改善の原動力となる「プロダクトへの愛」。SODAのCITは攻めるために守る
「世界中が熱狂する次のマーケットプレイスをつくる」をミッションにスニダンを運営する株式会社SODA。
急激な組織拡大に伴い、バックオフィスの体制も絶賛強化中だ。今回は渋谷オフィス、ロジスティクス拠点やストアなど、複数の拠点にまたがる400名超のメンバーを支える「コーポレートIT(CIT)」チームのマネージャーである長山さんに、CITのミッションや理想とする組織などについて語ってもらった。
「伝統的な日本企業」から「ガツガツ攻めるスタートアップ」のSODAへ
ーはじめに、長山さんのSODAご入社までの経歴について伺えますか?
長山:僕はSODAが2社目で、学生時代は農学部でゲノム解析の研究をしていました。ゲノム解析の分野では膨大なデータを扱うので、解析にコンピューターを使います。その中で自分でプログラムを書いて解析を行ったことがコンピューターに興味を持ったきっかけです。
ーそうなんですね。ちなみに、なぜ学部として農学部を選ばれたのですか?
長山:元々は微生物に興味がありました。でも研究を進めていく中で、同じ手順を踏んでいるのに例えば天気や気温、湿度といった自分ではどうすることもできないことにより結果が異なることがありました。それが自分には合わなくて(笑)。同じことをやったら同じ結果が出てほしいというか。それがコンピューターなら、多くの場合は同じことをやったら同じ結果になるので「コンピューターって気持ちいいな」と思うようになりました。
ーなるほど(笑)。では1社目(前職)についても教えてください。
長山:1社目はSIerの会社に10年ほど勤めました。インフラ、セキュリティ領域を中心に担当し、オンプレミスからクラウドまで幅広い業務を経験させてもらいました。ある程度の知識を身につけられたタイミングで、同じくAWSのクラウド環境を導入しているSODAへの転職を決めました。
ー10年勤められた会社を辞め、スタートアップであるSODAを選ばれた経緯について教えてください。
長山:前職は会社の規模が大きく、自分が担当している領域は全体のごく一部でした。またBtoBの事業が多かったため、自分の出した成果に対するお客様の反応を見る機会も多くはありませんでした。事業全体のバリューストリームに関わりたい、自分の出した成果に対するポジティブな反応もネガティブな反応も直接受け止めたいと思い転職活動をはじめ、活動の過程で出会ったのがSODAでした。SODAを知った時に一番響いたのは「全員リードエンジニア」というエンジニア組織のバリューでしたね。それぞれのエンジニアが「自分がこれを解決するんだ!」という意識を持って、ガツガツ攻める感じに惹かれました。
ー攻めの姿勢は入社前から伝わっていたのですね。
長山:そうですね。CTOの林さんが当時面接してくれたのですが、その中で「SODAはこういうスタンスでやってます!」と説明していただいて、すごく響きました。
コーポレートITと"情シス部門"の違いはどこにある?
ーありがとうございます。では「コーポレートIT(CIT)」のお仕事について教えてください。
長山:分かりやすくいうと「社内全体のIT環境・仕組みを整えていく」といった仕事です。一番イメージしやすいところだと、社内で使っているPCやモニター、Wi-Fiをストレスなく利用できるようにすることなどが該当します。
ーそれはいわゆる「情シス」と呼ばれる仕事とは違うのでしょうか?
長山:個人的には「攻めの情シス」と考えています。いまお話したような「端末やネットワークを整える」というのは、働く環境では必ず必要になる"守りの部分"です。でもそこだけではなくて「使いやすいIT環境」の実現を目指して全社的な視点での仕組みの構築、新システムの導入を重ねていくといった"攻めの部分"もCITの役割だと考えています。
ーそれは例えばどのような活動ですか?
長山:例えば勤怠管理や経費申請などの事務作業をより簡単にミスなく実施できるシステムを構築することはもちろん、そこだけではなく実店舗やロジスティクスなど現場の業務をよりスムーズに行えるよう改善策を一緒に考えたり。バックオフィス業務だけではなく、現場の業務についてもITで改善できるものがあればCITで改善を行っていきたいと考えています。
ーなるほど。ではそんなCITのチームで、長山さんご自身はどのような役割でお仕事をされているのですか?
長山:僕はマネージャーとして、チームの方針となるロードマップを作るところから始まり、優先順位をつけてそれぞれのメンバーにタスクを割り振っていくといった交通整理をおこなっています。もちろん自分が手を動かすところもありますが、一番大きいのはチームとして向かうべき方針を決めるところですね。
ーチームの構成について教えてください。
長山:チームとしては「維持管理チーム」と「エンハンスチーム」があります。前者は先ほどお話した端末やネットワーク環境の整備といった、"守りの部分"を担うチームで、チームメンバーが2名。後者は"攻めの部分"を担うチームで、メンバーは僕1人です。組織としてはCITという部署のマネージャーを自分が担当しており、その下にそれぞれのチームがある、といった体制です。
対象者は全部署・全社員400名。理解を深めるコミュニケーションが大切
ー元はSRE(サイトやシステムの信頼性を向上させる役割のエンジニア)として入社され、後にCITへと異動されたとのことですが、それはご自身の意志だったのでしょうか?
