知名度
「クープラン知ってる?」
「うん、クープランの墓でしょ?」
たいていこうなる。
ラヴェルのピアノ曲は知ってても、クープランのクラヴサン曲は知らないのだ。
ここでのクープランはルイではなくフランソワのこと。
個人的にはルイのほうが断然好みなのだが、知名度が高いのはフランソワだろう。
どちらにしてもラヴェルほどの知名度はない。
余談になるが、ラヴェルの「クープランの墓」の原題は "Le tombeau de Couperin" だ。
このトンボーという曲種は17世紀のリュート曲が起源で、親しい人の死を追悼するために書かれた。
フランスのクラヴサン音楽はリュート音楽を継承しているので、ルイ・クープランもトンボーを書いている。
おそらくラヴェルもそこに肖ったのではないか。
話が脱線したが、クープランの知名度はもっと高まって欲しいのだ。
とりわけルイはフランスのクラヴサン音楽で絶対に外すことのできない存在だと思う。
まずはその叔父であるフランソワでもいいから、聴く機会や弾く機会が増えることを願っている。
「クープラン知ってる?」
「うん、フランスのクラヴサン音楽と言えばクープランだよね。」
そんな答えが普通に返ってきて欲しいものだ。