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未来に向けて2020年の終わりに想うこと

■はじめに

時が経つのは本当に早いもので、今日で2020年も終わり。

今年はまさにコロナに翻弄され続けた1年だったと思います。中国/武漢でのウイルス流行のニュースから約1年が経過しているにも関わらず、未だに世界中でたくさんの人命を奪い続け、飲食業・観光業から医療現場に至るまで、広範囲な産業に大きなダメージを与え続けています。それと同時に、人間の価値観という、言わば人間としてのOS(オペレーティング・システム)が大きく書き換えられた、そんな1年でもあったと思います。

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決められた時間に電車に乗り、満員電車に揺られて通勤していた当たり前の風景がこの1年で大きく様変わりしました。オフラインのミーティングやカンファレンスの多くがオンラインに置き換わり、働き方の柔軟性も大きく高まりました。また、これまであまり深く意識せずに行ってきた日常、例えば働くことや生きることの本質的な意味を自分自身に改めて問い直す機会にもなり、まさに地の時代から風の時代へのシフトを彷彿とさせる、そんな1年だったと感じています。

そんな未曽有の1年の終わりを迎える中、2020年という節目であり、ジェネシア・ベンチャーズとしても設立5年目となるこのタイミングで、これまでの振り返りと、未来に向けて成し遂げていきたいことについて、改めてアップデートしておきたいと思います。

■これまでを振り返って

世界はまさに今、デジタルの力によって新たな創生期を迎えていると言っても過言ではありません。平成元年(1989年)には、世界の時価総額ランキング上位50社のうち日本企業が32社ランクインしていたのが、2020年を見てみると、日本勢でランクインしているのはトヨタ1社のみという状況を見ても明らかなように、これまで世界を牽引してきた巨大な産業は、デジタルの力による新たな進化・変革を強く迫られています。

ジェネシアの創業時に抱いていたのは、ベンチャーキャピタルという職業を通じて、日本が持つ潜在的なポテンシャルを活かし、日本の産業力向上に貢献したいという強い想いでした。ITとは程遠い業種の企業と仕事をしていた約8年間の銀行員時代を経て、サイバーエージェントに移り、約12年間にわたって日本や東南アジアの最先端のネットビジネスにどっぷり浸かった私の目に映っていた景色は、遅々としてデジタル化が進まず、Leapfrogで目覚ましい進化を遂げているアジアの国々に大きく取り残されていく日本の姿でした。そのような中、「デジタルの力によって、アジアの創生を担うベンチャーキャピタルを創りたい」という想いから、起源や創生の意味を持つ “Genesis”に “Asia”を掛け合わせてGenesiaと名付け、2016年8月に船出してから、早いもので5年目に突入しました。

そして、これまでのジェネシアの歩みを先日インフォグラフィックスにて発表しましたが、「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会の実現」というビジョンの実現に向けて、日本・インドネシア・ベトナムに10名の頼もしい仲間が集まり、日本を代表する機関投資家や大企業、起業家から総額120億円という大きな資金を預けていただくことができました。

また、上記ビジョンの実現に向けて、持続的な産業の創造にチャレンジする尊敬すべき89社の支援先をはじめ、産業創造に関わるすべてのステイクホルダーとともにワンチームとなり、全力で向かっていくための基盤をようやくしっかりと整えることができました。

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■未来に向けた私たちの取組み

次に、未来に向けた私たちの取組みですが、大きく3つあります。

(1)6つの命題への投資と挑戦
一つ目は、先日私たちのコーポレートサイト上でも公表した、ジェネシアとしての6つの命題への投資と挑戦です。これらは、私たちのビジョンである「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会」の実現に向けて、私たちが投資を通じて、どのような命題に挑戦していくべきかについて言語化したものです。これらの6つの命題に高い志を持って全力でチャレンジしているスタートアップに全力で伴走することを通じて、「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会」の実現に向かっていきます(詳細はこちら)。

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(2)産業創造プラットフォームの実現
二つ目は、私たちが掲げているミッションでもありますが、世の中が持続的にあるべき社会に向かうための、アジアにまたがる産業創造プラットフォームの実現です。具体的には、あるべき社会の実現に向かう高い志を持ったスタートアップを中心に、投資家・事業会社・地方自治体・非営利団体など、産業創造に関わる高い志を持つキーパーソンが出会い、持てるリソースを出し合いながら、ワンチームで世の中が持続的にあるべき社会に向かっていける場を実現したい。偶然の一期一会の出会いによって、良い方向にビジネスが大きく動き出したり、人生が大きく変化することがありますが、このような一期一会の出会いをよりたくさん生み出していくとともに、あるべき社会の実現に向かう高い志を持ったスタートアップを応援する人をもっと増やしていきたい。そのような場の実現に向けて、さまざまな取り組みをしていきます。

(3)スタートアップと大企業の共創
最後に、スタートアップと大企業の共創です。最近になってようやく本質的なオープンイノベーションに取り組む大企業が増えてきましたが、日本の大企業においてデジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)がなかなか前に進まない背景には、キーパーソンのデジタル化に対する感度やITリテラシーがあまり高くないことや、アナログに最適化された産業構造が既に出来上がっており、DXの際に発生する既存ビジネスとのコンフリクトが大きいこと、および(オーナー経営者でない場合は特に)自分の任期の中で既存ビジネスへ大きなダメージを与えかねないDXに思いきって踏み切れないこと、など色々な理由が挙げられると思います。また、大企業のDXを考える上では、スタートアップとの共創がとても重要な意味を持つと考えています。私たちは、大企業を主役にしたオープンイノベーションではなく、あくまでスタートアップと大企業がイコールパートナーとなる、持続的な形でのオープンイノベーションを通じて、スタートアップの企業価値の最大化に繋げていくとともに、大企業におけるDXのアシストに取り組んでいきます。

■最後に

2020年は、色々なものが大きく変化した、心に深く刻まれる1年となりました。これまでもフィーチャーフォンからスマートフォンへのシフト、オンプレからクラウドへのシフトなど、大きな変化のタイミングはありましたが、コロナが引き起こしている変化は、これまでの変化とは別次元だと考えています。なぜならば、これまでの変化は、「便利になる」「効率化される」といった、人間にとって合理的な方向への、ある意味で予測可能な変化でしたが、コロナが引き起こしているのは、「人間の価値観そのもの」の変化です。そして、こうした大きな時代の変化のタイミングでは、変革にチャレンジするスタートアップと、進化に向けた強い意志を持つ大企業の共創、及び新たな付加価値を生み出していくスタートアップによる「Game Change」を通じて、新たな未来、あるべき社会を生み出していくと感じています。チームジェネシアとして、これまでのステレオタイプなベンチャーキャピタルの役割を超えて、あるべき社会の実現に向けて全力でチャレンジしていきます。2020年も本当にお世話になりました。2021年もチームジェネシアをよろしくお願いいたします。

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