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【レビュー】レミーロからのロングボールをどう考えるか EL第4節 プルゼニ - レアル・ソシエダ
24-25ヨーロッパリーグ(EL)も中盤となる4試合目。
レアル・ソシエダはここまで1勝1分1敗。
ラ・リーガの方を重視した選手起用だったから、というのもあるが、ちょっと取りこぼしてる感じも否めない。
次節以降にはアヤックスやラツィオといった強豪との対戦も残っているので、今節のヴィクトリア・プルゼニにはぜひとも勝っておきたいところ。
前節、テルアビブ戦はこちらから
チームコンディション
📋 Biharko partidarako 𝗱𝗲𝗶𝗮𝗹𝗱𝗶𝗮. AUPA REAL!!!#UEL pic.twitter.com/cNXwkH2c4w
— Real Sociedad Fútbol (@RealSociedadEUS) November 6, 2024
バレネチェアとトゥリエンテスは引き続きお休み。
スターティングメンバー
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まさかのターンオーバー無し。
直後のバルセロナも大事だけど、そろそろELも本腰入れないとまずいという判断か。
試合結果
1ー2
得点:オスカルソン
チームスタッツ
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このスタッツ差で試合に負けたのは正直ちょっと悔しい。
プルゼニのパス本数(自陣)に関しては後ほどちょっとだけ触れます。
シュート位置
前半
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後半
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ゴール手前からのシュートはオスカルソン2本、オヤルサバル2本。
1点が遠かった。
個人スタッツ
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オスカルソン&オヤルサバルの日。
試合内容
プルゼニのシステム
プルゼニの守備設計が面白かったのでぜひ書き残しておきたい。
ソシエダのビルドアップに対して、5−2−3のような形を組む。
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中央にいる80番アドゥが、スビメンディにびったりマークなのはよくあることなのでこれは良い。
注目は33番イェルカと31番シュルツのスタート位置。
縦パスをケアするわけでも、SBへの横パスをケアするわけでもない場所に立っている。
これはおそらく5−2−3の2の脇、システム上スペースが生まれるエリアへのパスコースを潰している。
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なのでこの段階でアゲルドは、SBハビ・ロペスへもCBスベルディアへもパスが出せる。ビルドアップに詰まることはない。
ここから3パターンに分かれる。
1. CBへの横パス
2. CFへの縦パス
3. SBへの横パス
まずはCBスベルディアへの横パス。
横パスをきっかけに31番シュルツがプレスを強める。
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後ろのWB22番カドゥとLCB21番イェメルカも連動。局所的な同数を作って奪い、ショートカウンターに繋げる狙い。
これが奪いどころ、その1。
次はCFオスカルソンへの縦パス。
中盤のセルヒオ・ゴメスとスチッチのマークはマンツー寄りなので、縦パスを差し込むコースは比較的作りやすい。
プルゼニはここも奪いどころとしている。
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縦パスにより、オスカルソンとCB3番マルコヴィッチのマッチアップになるわけだが、ポイントはプルゼニがカバーに2人余らせているところ。
プルゼニとしては来るのが分かっている縦パスを引っ掛けてカウンターというのが理想。でも別に取れなくてもまだ大丈夫といった感じだろうか。
というわけで、これがその2。
最後はSBハビ・ロペスへの横パス。
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ここは奪いどころではないので、やり直しのリターンパスを誘導。
スタートに戻る。
ここまでがソシエダのビルドアップに対するプルゼニの狙い。
最後に、ソシエダがプルゼニを全員自陣まで押し込んだ場合。
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前線にいた2人が戻って5−4−1のブロックを作る。
プルゼニが用意した久保対策にも少し触れておく。
LWB22番カドゥかLCB21番イェメルカがファーストディフェンダーとして縦突破をケア。少し遠めの間合いを取って時間を稼ぎ、横から2人目が奪いに来るというダブルチーム。
加えて、カットインに備えてDMF23番カラヴァフも近い位置に寄ってくる。
先日のセビージャと違い、しっかりと警戒していたプルゼニはえらい。
プルゼニは攻撃面でもルール決めがいくつかあったようだが、特徴的だったのはロングボール。
ビルドアップなんてものをする気はさらさらないようで、GKとディフェンダーがボールを持った時はとにかくロングボール一択。
一応は前線にいる33番イェルカをターゲットにしているようだが、滞空時間を重視したようなアバウトなボールを蹴り上げてくる。
自陣でのパス本数65本という驚異的な少なさはこの表れ。
そしてロングボールのセカンドを拾えたら、両WBを上げて素早くゴールに迫るというのを攻撃の形のひとつにしている。
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で、それゆえにネガトラに弱い。
