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マヌカハニーの抗菌作用は優れているのか?

この冬の時期や感染症の流行する時期になると、大人気なマヌカハニー。
特に、今年は、COVID-19の影響もあってか、人気だそうです。

私はご存知の通りマヌカハニーをオススメしておりません。

その理由も含めて、ここで今一度、マヌカハニーについて、そして、はちみつの抗菌性についてお伝えしていけたらと思います。

“抗菌度”に注目が集まる蜂蜜

今や蜂蜜というと、糖のエネルギー代謝を回すためのエネルギー源としての素晴らしさではなく、その抗菌度の高さに注目が集まります。

「抗菌作用が強いハチミツといえば、マヌカ!」ということでマヌカハニーを好む方々も、その理由はこの高い抗菌性を求めてではないでしょうか?

MGOとは?

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1988年に、ニュージーランドのワイカト大学のピーター・モーラン教授らの研究チームが、マヌカハニーに抗菌作用物質があることを発見しました。

その後、2000年代に入ってから、マヌカハニーの存在がメチルグリオキサール(MGO)というパワフルな抗菌作用を持つ成分の発見でさらに注目を集めます。

この『MGO』は多くの人が目にし、この指標をもとにマヌカハニーを選ばれる方が多いかと思います。

これはマヌカハニーのみに使われる指標で、マヌカハニー1kgあたりメチルグリオキサールが何g含まれるかを示します。

では、このメチルグリオキサールとは、どういう物質なのでしょう?

メチルグリオキサールとは?

メチルグリオキサールは植物がストレスを与えられると2~6倍も産生が増加するストレス物質です*¹。
植物がストレス下で産生を増加させるフラボノイドなどのファイトケミカルと同じですね。そのストレス物質の花蜜がハチミツに高濃度に移行したものが『マヌカハニー』です*²。
つまり、マヌカハニーは、オーストラリアやニュージーランドのように、土壌が痩せていてシビアな土地で咲く花ですので、このようなストレスを受けるのですね。そのような花の蜜を集めたので、ストレス物質であるメチルグリオキサールが非常にたくさん含有しています。

メチルグリオキサールは、体内に入ると、近くにある脂質やタンパク質と結合してAGEs(終末糖化産物)や ALEs(終末脂質過酸化物)を形成します。特に不飽和脂肪酸によって生み出される ALEsは免疫細胞であるマクロファージに炎症ゴミとし て認識され、体内では組織障害や炎症を増やし、炎症が加速されます。
そして、体という土壌を乱します。

この炎症の加速は体から鉄や銅を奪います。
微生物の増殖力は奪われ、免疫細胞の貪食の力で処理もされますから、それが抗菌作用として認識されているのです。
確かに炎症が起これば、体内ではゴミ掃除が加速します(免疫細胞の賦活)。つまり免疫活性が起こっているということです。

少し前の記事で、免疫活性することは健康度が高いということではないとお伝えしたばかりですが、

このマヌカハニーのメチルグリオキサールによる「抗菌作用」というのは、本当に私たちが健康を維持していくために、必要な作用でしょうか?

ここで言われる抗菌作用は、実際には微生物を抑制し免疫細胞を刺激するという意味で使われています。
つまり、炎症を引き起こす材料(原因)がメチルグリオキサールであるといっていることになります。

慢性炎症を抱えた現代人

現代人はただでさえ、体内炎症が起きやすい生活環境にいます。皮膚疾患、リウマチ、糖尿病、がんなどの慢性疾患や偏頭痛など、現代人が慢性的に悩んでいる症状の原因は、慢性炎症です。
その背景には加工食品の流通があり、間違えた健康食品 流行、大気汚染、長期にわたる薬剤投与などの問題があります。
多かれ少なかれ、大多数の現代人は慢性炎症を抱えている、つまり甲状腺機能が低下している状態です。
そこにさらに炎症を加速させるメチルグリオキサールが多量に含まれるマヌカハニーを大量に摂取することは、病態をさらに悪化させたり、炎症を起こす引き金を引く原因となりかねません。

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実は、上記のメチルグリオキサールは、マヌカハニーに含まれるだけでなく、私たちの体内でも産生されます。

✓ 私たちの体内で主に脂肪をエネルギー源にする場合
(糖質制限やファスティングなどもこれにあたります)
✓ ミトンドリアでの糖のエネルギー代謝がブロックされて解糖系が過剰に活性化した状態
✓ 主にストレスによって起こされるリポリシス(脂肪分解)の状態
で産生されます。


現代人の多くは、糖のエネルギー代謝を回すことができておらず、
そのストレス状態が体内でMGOを発現させ、
体内のあちこちに炎症を引き起こしている状態ですが、

その上、MGOの高いマヌカハニーを食べるということは、
メチルグリオキサールという炎症を強烈に誘発する物質をわざわざ外から体内に大量に入れ、
わざわざ炎症を“さらに”引き起こしているということです。

体内でMGOが産生される→炎症が起きる→さらに体内でMGOが産生される
という悪循環が起こっている体に、
さらに「MGOを投入」すれば、さらに炎症の火はおさまるどころか、たちまち燃え広がり、あちこちに飛び火し、さらに症状や疾患が手の付けられないほど悪化するというさらなる悪循環を作っているということです。

それを体内のごみ掃除の加速という言い方をするのも一つですが、
そのようなごみ掃除をしなくても、ホンモノの蜂蜜を上手に使えば、ひどい炎症をわざわざ引き起こすことなく、慢性炎症の緩和や慢性炎症が起こりにくい体作りをすることは十分に可能だと考えています。

これが、私がマヌカハニーをオススメしない理由の一つです。

もちろんマヌカハニーでもいいものはあるでしょうし、上手な使い方もあると思います。
でも今市場に流通しているものの中でそのようなものを見かけたことがないので、現在は“あえて”マヌカハニーをお取り扱いしていませんし、オススメしておりません。
もし、オススメできるマヌカハニーを見つけたら、ショップでもご紹介させていただきたいと思います。

<参考文献>
*¹ Biochem. Biophys. Res. Commun. 2005, 337, 61‒67
*² Carbohydr Res. 2009;344:1050‒1053

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