長山:自分で異動を希望しました。SREとコーポレートエンジニアは業務の領域がまったく異なるので、当然扱う技術も異なります。現在のCIT部署では"ゼロトラスト"をキーワードにIDaaS, MDM, EDRなどの製品の導入を進めているのですが、僕はそちらの知識があまりなかったので今後のキャリアを考え「異動してそれも身につけたい」と思ったのが理由です。
ー実際に異動されて、いかがでしたか?
長山:大変でした(笑)。
ーそれ、詳しく伺いたいです(笑)。
長山:元々、SODAには情シスやCITという部署はなく、総務が兼任していました。もちろん総務はITの人間ではないので、"なんとかいまを回していく"ところにフォーカスしていて、その結果としていろんなところに綻びだったり統一性のなさが出てきてしまっている状態でした。なので「現状、どうなってるんだっけ?」を確認するところから始めたのですが、社員が400名も居る会社なので、現状を把握することがまず大変でした。
ーほかにはどういった点が大変だったのでしょう?
長山:技術的な難しさより、プロジェクトを進めていくための細かな部分の調整が大変でした。
SODAはどこの部署もそうですが、自部署だけで(仕事が)完結することがあまりありません。特にCITでいうと、その対象が「全部署・全社員」になってくるため、対象となる人が多くなります。
各部署ごとにこれまでの業務フローや文化が異なるため、通り一辺倒のやり方ではまず正解に辿り着けません。だからこそ細やかなコミュニケーション、泥臭く一つ一つ確認することが大切になります。パッとスマートに解決するイメージとは少し異なるかもしれません(笑)。
ー全部署・全社員対象となると、施策一つひとつの影響も大きい分パワーも要りそうです。
長山:ITのリテラシーは部署や人(個人)によってバラバラなので、そこは直接会話をして理解を深めていく感じです。コミュニケーションの入口は「相手がどれくらい理解しているか?理解していないか?」を知るところだと思っていて、問い合わせがきたときに「まず、何が起きてるんだっけ?」を確かめるところから始めるようにしています。大変ではありますが、この社内コミュニケーションは各部署のことを理解する上でもとても大切です。
「利便性を落とさずにセキュリティを向上させること」を目指して
ーではそんなCITがチームとして持っているミッションについて伺えますか?
長山:一番は「社内の利便性を落とさずにセキュリティを向上させること」です。これを両立するのはなかなか難しくて、ルールをガチガチに固めてしまうと自由度が落ちてしまい「あれがやりたい」「これがやりたい」という現場の要望が叶えられなくなっています。だからそのバランスをどうとっていくか?が大事だと思っています。
ー現場側からすると、ガチガチのルールは正直「面倒だな…」と思ってしまうこともありそうです。
長山:たしかに社員の気持ちに立つと、セキュリティ対策って面倒なことだとは思います。なので、いかに使う側にセキュリティを意識させないか、普通に使っている分にはセキュリティが守られている状態で、なおかつ直感的にシステムを使える環境を整えていくか、が僕らのミッションです。
ー私たち現場社員を「負荷がかからないようなやり方で正しい方向に導く」イメージでしょうか?
長山:そうです。よくセキュリティの文脈では「ガードレールを敷く」といった表現が使われますが、こちらがガードレールを敷いておくことで、操作を誤った場合でもちゃんと安全に使えるようにする。そういった仕組みの整備が我々のやるべき仕事ですね。
究極的には「CITが居なくてもいい会社」こそが最強?
ーツールや仕組みを導入する際、重要なポイントはどんな点ですか?
長山:システムは一度導入してしまうと簡単には置き換えができません。そのため、いくつか製品をピックアップし、できること・できないこと・使いやすさ・料金などを比較し「SODAに最適なのはどれか?」を検討していく必要があります。その中で特に大事なのは、できないことを見極めること、数年先もイメージして検討を行うことだと考えています。
ーその最終決定者はマネージャーである長山さんですか?
長山:最終決定者は経営層になります。僕は「A・B・C案があり、それぞれのメリット・デメリットはこれです。これらの案の中ではA案がいいと思います!」といった提案を行い、経営層が判断できる状態を作っています。
ーさきほどの「コミュニケーションの大切さ」とも関係するかもしれませんが、そういった経営層とのやり取りも頻繁に発生するのでしょうか。
長山:よくあります。経営層はITやセキュリティのプロではないので、そこに対して「これにはこういったメリットがあるが、やらなければこういうデメリットがある」といった具合に、金額に見合うだけの価値を説明します。
ーなるほど。そこにGOサインがでなかった場合、どう対処されていますか?
