「親ブロック」は子供を不幸に
就活生が進路先を決めて、それを親が反対する通称 ”親ブロック”
毎年この時期になると色々なところから聞こえてきて「そのブロックをやめてくれ〜」と毎回思うので、その思いが親御さんに伝われば、また決断しようと考えている学生のみんなに伝わればと思って書きます。
子供が可愛いのはわかる
前提ですが、子供が可愛いのはわかります。私も昨年より一児の父で、もう可愛すぎて可愛すぎて、彼がずっと幸せで生きて欲しいと心から思っています。
そんな気持ちに起因して、子供が就業しようとしている企業がどこぞのものかわからない場合、また安定していなそうな会社の場合、不安になって「そんな会社に行かない方がいい」と言ってしまう、思ってしまうのは至極普通の感情です。
わかります。とても共感します。なんなら就職レベルではなくて、風邪も引かないで欲しい、机に足とかぶつけないで欲しいです!!
ですが子供は、そして人間は怪我して、転んで、失敗して大きくなるのです。自身の経験を振り返ってもそうではないでしょうか?
(↓私の子供です、いや本当に可愛い)
若手で失敗しないと伸びない
前述の通り、色々と人間が強くなるのは失敗してこそです。失敗を何回して、そこから起き上がった回数の多さと仕事のレベルは確実に相関しています。そして若いうちに失敗に慣れておく必要があるのです。
失敗は親御さんではなく、子供(学生)本人ももちろんしたくないことです。失敗したい人なんていません。ですが、何かを起こそうとした時に失敗なしでうまくいくでしょうか?決してそんなことはできません。
合理的には理解できるとはいえ、失敗はしたくないという意識は潜在的に持っているので、人間は失敗に慣れないと絶対失敗しない仕事しかしなくなります。いわゆるルーティンワークのようなものです。
この仕事こそがAI/ロボットに代替されると言われているものであり、10年、20年後気付いたら自分の仕事がなくなる恐れがあります。
だからこそ、早いうちに仕事の失敗に慣れないといけないのです。
失敗の質
失敗からの学びが10倍違う条件があります。それは自分で決めてやったことか、そうではないかです。
自分でやろうと思ってやった失敗は自分のせいです。逃げられません。失敗してしまったら「やばい!!」という危機感が生まれ、どうにかしてその失敗を取り返そうとします。
一方で誰かにやれと言われた失敗は、「やばい!」とは思うでしょうが「あの人が言っていたし」「Webではそう書いていたんだよな」といった自己防衛思考が同時に走ります。残念ながらこれも人間として普通の思考です。
そしてこの自己防衛は取り返そうとする自分の意識を削ぐ(逃げ道ができてしまう)ため、個々人の成長は阻害されます。決断するのであれば必ず「自分で決めること」を条件にすることを薦めます。
失敗と思っていない
少し余談ですが、成功したビジネスマンやスポーツ選手などの話を聞くサロンやイベント、またそう言った方達の飲み会で話されることの7割は失敗談です。最初の質問は「どうやって成功したのか?」という類なのですが、その成功には失敗が欠かせず結局そればかり話しています。
そして彼らはその失敗に対してどう思っているかというと、そもそも失敗と思っていません。”成功するまでやり続けた過程にあった出来事”程度で、失敗という言葉が彼らの頭の辞書に入っていません。
だからこそ続けられるし、その”一般的な失敗”から得られるもので成長してやり続けた結果として成功したということです。
30年前は?
