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イギリス英語が好きな理由

さほど聞き取れるわけではないが、イギリス英語が好きだ。


その理由がやっとわかった。


『シャーロック・ホームズの冒険』(グラナダTV /イギリス)を観た時に気がついたこと。


ホームズの下宿先のハウスキーパー、ハドスン夫人が話すのを聞いて「これだ!」と思った。


子どもの頃、近所で英語を習っていた。

先生はドイツ出身のG先生。
旦那さんが日本人で、夫婦で大学の先生だった。
 
G先生は、決して流暢とは言えない日本語と、イギリス英語で、私たちに授業をしてくれた。

当時習っていたのはみな小学校低学年。
文法の話をされても飽きてしまう。
 
だからか、英語のレシピを見ながらカップケーキを一緒に作ってくれたり、ギターで「きよしこのよる」を弾き語りしてくれたり、英語の神経衰弱カードで遊んだり…と、いろんなことを英語と絡めて教えてくれた。


日本にいながら、G先生の留学先イギリスや母国ドイツの文化を自然と共有してもらった。


ギターで弾き語りも初めてだし、大きなキッチンに大きなオーブンが備え付けられてるのも初めて見た。 


一度も海外に出たことのない私が、海外出身の人と話してみようと思えるのは、G先生のおかげかもしれない。


昨日ふと、シャーロック・ホームズのハドスン夫人の声でG先生を思い出した。

G先生の声を聞いてる感じがするから、イギリス英語に惹かれるんだ。


G先生は、その後苦労された。

旦那さんが急死して、学生の娘さん2人を育てていかなければならなくなった。
 
先生は、簡単な日常会話はできるけれど、日本語の読み書きができなかった(旦那さんがやってくれていたので)。

時々、うちの祖母や母に何か聞きに来ることもあった。

祖母とはフィーリングが合うのか、よくしゃべっていたが、よく聞くとドイツ語と日本語。

祖母も日本人だが、遠く台湾から嫁いできて、異国出身のG先生と共感しあったのかなと思う。

祖母が亡くなった時、とても悲しんでくれたことをよく覚えている。


私が先生のところを辞めた後も、会うといつも褒めてくれた。
そして「サダコさん(うちの祖母)は素敵な人でした」と、祖母の思い出を精一杯の日本語で話してくれた。


G先生は、何年か前に水戸を引き払い、お嬢さんの住む遠くの地へ引越した。


もう直接会うことはないだろうけど、子どもの頃に先生に出会えてよかったなと今も思う。

どうか長生きしてくださいと思いながら、ホームズを観よう。



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