【読書メモ】ゾーンの入り方
最近スポーツ庁長官にご就任された室伏アニキの著書です。
スポーツでうまくいかず、パフォーマンスが出ず、行き詰ってませんか?
そんな時に恐らく新しい視点をもたらしてくれる一冊です。
多くのスポーツ選手は、高い技術力を持っていますが、それを的確に文章に落とし込むだけの能力(身体の抽象イメージから具体事例)がなく、素人に情報が下りてきませんが、やはりアニキはスポーツ庁長官になるだけあります。
トピックでは伝わりづらい概念も実際に実演写真なんかも載っていたりして、すぐに実践できるようになっています。
是非手に取ってみてください。
以下読書メモです。
備品との同調
よく部活で備品を大切にしろと言われますが、大切に扱えばパフォーマンスが上がる仕組みの理由を聞かされません。
これについてアニキは、感覚としてその道具と同調でき、意識的に自由に扱えるようになるから。と回答しています。
アメリカの洗濯洗剤企業が行った実験では、どれくらい白くなったかを強調する商品より、香りをつける方が売れました。
事実より感覚に訴えた方が脳に効果があるのです。
試合時のイメージング
練習の時は本番のイメージで。本番の時は練習の時のイメージで。の究極をアニキはやっています。
アニキは試合会場に入ると、薄目で本番の筋肉の動き方、歓声、その場の感覚、ハンマーの重み、自身の体調、すべての臨場感たっぷりのイメージを徹底して作り上げます。
そこで理想的となるイメージを作り上げ、あとは本番でその通り行うのです。
その会場、環境でしかない感覚は必ずあるので、イメージしやすいようにその都度、その環境で作り上げます。
場数を踏んでそういった訓練をしていくと、新規の環境に対応しやすくなり、どの会場でも自身の理想的なパフォーマンスができるという仕組みです。
自分の感覚で空間、世界をも作り上げてしまうのです。そりゃどこでもホームグラウンドだったらリラックスして強いですね。
日々の練習
アニキは独創的な練習方法をすることでも有名ですが、アニキのモチベーションになっているのが、「新しい感覚を生み出す楽しさ」です。
極めても極めてもハンマーを極めることができないと故事に出てきそうな達人のような発言もされています。
追及することが楽しければ続きますし、またパフォーマンスも伸びる。
これがスポーツの真理なのかもしれません。
そのうえでちゃんと現代スポーツ科学のような知見も持っています。
体幹部から徐々に動かした方が力が大きく、スピードが速くなります。すなわち、末端の大きな筋肉を使うより、体幹部の大きい筋肉を優先的に使う動作の方がパフォーマンスはよいということになります。
しかしこれはなかなかわかってても使いやすい末端の筋肉を使ってしまいがちなのです。
なので、アニキとしては、日常のどんな動作も意識して全身の筋肉を使って動作する練習をすれば、練習時間を無限に増やすことができるのでお勧めとしています。
まさに常住坐臥。
コーチング理論
コーチング、指導は、指導者側が積極的に話しかけ、双方向のコミュニケーションをとり、同調しなければ効果は薄いです。
どちらかが一方的にコミュニケーションをとるやり方は良くないとアニキは指摘しています。
言うべきことは言い、黙するときは見守ってあげること。
アニキはそうおっしゃっています。
逆転呼吸法
アニキの数ある紹介の中でもすぐに試せてこれは!と思ったものがこの逆転呼吸法です。
やり方としては、
呼気時に収縮させた体幹部の筋肉、横隔膜筋・骨盤底筋群など、を吸気時にも意識し収縮させる。
とのものです。要は、息を吐くときに胸とおなかはしぼみますが、そのしぼんだ感じを息を吐くときにも再現するというものです。
こうすることで腹腔内の内圧があがり、 血流を高め気感を瞬時に高められます。
やってみてください。確かに一瞬で目が覚めるような、力がみなぎるような感覚になります。
気合が乗らないときはこの逆転呼吸法を固めないようあくまでさりげなく実施し、勝負に挑んでください。
よりよいパフォーマンスのために
アニキは自分だけのためではなく、誰かのために、を目標にすることができれば、よりよいパフォーマンスが得られるとしています。
ピークを過ぎたといわれていたアテネオリンピックでメダルを取ることができたのも、被災者の子供からの応援があったから頑張れた、と仰っています。
それは真理なのかもしれません。
また、アニキの好きな言葉に虚室生白というものがあるそうです。
何もない部屋にこそ日が差し込んで明るさが生まれるという意味で、心を空っぽにしてこそ、真理が見えます。
逆境こそ糸口が見える、と言い換えてもいますが、逆境で失うものがなくなってこそ、希望の糸口が見つけられるということです。
しみるぜ。アニキ。
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