長山:GOサインが出ない理由にもよりますが、単純に予算の都合だけであれば予算がつくまで延期することもあります。しかし中には延期できない案件もあるため、そういったものは代替案の提示や可能な範囲での軽減策を行うことで対応しています。会社の現状といまの自分たちの課題を比べた際に、いま取れる最善の選択肢を取っていくということですね。そこが腕の見せ所かなと考えています。
ーでは交渉する力もかなり要求されますね。
長山:そうですね。予算を取るためには交渉力が、代替案を提示するには技術力が求められます。
ー会社を成長させる攻めの姿勢と、CITのミッションでもある守りの姿勢はどのように折り合いをつけていらっしゃるのでしょうか?
長山:CITの業務として滞りなく業務を継続できる環境を整えるという守りの側面はあるのですが、それは決して”守り”だけではなくて、会社としてGMVを伸ばすという"攻め"を支える土台・基礎となる部分だと考えています。土台をどれだけ強く・広く築けるかによって、後に打ち出せる施策も変わり、GMVも大きくなると考えています。そのため、攻めるために守るという意識を持って仕事をしています。
ー「攻めるための守り」を社内で理解してもらうために、長山さんが行っているアプローチはありますか?
長山:啓蒙活動はいまできていないので、今後は行っていきたいです。これは究極的な話なのですが「CITは居なくてもいい」というか、「社員の一人ひとりが自分たちでセキュリティの意識を高く持っていられる環境」を整えられれば、我々は居なくてもいい。それが"最強の会社"かなと思っています。
応募者に求めるのは、改善の原動力となる「プロダクトへの愛」
ーそんな最強の組織を目指すため、いまCITでは新たなメンバーを募集しています。その方が入社された場合、どんなチームで働くことになるのでしょうか?
長山:チームとしては、僕がいる「エンハンスチーム」への配属を想定していて、業務のキーワードは「ゼロトラスト」。セキュリティを高めるための土台は徐々に出来上がってきていますが、それをさらに発展させることが次のステップになります。
ー「ゼロトラスト」とはどういった取り組みですか?
長山:その名のとおり「誰も信頼しない」ことを軸としたセキュリティの取り組みになります。従来は会社の中にいる人は安全な人、会社の外にいる人は危険な人というネットワークを境界とした防御の考え方が主でしたが、近年リモートワークが一般的になったように、いまではどこからでも安全に会社のリソースにアクセスすることが求められています。その場合、誰が安全な人で誰が危険な人なのかの基準はこれまでの考え方と大きく変えなければなりません。その仕組みを整え、社員が安心して社内システムを利用できるようにするための取り組みです。
ー入社後のフローはどういったイメージでしょうか。
長山:入社される方によりますが、まず最初は「維持管理チーム」としてSODAの社内環境の理解を深めていただきます。というのも、将来的に「エンハンスチーム」に来てもらう場合でも、社内の業務・仕組みがどう回っているか?の理解が浅いと最適な改善の行動を起こせないためです。入社される方の経験によりますが、数ヶ月程度でエンハンスチームへと異動いただくことをイメージしています。
ーありがとうございます。新しく入られる方に持っていてほしい心構えはありますか?
長山:"全員リードエンジニア"のバリューはCITも掲げていきたいと考えています。SODA はスタートアップであり、まだまだやりたい施策が多くあります。それらをスピード感を持って改善していくためには、他人任せにするのではなく「自分が第一人者である」という意識を持って行動していく必要があります。それに加えて、最適な解決策を打ち出すためには現場とのコミュニケーションが不可欠です。「各部署に寄り添っていく」ことがSODAのCITのやり方だと考えているので、人との会話を大事にしていきたいという方はチームに早く馴染んでもらえるのではと思っています!
ー技術力だけじゃなく、コミュニケーション能力も求めているということですね。
長山:はい!知識と技術はもちろんフル活用していただき、その上でいろんな人とコミュニケーションをとりながら事業や課題を理解し、そこにフィットした形で「どう進めるのが最適か?」を考えていただくのが期待したい仕事の進め方になります!
ーでは最後に、こんな方にきてほしいというイメージを伺いたいです!
長山:すごくありきたりなのですが「プロダクトを好きになってくれる人」というのが一番です。いま現在はそこまででなくとも、入社後にそうなってくれるという意味も含めて。CITの顧客は社員全員です。顧客に良いサービスを提供するためには顧客の業務を理解すること、適切なコミュニケーションをとることが必要だと考えています。それらをちゃんとやるのはかなりハードで、好きなプロダクトでないと実践できないと思うんです。「裏側ではこうやって人やシステムが動いてるんだ」というところを理解して、「それならこうすればもっと改善できる」と自ら動いていくためにはプロダクトへの"愛"が必要かなと思います。
ーなるほど!「プロダクトへの愛」はぜひ持っていただけると嬉しいですね。ありがとうございました!
SODAではCITをはじめ、共に事業拡大を目指す仲間を募集しています。ご興味をお持ちいただいた方はぜひご応募をお待ちしております!