CSR意識向上と活動促進に向けたポータルサイト構築のすすめ【事例あり】
SDGsの目標達成期限(2030年)が間近に迫る2022年は、企業内のコミュニケーションにおいても社会全般に対する影響と関与が一層重視されるようになっています。
多くの企業は規模の大小にかかわらず、自らの事業がどのように社会に貢献し、現状どのような取り組みを行っているのか、ステークホルダーに向けて積極的にコミュニケーションを図っています。
しかし、それを外部社会に伝えていくのは、企業に所属する従業員の一人ひとりです。社員自身が自分ごととしてCSRの理念や目的を理解していない限り、望ましいコミュニケーションを図ることは不可能でしょう。頻発する企業の不祥事や舌禍案件が、その重要性を物語っています。
そこで、より実践的で内容の伴ったCSRコミュニケーションにするために、社内における意識の向上と活動促進を目的とした、CSRポータルサイトの構築をおすすめします。
会社のCSR方針に対する社員の理解を深めるには
サステナビリティ(持続可能性)やパーパス(企業の存在意義)といったキーワードが、経営における重要な要素となって以来、webサイトで自社のミッションやビジョンについて語る企業トップの姿が目立つようになりました。
顧客や投資家、社会一般などの外部ステークホルダーに対してこうしたメッセージを掲げるのは、企業の姿勢を示すうえで非常に大切です。
しかし、そうしたトップダウンのメッセージも内部の従業員にしてみれば、「なるほど、そうか」というレベルに留まり、自分ごととして理解するまでに至るのは難しいものです。
企業としてCSRに取り組む方針の本質を、社員一人ひとりに浸透させていくためには、社内の具体的なCSR活動事例を共有することが有効です。
従業員に企業の根本的なマインドとしての理解を促し、共感を醸成する組織内のコミュニケーションに力を入れると共に、従業員が強くイメージできる身近なロールモデルについて発信することが、効果的な役割を果たすでしょう。
CSR部が積極的に社内へ情報発信すべき理由
CSRは企業の存在意義やミッション、ビジョンと直結する経営上の重要なテーマです。マーケティングや広報、IRなどの部署が情報発信を行う場合もありますが、CSR部などの専門部署がある場合は、その部署が中心になって戦略的に情報発信を行います。社内に対して積極的に情報発信を行うのは、次のような理由があるからです。
頻繁に発信することで「会社の本気度」が伝わる
社内事例を集めることで、多方面に活用できる
社内事例を紹介することが、現場の活動を後押しする
頻繁に発信することで「会社の本気度」が伝わる
企業の社会的責任に関する情報を統括するCSR部は、経営に直接関わるトップに近いセクションです。
そのセクションが旗振り役となって、CSR情報の社内流通を促進することは、会社側がそれだけ本気で従業員の理解や参画を求めていることの証明となります。
また、単に一過性のメッセージを出して終わらずに、現在進行形で頻繁にCSR情報や社内の取り組み事例をアップデートしていくことが、「会社の本気度」を伝え、従業員の意識変革を促すことに貢献するでしょう。
社内事例を集めることで、多方面に活用できる
CSRはその性格上、観念や概念としては理解していても、「実際に自分たちが仕事を進めるうえで、どう反映させればよいのか」なかなかイメージがわきにくい、という声をよく耳にします。
そのため、社内の各部署や事業所、またグループや職位職階ごとの取り組み、地域や協力会社、取引先との協働事例など、具体的で多様な事例案件を収集することが、活動の旗振り役を担うCSR部の重要な役割となります。
集めた多様な事例は、企業のwebサイトやサステナビリティ報告書に掲載したり、社内報に記事化したりと、適切な媒体を通じて発信することで社内外に向けて企業の本気度を示すことができます。
具体的な事例が蓄積されていれば、社内に表彰制度を設けて推薦したり、外部のCSR事例紹介や顕彰に応募したりするなど、活用できる範囲がさらに広がるでしょう。
社内事例を紹介することが、現場の活動を後押しする
前例のない取り組みを進める際に最も困難なのは、最初の一歩を踏み出すことです。そのため、現場におけるCSR活動を効果的に進めるためには、まず「身近で簡単な事例」を紹介しましょう。そこから「そういうことで良いのか」「こんな視点や観点があったのか」という気づきが生み出され、現場の活動を後押しすることができます。
