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風景のレシピ #20 “朝焼けの海”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #20 “朝焼けの海”

調理時間:12時間

材料:
坂道:一本
朝焼けの海:一面
海風:適宜
煙や朝霧:適宜
通行人:2、3人
小舟:適宜
苔むした石の壁:左右にひとつづつ
鉄柵:一重
家々:適宜


1.早朝の冷気と陽光をよくかき混ぜ、朝焼けをつくる。


2.雲と遠くの島はよく伸ばす。海には小舟をばらまく。


3.坂道を一本通し、左右に苔に覆われた古壁を添える。


4.危険な崖に鉄柵を設置する。眼下に港町をひろげる。


5.通行人と一緒にしばらく風景を眺める。


6.家々から立ち昇る煙や朝霧を全体に馴染ませ、仕上げる。


調理のコツ
*全体的にまだ眠りから覚めたばかりのように


朝の7時前
数種の苔に覆われた壁
舟に乗りたい人々
できあがり。クリックすると拡大して見られます。

◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

★「風景のレシピ」マガジンページはこちら
#1 “眠たい海辺の町”
#2 “石と流木のある部屋”
#3 “松林の散歩者”
#4 “夕景・手・オブジェ”
#5 “通り”
#6 “木立と川と蜃気楼の町”
#7 “Symmetria”
#8 “やさしい夕暮れ”
#9 “大きな駅”
#10  “夜想の海”
#11  “橋と暗い渓谷”
#12  “階段”
#13  “霧深き日”
#14  “忘れる広場”
#15 “捨てられたモノ”
#16  “都会の夜明け前(トーキョー風)”
#17  “地図にない場所”
#18  “家具のための野外劇場”
#19  “イタリアかさ松のある町”