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【レビュー】激闘の続きは来季に 第24節 ベティス - レアル・ソシエダ

リーガでの連敗を3で止めたレアル・ソシエダ。
今節はベティスとのアウェイゲームに臨む。

現在はソシエダ7位、ベティス11位。どちらも今ひとつ波に乗り切れていないが、本来はもっと上で順位を争うような間柄。
来季のUEFA大会への出場権を占う上でも重要な一戦となる。

ちなみに前回対戦時、ソシエダのシュートはPKの1本だけ。後はベティスのオウンゴールがあって2−0の勝利を収めている。
さらにその前は、シーズン最終盤に勝ち点1差で対戦。ベティスのホームでソシエダが勝ち、EL出場を決めた。(ベティスはECLへ)

もっと遡れば、ソシエダは同カードで4試合負けなし。
しかもベティスを0点に抑え続けている。

(親善試合もソシエダの勝ち)

ベティスとしては、さぞリベンジに燃えていることだろう。

こわいこわい。



前節、エスパニョール戦はこちらから

前回のベティス戦



チームコンディション

  • オドリオソラ、アイエン、スベルディアが戦列に復帰

  • パチェコが怪我でお休み(1ヶ月くらい?)

  • ソシエダもベティスも、ともに中2日


スターティングメンバー

直近のミッティラン戦でも出てたのはブライスとアランブルのみ。

ベティスの今季新加入(夏冬)を赤字で記した。
多すぎる。
ちなみに収支はこんな感じ。

(transfermarkt.jp より)

買い物上手かどうかは、今季の最終順位次第。



試合結果

 0ー3

退場者:スベルディア、ベッカー

今季の一発レッド一覧。

第3節アラベス戦 前半29分 1−2(2)
EL第7節ラツィオ戦 前半30分 0−3(3)
今節 前半20分、後半30分 0−3(3)

カッコ内は1人減ってからの失点数

やっぱり前半で10人になってしまうと厳しい。

チームスタッツ

数値は FotMob.com より

シュート位置

ソシエダ

ベティス

24本

めちゃくちゃ打たれた。

個人スタッツ


試合内容

素晴らしい前半

まずはソシエダの守備から。

ベティスのビルドアップ局面に対しては、高い位置からプレスを掛ける。

(ベティスは4−2−3−1)

ブライスを1列前に出してCB3番ジョレンテに当てる。ベッカーは左SB12番ロドリゲスで固定。オヤルサバルがGK13番アドリアンまではプレスに行かないことから、ロングボールを蹴らせればOKというスタンスが見て取れる。

セルヒオ・ゴメスとスチッチは2人で3人(4、20、40番)をカバーする。

ボールのあるサイドに応じて、ソシエダの中盤がスライドする。

逆サイドに展開されたらまたスライド。

このスライドするシステムはわりと最近始まったもので、今回で4回目。

右のベッカーが常にマークを固定しているところがポイントで、守備の負担を軽くしている。つまりおそらくソシエダは、ベッカーのスピードを活かしたロングカウンターを攻撃の狙いのひとつとしている。


ベティスは最序盤こそロングボールを蹴ってきてくれていたが、早い段階で対策を打ってくる。

前半13分。

(ベッカーもスライドをサポート)

ベティスのピボーテ2人(4&20)が横並びを崩したことで、スチッチの守備が難しくなる。
さらには、22番イスコがかなり低い位置まで下りることもあるため、ソシエダのハイプレス局面での守備プランには逐一修正を施す必要があった。


自陣まで押し込まれた場合は、4−4−2の縦にコンパクトなゾーンを展開。

(なんとも珍しい)

マンマークはひとつもなし。
ライン間が空かないようコンパクトに保ちながらも、ボールホルダーには常に誰か1人がプレスを掛けにいく

ベティスがバックパスをすれば、ハイラインをさらに上げる。ベティスを自陣に押し返すほどの守備の圧力は素晴らしかった。

ここまで徹底したハイラインの4−4−2ゾーンは、おそらく今季初めて。


ベティスの3−2−3−2

今度はソシエダのビルドアップ局面。

ベティスもやっぱり前から積極的にプレスを掛けてくる。

(前半6分)

