かさなる秋
京都の街とパリの街
それがかさなる
御池通の並木道を夜遅く歩く
オレンジ色がかった電灯とその間を潜り抜ける秋の葉が
あの頃のパリの香りを彷彿とさせたのだろう
ここはパリの街よりもいろいろなものが爽やかに映るけれど
あのパリのスモークがかった空気、その背後にある街の色彩が懐かしい
凛とした秋の空気が流れこむカフェのテラス席で
友人とディナーを共にした後
混雑したバスに乗り込んでひとり家へと帰る
夜遅いのにもかかわらず、バスの中は混みあっていて
数人の談笑が歪みながら響く
バスのガラス越しに見える街路樹の風景に
赤いワインの香りと
クスクスとトマトの煮込み料理の味が重なる
さっきまでの会話は私の肺のあたりにいて
それは暖かな記憶として残る
そんな秋の終わりのひとつのシーン
そんな美しきシーン
〈 today’s art 〉
Title : mixed color
/ photograph
/ Place : Paris
/ Yuko