北東北の農園、冬の始まり
二十四節気の大雪を迎え、いよいよ冬将軍到来の時期になりました。
八戸市の気温は最低気温が0度前後、最高気温も10度前後と冬の入り口を通り過ぎたところです。
1~2月の底冷えの時期は、最低気温が-5度前後、最高気温が0度前後なので、ここから更に寒さが厳しくなります。
雪が積もれば畑に足を踏み入れることも大変。
農園ではそんな冬を前に、露地野菜の最後の収穫や片付け作業、収穫した野菜の貯蔵、種採りの準備などをしています。
最後の野菜の収穫
秋から晩秋にかけて、さまざまな野菜が採れました。
里芋やさつまいも、菊芋などの芋類、大蔵大根や紅芯大根、にんじんなどの根菜類、春菊やタァサイ、白菜などの葉物も寒さにあたりおいしく仕上がりました。
畑にいる芋類や大根、にんじんなどは凍結する前に全て掘り上げます。
晩秋までに収穫の野菜たちは、貯蔵して冬の貴重な食糧となります。
野菜の貯蔵、保存
土付きのまま貯蔵するのがベスト
基本的に、大根やにんじんのほか、里芋やじゃがいも、菊芋などの野菜は土がついたまま(この方が保存性に優れているのです)米袋などに入れて、凍らないよう屋内に保管します。農機具小屋などだと外と気温が変わらないので凍ってしまうため、屋内で保管しています。
農家さんの中には、穴を掘ってその中に野菜を入れて土中保存する方もいらっしゃいます。
雪の下の土中保存は昔から行われている貯蔵方法で、野菜のみずみずしい状態を保つことができ、凍結もしないのでかなり有効な貯蔵方法です。
(ただし!やってみたい方はくれぐれもネズミ被害にはご注意を!!)
さつまいもは低温に非常に弱い野菜です。真冬の八戸は屋内の気温でもさつまいもは寒すぎて傷んでしまうため、1~3個ずつ新聞紙にくるんで発泡スチロール製の保存箱に入れて屋内で保存します。
天日干しや加工して冷凍保存も
収穫した状態で貯蔵する方法のほかには乾燥させたり、加工して冷凍保存する場合もあります。
唐辛子類は晩秋まで収穫を続け、赤くなった実は天日干しをしています。
同じようにポップコーンとうもろこしも、晩秋に収穫した後は皮を剥いでネット袋などに入れ、天日干しして冬のおやつにします。
畑で乾燥させていた大豆類もすべて刈り取ります。
そのあと刈り取った茎から鞘ごともぎとり、シートに広げて寒風を当てて乾燥させます。
雪が積もる前までは外で天日干し、その後は小屋などの屋内の日当たりの良い場所で乾燥させます。
乾燥が進むと「パチン!」と鞘がはじけて大豆が出てきます。
先述した大根類は、葉もおいしいので加工して保存し春まで食べています。
切り落とした葉の部分を水できれいに洗って泥を落とし、湯がいて水気をよく切ります。湯がいた葉を細かく刻んで保存袋などに小分けにして入れて冷凍し、必要な時に取り出して冬の間ずっと食べています。汁物などに入れますが、炒めてふりかけにするととてもおいしいですよ。
種採りの準備も
野菜は食べるために貯蔵するほか、次の春に花を咲かせて種をとりたいので、形のいいものを選んで畑で保存します。
大根、にんじんは交雑を防ぐために離れた場所に20株くらいずつ植え替えをします。
ネズミの食害にあうことが多いため、実際に取りたい株数より多く確保して植え替えます。
冬の間は雪に埋もれてしまいますが、春が近づくと少しずつ小さな葉を出し、5月ごろに花を咲かせて初夏のころに種をつけます。
野菜を植えていた畑も冬の間は雪の下でお休みです。
表層は凍ってしまいますが、5~10センチほどの氷層の下の土はしっとりと水分を含み、一定温度を保っています。
こうして土の中の世界は冬の間もゆっくりと動き続けています。