4−2−3−1から1人ずつ縦にスライドして3−2−3−2のような形で、同数でのハイプレスを実現。
ソシエダとしては、さすがにこの状況でビルドアップしていくのは難しい。ということで前線にロングボールを送ろうとすると、その瞬間にベティスは素早く4−2−3−1に戻る。

これを受けて、ソシエダの方も早々にスタイルを変更。

前半12分。
スチッチをスビメンディと並べ、ビルドアップに加える。

(ブライスは3番ジョレンテが出てきにくいところへ)

ベティスは迷うことなく同数をぶつけてくるが、ここでのソシエダは安易にロングボールに逃げない。

WGが下りてきたところに縦パスを入れながら、無理せず少しずつ全体を押し上げていく。ポゼッションの時間を増やすことで、攻守の入れ替わりが早かった試合のテンポを落ち着かせる狙いもあったと思われる。

展開力のあるスビメンディとスチッチを経由しながら、時にブライスとポジションを入れ替えながら、ボールを上手く前進させていく。


ソシエダがだんだんとベティス陣内でパスを回せるようになってきた頃、戦況は一変した。

アゲルドからの横パスが珍しくミスになったのを、左WG36番ヘスス・ロドリゲスに拾われてカウンターを受ける。
これを止めに行ったスベルディアが足を掛けてしまい、一発レッド



10人でも感じさせた勝機

残り時間はあと70分

ソシエダは4−5(あるいは4−4−1)のローブロック。

もうさっきまでのように、ゾーンで構えながらプレスを掛けにいくということは出来ない。ベッカーは中央にいるが、カウンターがどうこうなんて言える段階には程遠い。ライン間が潰れるほどコンパクトにして、とにかく前半を凌ぎ切るだけ。

それでも攻撃力に特化したベティスを抑え切るのは難しく、わずか10分後にはPKを献上してしまう。

ただこれをGKレミーロがストップしたことで、チームに活力が戻る。

前半終了間際には、数少ないチャンスから、スチッチのとんでもないスピードのミドルであわやゴールというシーンも。

そのまま前半はスコアレスで終了。

もちろん劣勢ではあるものの、まだベンチには久保もいる。
もしかしたら後半なにかやってくれるんじゃないか、そんな期待を抱かせてくれる内容だった。


悪夢の後半

ベティスは全然甘くなかった。

後半開始からわずか5分。
ゴール前でアランブルがクリアしたボールを、WG7番アントニーに超絶ボレーで叩き込まれて早々に失点。

ハーフタイム明けのソシエダは、前半よりも少しラインを高く設定したローブロックで構えていたが、早くもプラン変更を余儀なくされる。

(失点前)

耐えながら、しかも1点を追う展開。
ソシエダはこの失点後から、ラインをさらに上げる。

なるべく高い位置で奪ってショートカウンターに繋げたい狙いだったと思われるが、いかんせん1人足りない。パスの出どころにプレスが掛からない

(オヤルサバルの両脇がどうしても空いてしまう)

22番イスコと5番バルトラの正確な対角へのパスによって、むしろベティスにスペースと、前進のルートを簡単に与えてしまうようになっていく。

後半19分。
CB5番バルトラから左WG36番ヘススに対角のパスが通り、追加点に繋げられたところでゲームセット。

ソシエダに残されていたわずかな望みは完全についえた。



スベルディアのプレーはミスだったのか

スベルディアの退場が試合に与えた影響はあまりに大きかった。

もしあそこで足を出していなければ、なんなら最悪抜かれてゴールを許してしまっていても、退場よりは良かったんじゃないのか。
結果的には、そう思えてしまうのも仕方ない。

でも、果たしてあのプレーはミスだったのか。

(よく覚えてない方はハイライトをどうぞ。17秒からです。)


実はスベルディアに対して、以前にも同じことを考えた日がある。

それは22-23シーズンのバレンシア戦、スベルディアのオウンゴールが決勝点となって負けてしまった日。

(そこから再生されます)

試合を見終えた後、一日中スベルディアのことを考えていた。

普段(たぶん)朗らかで、(おそらく)真面目で、(きっと)気立の良いスベルディアが、このプレーをずっと悔いているんじゃないかと。

でもオウンