アナーキズムのすすめ デヴィッド・グレーバー『資本主義後の世界のために』
「そろそろ資本主義やめたいけど、次どうしたらいいのかわかんないよねー」とおもっている人はけっこう多いのではないか。むしゃくしゃしてとりあえず全部ぶっ壊したくなる人もいるかもしれない。無政府状態ってなんかこわそう。常に何かしら燃えてそう。
『資本主義後の世界のために 新しいアナーキズムの視座』は、人類学者であるデヴィッド・グレーバーの2回にわたるインタビュー+論考+対話集。グレーバーの著作は『負債論』も『ブルシット・ジョブ』も値段が高いし分厚いしでなかなか手が伸びなかったが、本書は約200ページとわりに短いうえにインタビューなので比較的読みやすい。amazonだととんでもない値段になっているので、本屋さんで注文するか図書館で借りたほうがいいかもしれません。
グレーバーが自身をアナーキストと称していたのは知っていたが、私のなかのアナーキズムのイメージはなぜかパンクバンドのボーカルだったので、冒頭の高祖岩三郎氏(訳者・インタビュアー)による説明にまず驚いた。
めっちゃいい人たちじゃん。ただこれだけだと、指摘もあるように「単なる夢想家」にみえなくもない。
しかし高祖氏は、こうしたアナーキズムが「民衆の闘争の最も重大な局面において、必ず回帰している」と主張し、グレーバーもインタビューのなかで「そうみなせる運動形態は、すでに中国の戦国時代にもあ」ったものであり、「常に存在してきた」と言う。そして、名前がつけられる以前から存在してきたというこのアナーキズムは、かっちりした哲学理論というよりはまさしく「運動形態」であり、高祖氏の言葉を借りれば「特定の思想家によってつくられるものではなく、協業によってつくられるものであること、それは常に革命的実践との関係の中に存在するものであること、それは特定の存在論から出発するものではなく、それらの間の合意形成の過程から出発する、あるいはそこに留まり続けるものである」らしい。
平等。権威の否定。理想。こうして並べられるとシンプルでわかりやすいし、実際の運動がどういうものか興味をひかれる。
グレーバーが1999年以降様々な運動に参加していたこともあり、「新しいアナーキズムの政治」と題された1つめのインタビューではアナーキズムにまつわる運動の通史が、2つめの「新しいアナーキズムの哲学」では主に理論面が語られる。グレーバーの来歴と主張がざっと見通せるので、入門には向いているかもしれない。とくに「負債」による社会関係の解釈や、官僚機構が生む「公衆」概念の捉え直しなどは、読んでいてわくわくした。
しかしこういう本を読んでいつも疑問におもうのだけれど、どうして日本ではデモや政治運動がなかなか起こらない/起こりにくいんだろう。政治を気軽にみんなでやりたい。それはたぶんたのしい。
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