#14 Les Misérables
あらすじ
ヴィクトリア・ユゴーの小説を基に世界的大ヒットを記録した名作ミュージカルを豪華キャストで映画化。19世紀のフランスを舞台に、貧しさ故にパンを盗み19年間投獄されたジャンバルジャン(ヒュージャックマン)。彼は仮釈放のおきてを破り、逃亡。名前を変え市長となった彼のもとにジャベール(ラッセルクロウ)警部が赴任してくる。バルジャンの素性に疑問を持った彼はバルジャンを執拗に追い回す。ジャン・バルジャンは自分の工場で働いていた哀れな売春婦の娘コゼットを養女にし、ジャヴェールの前から姿を消す。やがて時は過ぎ、コゼットは町で出会った青年のマリウスに一目ぼれ。
2人の恋は波乱な革命の渦に巻き込まれていく。政府と革命軍、バルジャンとジャベールの攻防など、様々な障害が、運命の火へと向かって動き出す。
感想
やっと見ることができました、レ・ミゼラブル
余韻に浸りすぎて、レビューの投稿が遅くなってしまいました。そのくらい言い表すことが難しいほどの素晴らしい作品。
アカデミー賞やゴールデングローブ賞などを受賞しただけあって、壮大かつ俳優たちの演技が光る素晴らしい作品でした。まず、ミュージカル映画というものは歌の部分は事前に録音し、本番はそのテープに合わせて、口パクをしながら演技をするのが主流です。しかし今作の場合、歌唱の部分は口パクではなく、撮影と同時に録音が行われています。俳優たちはその場で歌を歌いながら演技をしているというから驚きです。監督や俳優たちがこの作品にかける熱い思いがうかがえます。
この作品の魅力の一つは、何といっても登場人物一人一人が持つ物語だと思います。パンの窃盗の罪で19年間もの間投獄されたジャンバルジャンは、仮釈放のおきてを破り、逃亡します。司教様に救われ、新たな人生を歩むと決めた彼は、立派な市長になります。彼は常に「正しい道」を探し続けているように感じました。自分が進むべき道はどこなのか、正しい道は、と過去を捨てたからこそなのか、罪滅ぼしのためなのかは分かりませんが彼のひたむきな生き方には脱帽です。
また、アンハサウェイ演じる娼婦のファンティーヌが歌う「I dreamed a dream. 」は言葉にできないほど深く胸に刺さりました。彼女の人生を表したような歌詞で、自分は地獄に落ちて、夢は戻らないという歌詞になってます。ファンティーヌの行き場のない悲しみ、絶望、そして怒りがすべて表現されている名シーンです。アンハサウェイの演技がより彼女の感情を引き立たせていて、涙なしでは見れませんでした。
そして、バルジャンを執拗に追い掛け回す、ジャンベール警部。彼は彼自身の「正義」を持っていて、その信念は確固たるものです。バルジャンを逃がしてしまったことを自分の「罪」とし、バルジャンを捕まえることに人生を捧げます。そんな彼がバルジャンを追う中で、彼の「正義」に触れます。
自分の「正義」を信じてきた彼にとって、その信念を曲げ、ジャンバルジャンを打てなかったことがいかに彼にとって最大の「罪」だったか、彼のラストシーンでのセーヌ川への自殺が物語っています。
そしてラストシーン、コゼットとマリウスに看取られながら息を引き取るバルジャンですが、彼を迎えに来たのは、ファンティーヌでした。彼女はかつて自分を見捨てたバルジャンを恨んでましたが、娘であるコゼットを愛し、育ててくれた彼を許し、天国へと導いてくれたのかもしれません。
そのあとの「Do you hear the people sing? 」は圧巻でした。
作中夢かなわずなくなっていった人々が、国旗をふりながら歌っている姿には心打たれました。
その場にはジャンベールの姿はありません。キリスト教では自殺は大罪とされているので、彼は天国には行けなかったことを表しているのでしょう。
俳優たちが作品にかける熱い思いがひしひしと伝わるし、150分を超える長い映画ですが、映画に入り込みすぎてあっというまでした。