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オスカルソンのポストプレー
長々とプルゼニの話をしてしまったが、ここからは、そんなプルゼニに対してソシエダがどう攻めたのかという話。
まずはソシエダのポジトラ。
前半にあったソシエダのチャンスの多くは、ここから生まれている。
特にスチッチを経由した縦に早いロングカウンターは何度もあり、スチッチのプレス耐性(ボール取られないこと)とパス精度の高さが際立っていた。
ゴールには届かなかったが、積極的にカウンターを狙っていく姿勢は、後半プルゼニのWBが押し上がる足を重くした。
ビルドアップから前進という点に関して少しみていく。
今季ここまでのソシエダと比較して大きく変わっていたのは、ポストプレーが頻繁に見れたこと。
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先ほど説明した通り、プルゼニもオスカルソンへの縦パスに備えているはずだが、オスカルソンはこの局面で何度もレイオフ(落とし)に成功している。
たったこのワンタッチでスビメンディのマークが外れ、前向きで受けれる。
スビメンディの展開力はソシエダにとって大きな武器であり、最終ラインに下りずに活かせるならそれに越したことはない。
オスカルソンはバレンシア戦での2ゴールに今回の1ゴールと、結果も出している。
ポストプレーだけでなく、スペースに走り込む動きや、ファールを受けても審判の笛を期待せずにプレーを続けるところも良い。
ワントップとしての序列を上げている。
なお後半途中からプルゼニは、オスカルソンが下りてくる位置にできるスペースを嫌ってか人を配置。
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これによりアゲルドとスベルディアのマークが緩くなり、ソシエダがボールを保持する時間が長くなった。
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オヤルサバル復調の兆し
ここのところオンザボール(キープ時)のプレーが振るわなかったオヤルサバルも、この試合では活躍が目立った。
アシストのシーン。
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オヤルサバルがボックス内までドリブルで押し込むシーンはたぶん今季初。
今後もそうしたプレーが見れるのか、再現性がどこまであるのかは定かではないが、調子の良さは伝わってくる。
加えてもうひとつ。
前半のビルドアップに詰まるシーンで見せた動きをピックアップ。
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中央の空いたスペースに顔を出してフリーで受ける動き。
ちなみにマークの右CB5番は、少し前にオヤルサバルのこの動きについていって空けたスペースをスチッチに使われているため、もうついてこない。
オヤルサバルの状況に沿った柔軟なポジショニングが活きている。
右は久保、左にオヤルサバル、中央オスカルソンという今回の並びは今後もまたぜひ見てみたい。
総評
ターンオーバーせず、勝ちを取りに行った試合を落としたのはとても痛い。
何度かあった決定機は決めきれなかったという点で考えれば、以前ほどの深刻さは無いが、なんといっても負け方が良くなかった。
最後の最後、プルゼニに流れがない中で決められたのは、今季なかなか調子を上げきれていないソシエダを象徴するような一幕だった。
マッチレビューは以上になります。
レミーロからのロングボールをどう考えるか
今回もまた緊急企画。
ラ・リーガ前節セビージャ戦と、今回のプルゼニ戦でどうも気になることがある。
それは3バック型のビルドアップを使わず、4バック型に終始したことで、最終ラインで詰まることが何度かあったこと。
そして詰まったらレミーロに戻してロングボール。
相手はハイプレスだし、出すところがないならそれでも良い。
別にここまでは問題ない。
でもロングボールって、一体どこに蹴れば良いんですか?
次の表は直近4試合の、レミーロが蹴ったロングボールの全成績をまとめたものになる。
比較として去年1年間の数字も用意した。
なお、ロングボールとは40ヤード(約36m)以上と規定している。
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3バック型のビルドアップを併用したジローナ戦とオサスナ戦では、インプレー中のロングボール率が18.4%と4.8%でとても低い。
反対にセビージャ戦とプルゼニ戦は上がっている。
これはレミーロのパスが相手に渡ってしまい、ショートカウンターを受けたタイミングで、ロングボールに切り替えるように監督から指示が飛ぶから。
そして以降は、ロングボール一辺倒になってくる。
注目してもらいたいのは、そのセビージャ戦とプルゼニ戦のロングボールの成功率が低い(15.4%、26.7%)ところ。
昨シーズンの41.4%と比べ、かなり数字が悪い。
この理由はターゲットの不在による。
去年までなら絶対的なターゲットとなるメリーノがいたから、困ったらロングボールに活路を求めることができた。
でも今季はそれが出来ない。
相手チームにハイプレスを掛けられて出しどころを失い、ロングボール。という流れでは相手の思う壺に陥りかねない。
ロングボールをどう効果的なものに変えていくかは、ソシエダにとって近々の課題だと思う。
ハイプレスのバルセロナ
次節のリーガは、強すぎバルセロナ戦。
今季のバルサは徹底的なハイプレス&ハイラインで、試合の主導権を徹頭徹尾握り続ける。もしもソシエダがハイプレスを嫌がってロングボールを繰り返せば、自滅という流れもありえない話ではない。
どうか引かずに積極的に。
できれば何かしらの策を用意してくれていることを願うばかり。
以上です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。