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詩『白昼夢』

女の身体のサイクルに似た
おおよそ三十日の満ち欠けの今はどんなだろう
昔はなかったタワーマンションに遮られていて
月が見えない

現実という壁かもしれない
女だっていつも輝いているわけではないのだから
影を持たない女を見たことがあるか わたしはない
男はどうだか

月みたいな肌と誉めそやしたら
シミがどうのと喚き立てられて面倒だった
学や詩情を持たない人間はこれだから嫌いだ
自分も含めて

真昼の青に爪を立てたような白は
秋雨でしばらく見ない 引き篭りでと言うべきか
見えない今も空では律儀に在り続けているのに
雨の月だ

磨りガラスの奥に透ける
ネモフィラのような薄青のなかに飛び込んでいき
果てしなく広がる塩湖をあてどなく歩きたい
雨の月 だ

寝言は寝てからと言う
やれやれ夢にもいろいろあるはずだろう
人の数だけあるはずだろうと空を仰ぎ見るけれど
まだ月は見えない




20211002
深夜の二時間作詩 第127回「白昼夢」

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