四コマ綺麗目小説「ワッペン」
*二人の例
男「やべ、制服のブレザーに穴空いてる」
女「ほんとだ、胸のとこ。ちょっと貸してみ、直しておくから」
男「いいよ、そんくらい」
女「大丈夫、任せて」
女「はい、出来た」
男「え!裏にワッペンつけてあんじゃん、
だっさ」
女「えっかわいいじゃん。
ねえ、お礼に奢ってよ」
男「なんでだよ」
寒風が足元に吹きつける校門の前で、
二人は茶色い缶コーヒーと
白いミルクティーを飲み合った。
煌々と照らされる新郎新婦の高砂席に座りながら、ひそひそと二人は話し始めた。
男「ドレス、似合ってるよ」
女「ありがと。タキシードもね」
男「ありがとう、でも見て」
男は胸の裏地を見せた。
女「え!ワッペン?何で付けてるの、ださっ」
男「いいじゃん、
もう着る事なんて無いんだから。
ワッペンついてるタキシードなんて、
俺くらいしか似合わないだろ」
石鹸と甘い匂いがふんわり香る人々の中を、
或いは白いシートの掛かる山々の中を、
茶色い絨毯に沿ってゆっくりと
二人は歩き出した。