成分は取れそうな感じはします。

残念ながら天然の精油としては存在しない「バラ科」の梅と桜。しかも合成で美しく仕上がった香りとて梅、桜も決して強い自己主張があるわけではありません。

でも、だからこそ、その分繊細で、どこか心を和ませ、やさしい気持ちにしてくれる気がします。

春の風のなかには、精油にこそできないけれど、
そんな花の香りもうっすらと、本当にうっすらと含まれていることを感じたいものです。

新しい出発にむけて、花々、植物の芽吹きが後押ししてくれるような温かさ、春を五感すべてで歓びましょう💛

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