意外な人物の活動や部署の取り組みを知ることで、「あの人がこんな取り組みをしている」とか「これなら自分たちにもできそうだ」というモチベーションにもつながるでしょう。
このように活動の参考となるロールモデルを示せば、CSRが単なるお題目ではなく、自分ごととして体現できるテーマだということを効果的に浸透できます。
CSR部が社内へ情報発信するメリット
CSRの担当部署が社内に積極的・戦略的に情報発信していくことは、CSR活動の推進だけにとどまらない以下のようなメリットを組織にもたらします。
従業員の満足度が向上する
コンプライアンス違反の防止につながる
コミュニケーションの活性化につながる
従業員の満足度が向上する
CSRによる社会貢献の意識と実感は、従業員が日頃感じている業務への責任感や、やりがいをさらに向上させ、高い達成感を後押しします。
マズローの欲求五段階説によれば、人は初歩的な生存欲求に始まり、自分が社会にとって有用な活動をおこなう存在であり、人々により貢献しているという実感が得られるほど、自己実現と充足を感じられるとしています。
自分の仕事が社会貢献に繋がっていると自覚することが、自信を持って所属する企業で働くモチベーションとなっていくのです。
コンプライアンス違反の防止につながる
従業員や役員によるコンプライアンス違反は、仕事に対する責任意識の不足や、企業と社会のつながりに対する認識不足、組織に対するエンゲージメントの不足などに起因します。CSR活動を通じた社会への貢献意識を醸成し、業務への責任感ややりがいを高めることは、コンプライアンス違反の防止にも効果的です。
だからこそ、トップから一般従業員に至るまで、企業が目指すCSR活動の意義を浸透させることが重要です。
CSRのセクションが繰り返し社内に情報を発信し続けることで、コンプライアンスを遵守する組織体制の構築を促すことができ、不祥事の発生やリスクを最小化できるでしょう。
コミュニケーションの活性化につながる
自社のCSR活動の中心となる理念、考え方を伝え、それに基づいてそれぞれの部署や個人がどのような活動を行っているのか伝えることは組織全体のコミュニケーション活性化にも寄与します。また、組織内の事例について情報収集し、共有する過程において部門横断的なコミュニケーションの機会も発生するでしょう。
企業内におけるタテヨコのコミュニケーションや、部署内のコミュニケーション。そして取引先をはじめとする外部とのコミュニケーション、近隣自治体や住民、業界や株主に至るまでのあらゆるステークホルダーとの関係を深める契機やツールとしても、CSRの情報発信が機能します。
SharePoint Onlineを使ったCSR部のサイト構築方法
CSR部による社内向けポータルサイトの構築は、専門的な知識を必要とせずに簡単にシステム構築でき、更新やコンテンツの管理が可能なSharePoint Onlineの活用が便利です。
もちろん、効果的に活用するためには、ツールへの理解が欠かせません。サイト構築にあたっての基本的な手順を押さえ、以下のステップで成功を目指していきましょう。
サイトの目的を明確にする
サイトを構築するにあたって、まず主たる目的をどこに定めるのか明確にしましょう。社内の現状が基礎的なレベルから始めなくてはならない場合は、企業としてのCSR理念・方針や、SDGsの理解促進・浸透を目指します。
具体的に行動した事例が少ない中、活動の活性化を促すならば自社リソースをCSRに結び付ける提案や、他社事例の紹介などを行いましょう。事例があるにも関わらず社員に周知できていない場合は、担当者インタビューなどで共有化を図るのも良いでしょう。
このサイトを利用することで、社員にどのような意識・行動を期待しているのか、マイルストーンを決めておくことが効果測定の面でも有効です。
目的達成のために必要なコンテンツを洗い出す
設定した目的に合った社員に使ってもらう社内ポータルを作成するためには、必要なコンテンツを洗い出すことが重要です。CSR部の視線で書かれた記事だけでなく、関係者への取材、実際の活動をレポートした動画、可視化した従業員の意識調査などを活用しましょう。自分たちに欠けている要素は何か、どのようなコミュニケーションスタイル、媒体が望ましいか、企画を十分練って効果を狙ってください。
コンテンツに優先順位をつけて、トップページの構成を決める
