更年期障害から見た心身の変化と人間の一生

【質問】私はこの2年程、コロナの影響もあり、運動量が減り家で過ごす事が多くなりました。以前から、ホットフラッシュや、色んな有難くない症状はありました。
定期的に効果的な運動を楽しんでいましたが、それでも、真冬汗だくになったりしていて、運動量では、更年期障害は和らげないのかしらと思っていました。
呼吸法をしたり、漢方薬を処方されていますが改善しません。 ふと考えて、私は愛着不全ですが、更年期障害と愛着不全のに関係があるのでしょうか?

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

【お返事】質問者さんは愛着不全とのこと。愛着が不十分(機能不全)な家庭環境に育ったということですね。性ホルモンと愛着との関係については、google scholar で内外の論文をざっと調べたのですがめぼしいものは見つかりませんでした。今回は、更年期障害だけでなく、人間の一生の身心の変化についてお話しましょう。

参考にしたのは、人間総合科学会誌、2005年の論文です。佐藤優子「ライフサイクルに伴う身体の変化と心身の健康」PDFを無料でダウンロードできますので、興味のある方はどうぞ。

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

質問者さんは、運動量の減少について書かれていたので、まずはこちらの話題から考えてみましょう。

■コロナ禍がもたらす運動量の減少

コロナ禍で外へ出なくなり他人とのリアルな接触が減少することで、対人関係に不調をきたす人が増えています。機能不全家族を形成している人は特に、家族間の閉鎖性が高まるので、それが息苦しさを加速させている場合も少なくありません。

コロナ禍では、時間をつくって外気に触れることがとても重要になりますね。他人を触れる行動として、散歩に出ましょう☺。定期的に運動を楽しまれている様子ですので、それはとても良いことですね。

散歩アプリ「ピクミン ブルーム」は最近根強い人気があります。すべての人のこころに花を、ピクミンをどうぞ☺

■更年期障害と愛着の問題

更年期障害とは、「40歳代以降の男女の性ホルモン分泌量の低下が原因となる自律神経失調症に似た症候群」と定義されています。

ライフサイクルでいうと、成人期後期(40代~65歳くらいまで)にあたります。女性にとっては卵巣の機能低下によって性ホルモンが著しく低下する時期です。

更年期障害は、イライラ、不安、抑うつ、疲労感、ホットフラッシュなどをもたらします。その不愉快な症状によって、愛着不全の方がもともと抱えている怒りや不安が増大する可能性はあるでしょう。

特に、見捨てられ不安に対しては敏感になるかもしれません。そのイライラや焦りによって発汗が促進されることもあり得るかもしれませんが、因果関係は分かりません。

60代に入ると、しだいに更年期から遠ざかります。それまではできるだけ気分よく過ごすことも大切でしょう。アニマルセラピーなんかも良いですよ🐶。不安や抑うつ感が低減します。

■人間の一生と心身の変化

更年期障害は、ライフサイクルと密接に結びついている症候群ですが、心身がどのように変化していくのか、先にあげた論文を参考にして、人間の一生を概観しましょう。

身体の機能などが健康的に変化していくと(劣化していくことも含む)、それが心理的な変化として現れることもあります。例えば、思春期や更年期には、身体の変化が心に大きな変化を及ぼします。

乳幼児期:感情が分化して、養育者に対して愛着を形成する時期です。人生で一番大切な、他人や世界への基本的な信頼感が作られます。

学童期:経験を通して試行錯誤を繰り返しながら、問題解決の方法を習得します。この時期の遊びは大切で、遊びを通して身体機能がバランスよく発達し、仲間との協調性が育ちます。生きる力が発達する時期です。

思春期:仲間と異なる自分の姿に困惑します。性的興奮が生まれてきて、それを制御できない不安から情緒不安定になることもあります。摂食障害は思春期に発症する症状で、自立の葛藤やストレスにやせ願望が加わったことが原因です。

成人期:思春期を越えると、自分のルールができあがり、そのルールを使って社会化が促進していきます。他人と親密になって、自分の子どもに対して世話をする行動が顕著になってきます。また社会では部下を世話をするなどの行動になって現れます。

更年期(中年期あるいは成人期後期):この時期は性役割の限界や人生の後半に差しかったことを自覚します。理想ばかりでなく、現実に照らし合わせて人生を再構築していく時期です。身体の調整系が変化し、発汗、イライラ、憂うつ、不安、頭痛、しびれなど多彩な身体症状が発現しますが、個人差が大きいです。女性の場合、橋本病(慢性甲状腺炎)が隠れている場合もあります。

老年期:身体の余力がなくなりますが、安静時の身体機能は保持されています。身体にほころびが生じて不調が増えますが、人生の実りの時期でもあります。過去を想い、現在を楽しみ、未来に思いを馳せる余裕に満ちた時期です。友人や社会と積極的に交わって、余生を楽しみましょう。

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

Twitter でも発信しています。フォローいただくと、発信ばかりでなく質問箱のQ&Aを見ることもできます。
【Twitter】→ https://twitter.com/soleapsy


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?