今の就職しようと思っている子供が20歳前後と仮定すると、日本の平均ですと親御さんのご年齢は52歳程度でいらっしゃり、就職したのは30年前の1990年前後と想定されます。
当時の日本の株価ランキングを見てみると上位はほとんど銀行(金融)、インフラ(通信/電気)、メーカーあたりです。いずれも日本の高度経済成長期の基盤となった業態です。
この時期から10年はご存知の通りバブル崩壊直後で、本当に就職も厳しければ仕事もうまく行かない苦しかった時代だと想定されます。そのような環境下ですので、企業の評価基準は減点主義。つまり失敗しない美学があった時代です。
つまり親御さんの世代は、仕事で失敗しないことが基本にあります。正直伸びにくい環境ではあったと言わざるを得ませんが、当時は終身雇用/年功序列がベースであり、長期での個人成長の最大化を前提にしていればキャリアにおいて問題はありませんでした。長期で仕事を続ければ年収アップが約束されていたからです。
終身雇用/年功序列は終焉
終身雇用/年功序列が維持できないということは、明白です。日本のマーケット(人口)が拡大から縮小に変わっていること、ITにより情報伝達がリアルタイムでできるようになったこと、グローバル化により人材の流動性が上がったことなどが理由でしょう。
いまの日本企業は縮小傾向にある日本マーケットにいながら、目線を世界に向けて多種多様な人材とテクノロジーを使い事業を伸ばしていくこと、大きな変化が迫られています。
企業にとってはとてつもない新しいチャレンジになりますので、膨大なトライアンドエラーが必要です。ですので、これができる人材を求められており、実際に失敗を失敗と感じず成功まで続けた経験を採用基準に入れている企業は多いです。
転職市場を長くみているので確信しておりますが、この力を持てれば、多くの会社から仕事のオファーが来ます。新卒でも中途でもです。結果、キャリアで安定し、本当の意味で失敗(ルーティンワークだけやっていて給与が全然上がらないどころか、終身雇用でもなくリストラされて仕事がAIに取られて再就職先がない状態)の可能性が限りなく0に近づきます。
だからこそ親御さんの気持ちはわかりますが、子供に自分で判断させ若いうちにいい失敗を経験して欲しい。今の時代は自分で選んだ挑戦からの失敗であれば、そして何度失敗しても成果までやり抜くことが評価される時代なのです。
まとめ
・若手は早く失敗に慣れた方が伸びる
・自分で決断することが大事で、その決断に親が入るべきではない
・日本企業は転換期にあり大量のトライアンドエラーが必要
・評価は減点主義ではなくなってきており、挑戦からの失敗は評価される
あとがき
もちろん、こんなこと全部分かっていらっしゃり、その上で子供の覚悟を試す上でのブロックをやっていらっしゃることもあるでしょう。親御さんとはいえど第三者に言われて揺らぐような決断は、決して成功しませんから。それはいいブロックですよね。ですので、そのような類のブロックを否定するつもりはありませんが、最近では選考に親が出てきたり、そんな会社行ったら家から追い出すとか泣くとか感情攻めにしたり、民間はダメとか無茶苦茶言ったりと聞いていて疲れることばっかりだったので、思っていること一気に書いてみました。前述の通り子供が可愛いのはわかります。私の子供はまだ幼いですが、その時間を20年積み重ねた子供の可愛さは一入でしょう。ですが、先日まで高校生だった20前後に子供は思っている以上に大人で、そして自分の足で社会への一歩を踏み出そうとしています。もちろんまだまだ未熟であり、失敗もあるでしょう。私もたくさんの失敗をして傷つきました。一生忘れることのできないこともあります。しかし、あれがあったからこそ、今があると確信しています。私も若輩者ではありますが、仕事では会社のメンバーをみて、事業を引っ張るまでになりました。私の親も、私の一社目の決断を納得していないようなところもありました。不動産の営業でしたから、あんまり印象はよくないですよね笑。ですが自分で決めたことだから、あの時色々と言われたけど、苦しい時こそ成功にしたいなとも思えました。本文は親御さんの時代とか祖父母の時代を否定しているわけではありません。ただ、時代はすごいスピードで変わっています。10年前はスマートフォンではなく、ガラケーを持っている人がまだいました。いまは会社に行かなくても仕事ができる時代です。社会が変化するのであれば、私たちはそれに適応しなければいけません。そしてこの時代に最も敏感なのは若者です。彼らの決断を尊重してくれること、心から願っております。
学生は親御さんを説得できる熱量を持ちましょう。自分の人生は自分で決めて責任を持つ。そう思っているからこそ、この会社なら幸せになれると自信を持って決断をして欲しいです。もし親御さんや第三者に言われて揺らぐような決断ならしない方がいい。やり直しはもちろんできますが、日本におけるファーストキャリアの選択はとても重要です。職種の流動性が低く、優秀人材が偏重し、終身雇用前提の教育体制に思考のスタンダードを作られてしまうためです。だからこそ自分で考え、悩み、苦しみ抜きその分決断に自信を持ってくれることを心から期待しております。
長文読んでいただき、ありがとうございました。