使ってもらうサイトにするためにはトップページの構成が大切です。複数のコンテンツを組み合わせたり、全体の解説から始めて具体論に導くなどの構成の工夫を意識しましょう。CSR意識が未成熟な組織では、FAQなどニーズがありそうなコンテンツを最も目に付くように配置するなど、優先順位を決めて臨むことがおすすめです。先入観や定型にとらわれず、ユニークで話題になるようなトップページを、外部リソースなども活用して構成していきます。
必要な機能を洗い出す
上記のニーズに合致した社内ポータルを作成するためには、どのような機能が求められるかを把握しましょう。サイトに搭載する機能、ユーザーインターフェース、リモートの操作性、外部との連携などが十分でないとは、認知度・利用度が低いまま誰も訪れずに終わると労力を無駄にする残念な結果を招きかねません。
ページのプロトタイプを作成する
構成や初期コンテンツが揃ったら、一般的なサイト構築と同様に、プロトタイプを走らせます。最初から完璧を目指さずに、ひとまず作ってみた上で要件や機能の見直し、デザインのブラッシュアップを図ります。思わぬ見落としや発見が見つかることも少なくないため、リリース→反響把握→修正のサイクルを繰り返して、コンテンツを充実させていきましょう。
完成したら社員に周知する
ローンチの前から、社内には告知していきます。設置の目的と利用の仕方を社員に周知して、利用を促してください。デジタル・アナログを取り交ぜたさまざまな情報接点を使うと、より多くの社員に伝わるでしょう。社員に使用を促した後はアンケートをとるなどして、双方向でのコミュニケーションをうまく活用してください。
CSR部門サイト構築の企業事例
ここでは、ソフィアが実際に行ったCSR部門サイト構築の企業事例を紹介します。ぜひ参考にしてください。
CSR部門サイト立ち上げの背景や目的・用途
大手化学メーカーとして知られるA社は、企業全体でCSRの活動に取り組んできました。外部社会に対しては一定のコミュニケーションによる情報発信を行っていましたが、一方で社内の理解や共感の形成が課題でした。
そこで会社として取り組んでいるCSR活動を社内に広く周知し、各従業員がそれぞれの現場でCSRを意識しながら活動できるよう、ポータルサイトを活用した働きかけを行いました。
これにより「自社にとってCSRとはなにか」が周知徹底され、同時にCSRについての教育コンテンツも合わせて発信することができ、社内にCSRやサステナブルに関する共有化の土壌が醸成されていきました。
発信したコンテンツやウェブパーツ・機能
CSR基本方針
企業としてCSRにどう向き合っていくのか、活動の中核となる考え方を経営理念やビジョンと関連づけて解説しました。これによりCSRへの取り組みがどのように企業価値向上につながっていくのかを、社内で共有することができ、CSRにおける共通言語となりました。CSR情報室
CSRを理解し、また関係社会に説明する際に活用できるよう、会社で取り組んでいるCSR活動の事例を紹介。また社外からの評価結果も共有できるようにしました。他社事例紹介
CSR活動について世の中にどのような期待感があるのか、実際の市場ニーズを紹介。概念解説に留まらず、他社の取り組み事例などを解説して実践的なコンテンツ発信を心がけました。リスト機能の活用
社内外のCSRに関する最新トピックスをリスト化して発信。主にテキストベースで簡潔に概要を説明し、添付された詳細資料に誘導することで、ビジュアルで具体的な内容を分かりやすく示しました。ドキュメントライブラリ機能
会社から市場に向けて発信しているCSRレポート、社外からの評価結果といった資料をPDFファイルとしてライブラリにまとめ、アーカイブにしました。発信文書の分類ごとに整理して、必要とする部署や社員をすぐに参照できるよう社内共有しました。
まとめ
皆さんもご承知のように、SDGsが掲げているゴールは2030年。残された時間は、あとわずかしかありません。日本の政府だけでなく、国際社会もサステナブル社会の実現を目指して多くの取り組みを行っています。その中で企業は、「パーパスの表明」「ステークホルダー資本主義の意識」といった新たな姿勢が問われています。
企業を取り巻くステークホルダーは、顧客や投資家、求職者、取引先、地域社会などあらゆる方面に存在します。外部に向けた情報発信は盛んに行われますが、重要なのは従業員やその家族、サプライチェーンを構成する協力会社などの、内部ステークホルダーです。
自社が社会課題の解決において価値を発揮している、という自覚を持つことで、社員の誇りややりがいも向上していきます。
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