「らんまん」ポジティブは心を潤す
NHK朝の連続テレビ小説2023年4月からの放映は、植物学者槙野万太郎の生涯を描いた「らんまん」。
岡山の酒蔵のボンボンが植物に魅せられて、家を捨てひとり上京し、貧しいながらも研究に没頭する物語…かと思いきや、実はお供を連れての悠々自適な長屋暮らしを始める。その太い実家からの支援を受けながら、様々な人間関係を構築しつつ、植物学を極める夢に一歩ずつ近づいていく。
…多分、こんなストーリー展開なんだと思う、今のところ。
朝のドラマにふさわしく、主人公演じる神木隆之介は爽やかに若者らしい闘志を燃やしながらも優しげで、脇役の志尊淳や教授役の要潤などイケメンの影がかすむほどのオーラを発している。
星野源もそうだが、古典的な「男らしさ」とは違った魅力のある俳優である。言い切っちゃってごめんね。
さて、朝ドラはなぜこんなにポジティブマインドをあおるのだろう。
朝ドラの使命ともいえるポジティブマインド。
見終わると
「よっしゃ、今日もいっぱつかましたるでぇ~!」と気合が入る。
笑顔になる。
ふふん、と思わず鼻歌が出る。
ストーリー展開だけでなく、料理が画面に映るシーンが多いことも関係ありそうだ。
今回の「らんまん」だけではなく、最近の朝ドラには必ず料理が大写しになる。5月22日放送回では、「アサリの酒蒸し」が3回も単体でアップになった。
中国産のアサリを国産と偽って販売していたことがばれたニュースが報道されて以降、スーパーで見るあさりはすべて中国産のラベルが貼られるようになってしまった。もともと中国産だらけだったんだね、そうだよね、安かったし。
このドラマに登場したアサリはきっと「熊本産」か「千葉産」なんだろうな、と思うほどに立派なもので「ああ、受信料払っててよかった」と思うひと時を得られた。今夜は絶対アサリの酒蒸しだ!と心に誓って職場に向かう。
和菓子もよく登場する。朝から「久しぶりにカルメ焼き食べたいな」と思ったりもする。
大学で受けた心理学の授業で女性の教授がこう言っていた。
「死にたくなったら、食べなさい」
なんじゃそりゃ!と教室内は嘲笑に似たざわめきが起きたが
その教授は続けた。
「食べることは生きること、生きることはたべること。しっかり食べておなかいっぱいになれば死にたいなんて考えはなくなります」
若いころは、そんな単純じゃないよ、悩みは闇より深くてこの世から消えたくなることもあるんだから、と否定的に考えていた。
でも、振り返ってみると確かにこの教授の言っていたことは正しいかもしれないと思うようになった。
朝ドラ見て、「アサリ食べたい」「カルメ焼き食べたい」と食欲を満たすことを考えると人を憎んだり、恨んだりする気は萎えていく。
負のエネルギーが「生きたい」という正のエネルギーに変わっていくのかもしれない。
猟奇的な殺人を犯す人は、飢餓状態なのだろう。
おなかが空いて、夜もろくに寝ていないのかもしれない。
食欲がないほど悩みが深い時はある。けれど、それでも楽しく食べられることを願っている。美味しいものは人を笑顔にする力があるから。
ぐっすり寝て、朝日を浴びて、しっかりご飯を食べて
ポジティブな朝ドラ見て
出会い系で後腐れない関係で性欲も満たして←はい、ここお約束
人間の三大欲を満足させて今日も元気に生きよう。
しっかり生きても100年くらいの命だから。
それでも我が子をわけもなく殺められたりしたら、やっぱり眠れなくなるのだろうな、とも思う。人間、なにがあるかわからないからね。
さて、明日の朝も美味しいご飯をたべられますように…と最近の地震の多さにビビりながら床につくとする。