【読書メモ】ウォール街のランダムウォーカーを読んで
投資界隈で教科書とも言われている有名な書籍です。
この本が示しているのは非常にシンプルな回答で、
「投資において絶対的に正しい指標はなく、株価等の値動きはすべてランダムである(ランダムウォーク理論)。ゆえに積極投資や投機は結果として利益が少なく、インデックスファンドほど効率的な投資方法はない。」
ということになります。
以下、読書メモです。
1. バブルは繰り返す
1637年のオランダのチューリップバブルに始まり、1991年にはじけた日本の不動産バブル、2001年にはじけたITバブルなど、心理的な動向に従い、歴史上何度も不当な価値推移が生じてきました。どんなファンドも、その膨れ上がった価値を収めるように働くことはなく、バブルを助長するような動きを行い、そして損失を出しています。なぜなら、はじけると分かっていても、波に乗らずに売りに出せば損をするからです。まさにチキンレース。
2. テクニカル分析の批判
テクニカル分析とは、今までの株価変動から将来の予測をする分析ですが、永続的にこれまでの指標が当たり続けた試しがありません。
なぜなら、当然ながら未来のニュースはランダムだからです。単純に過去のデータを未来のデータに当てはめて実証することはできません。
もし規則性を発見し、妥当性のある素晴らしい理論が考案されても、それを情報として公開、流布するとそれを阻害する値動きになります。
100ドル札が落ちていて拾った学生に教授はこう言いました。
「馬鹿だな、それが本物なら、既に拾われているさ」。
IT時代の金融市場ならなおさら情報の拡散は速いです。真に優秀な理論は誰にも知られてはいけないのです。
3. ファンダメンタル分析の批判
ファンダメンタル分析とは、PER(株価収益率)等を基に、その株が本当の実力(稼ぐ力)に対して、市場価格が割安かどうか等を予測する分析ですが、やはりこれも当たり続けた試しがありません。
なぜなら、市場の価格はその実力通りにいつ何時も収束するとは限らないからです。
ですが、株価が「ある程度」妥当な値になっているかどうかは分かります。
もしリスクをとって、積極的に投資したいのであれば、PERが市場平均より上回っていないものを「条件の一つとして」選ぶべきです。
(PERが市場平均より下回っていても、単純に成長がない企業である可能性があるため。)
4. 儲けたいならリスクを取ること
株価は2つの要因で決まります。
「市場そのものの値動きに起因する値動き」と「その株自体の値動き」です。
前者はβ値という市場全体との連動性を示す指標で予測がある程度できるそうです。
市場全体にかかわる指標なので、色々な対象にまんべんなく分散投資をしても除去できないリスク値です。
後者はアービトラージで利ザヤを稼ぐことができます。
分散投資でリスクを減らすことが出来る。リスクの高いものほどβ値が大きくなりますが、リターンも大きくなる傾向にあります。ハイリスクハイリターンが基本です。
5. 心理的な動向
市場が合理的に動いていればそれを予測すれば確実に儲けることができるのですが、往々にして投資家は非合理的な行動を実施します。非合理な行動ををもたらすのは下記4つです。
(1) 自信過剰
必ず自分こそは儲かる、自分よりもっと馬鹿が尻ぬぐいをするはずだと信じ切っている心理。チキンレース。
(2) 偏った判断
自分の知見がすべてだと思ってしまう心理。投資アドバイスは受けるより、売る方がはるかに儲かる。
(3) 群れの心理
大勢が選んでいる方を選ぶ傾向にあるという群集心理。
(4) 損失回避願望
人は損失を利益の十倍大きく感じるという心理。損失が出ている株を保有し続け、利益の出ている株から手放してしまう。
質問の仕方で判断は容易に変わる。例えば、100人いるうち救える人数が限られているとする。「70人が死ぬ決断」と「20人が救える決断」は、後者が選ばれる傾向にあるという心理実験が有名。
6. 早い決断を。
投資は早くすればするほど複利効果で儲けやすくなります。また、リスクを取るなら、リスクを収入等で取り返せる若いうちにしましょう。