雨音とウチ
雨が降っている
その降り落ちる音がピシャピシャと家の外から聞こえる
この雨は、昨日そして夜の間に降り続けた雨
私と一緒に眠り続けた雨
私はキッチンの赤いテーブルの前に座って
ただその音を聞いている
いま自分は内側にいるのだと強く思う
何かの内側に
この雨音がその感覚を明瞭なものとして
そして同時にここは守られた空間なのだと気づく
ようやく明るくなってゆく空の色が
キッチンのすりガラスから仄かに見えてきて
雨の青と混じった朝の白い青は、美しいだろうと想像した
昔住んでいた家の頑丈に作られた壁には
ただの白くて重い空気がみっしりと充満していた
何の物音もなく
今ここは、とても薄い壁、薄い外壁、薄いガラス扉
外は私のすぐ側にあって、とても近い
音は私を内側へと押し込める
〈 today’s art 〉
Title : a window
/ photograph
/ Place : Rome
/ Yuko