【読書メモ】zero to one

この本で新しく、絶えず発信しているキーワードは「独占しろ」ということに尽きると思います。

新しい市場を作ってしまえば競争せずに済みます。

この方法は作者が理想とする将来の「指数関数的な発展」に必要な概念となります。

どかんと理想を掲げて、一方で現実も捉えていて、「営業に影響されない人間はいない」とし、営業を非常に重要なこととしています。

この二つのトピックが特に、説得力のある実績(作者はあのペイパルマフィアの首領、ピーター・ティール)と相まって、新鮮な知見として吸収できた本です。

以下読書メモです。

0から1へ

1からNにするコピーではなく、0から1にすることで世界は書き変わる。それは人間として最も優れた本質である。

上記の前提のもと、2014年の現状と、企業としてどういうマインド持つべきかを書籍全体で説明しています。

独占と競合

シェアを独占している企業は、非常に楽な戦い方ができます。

競合相手が挑んできても独占しているほうはブランドと信用が構築されているので並大抵の独自性では顧客はなびきません。

少々の違いなら、すぐに独占企業側が模倣してかき消せるからです。

そうすると競争企業は差別化のため、市場における独自性を声高に主張しようとコストをかけます。

一方で模倣するだけならコストは下げられます。

より利益がでるのは明らかに前者の独占企業です。

競争にさらされないことで余裕が出来、より創造的な事業(発展)に力を注げます。

逆に競争に身を置く企業は、すでに市場があるので顧客は明確ですが、計画が投機的になり、沈みます。

よって、スタートアップ企業の基本的な戦い方としては、小さな違いを追いかけるより大胆に新しいものに賭けるべきなのです。

ランチェスター戦略ともいいますね。

ラストムーバーアドバンテージ

ツイッターは2012年上場当時赤字でした。

ですが翌年に時価総額は240億ドルに及びました。

企業価値とは将来生み出すキャッシュフローの総和なので、最終的にシェアを取得していればいいのです。

つまり、長期的な目線で独占を目指さなければなりません。

独占企業は以下の特徴を持っています。

1. プロプライエタリ・テクノロジーの所有
現状の10倍の改善をもっているテクノロジー。他の企業をを追随できなくさせる。

2. ネットワーク効果の所有
独占企業は規模を拡大することで指数関数的に強くなります。
ただしネットワーク効果を狙うものは最初は必ず小さな市場から初めて顧客基盤を作る必要があります。

4. 既存の価値を破壊をしない
破壊なんて言葉はもうオワコンです。直接既存の価値に喧嘩を売るような挑戦では否応なしに体力を消耗してしまいます。それよりかは、創造によって多少ステークホルダーの利益を奪ったとしても、結果として業界が盛り上がるような手法で在るべきです。

5. 一貫したブランディング
ふらふらとコンセプトがぶれる企業はファンがつきません。アップルみたいな一貫した世界観を提供します。

明確な計画

悲観主義であれ、楽観主義であれ、未来を真剣に考え明確に捉えようとするものが生き残ります。

今まであいまいな思想で出来ていたのは時代がそうさせていたからです。(その点であいまいなビジョンをもつアカデミズムやバイオテクノロジースタートアップは歩みが遅いとディスっています)

成功を実現するための計画がないのにどうして成功できるでしょうか。未来はコントロールできます。

計画はないよりずっとましです。

べき乗則

世の中の成功はべき乗則に則り、2割の成功者とあとはすべて失敗者です。

その差はパレート図のように圧倒的に大きいです。

投資をする際も、分散ではなく、どういうビジョンをもっていてどういう性質の企業なのかを徹底して見極め、そこに大きく集中させた方が儲かります。

コンサルタントよりもカルト寄りの集団であるべき

いろいろな選択肢を持ってきて、さあ、どれにしましょう、という選択をしていたら、結局既にあるような陳腐なプロダクトになってしまいます。

そうではなく、これはいいものだ!と信じ込んだら徹底的に突き詰めていかなければ、競合を突き放すような独自性のあるものは作れません。

その文脈で、スタートアップはコンサルタントよりもカルト寄りの熱気むんむんの集団であるべきなのです。

最初の人が大事

会社はスタートが何より重要です。

そこで共に歩む人を間違えたら、もう後はこじれるだけです。

一緒にいてなにより楽しい、モチベーションが保てる、興奮する人間とともに働くべきです。この意味でも、強い集団はある意味でカルト的です。

営業は大事

販売はプロダクトと同じくらい重要です。

皆自分が販売や営業に影響されていることを信じない、軽視するが、それも傲慢で錯覚である。と強い口調で述べられています。

優れたテクノロジーあってこそではありますが、同じだけ、セールス、マーケティングの持つ意味は大きいのです。

知って、買われなければ、どんな画期的な製品もゴミです。



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