詩『デザート』
山積している憂鬱に足を取られる
砂粒がまとわりついてきてきつい
荒涼と広がるサンドベージュは
否応もなく体を包み込んで
やがて視界も覆い隠した
きみには旨いスイーツなんだろう
せめてプリン・ア・ラ・モードでありますように
甘いクリームをたっぷり飾って
真っ赤なチェリーを頭に乗せるよ
お好きなところからどうぞ
ようやく建てたぼくの城をいつも
いつも蹴倒すようなことをしていた
だいじな場所を壊されるぼくと
対話のできない不器用なきみの
どちらがあわれな子羊なのか
流砂を抜けたそこはシャンバラ
キャラバンの影が飾り編みとなり連なる
思考はマニ車のようにありがたく回る
砂の海はこれ以上潤わないけれど
新しい世界でぼくは生きている
時間は覆せないから
なにか旨いものでも食べよう
コンビニスイーツを買って帰ろう
まったく違うものを指す単語
荒涼と広がる白砂のどこかで
繋がっていたのだろうかとも思うよ
20210418
深夜の二時間作詩 第107回
お題『デザート』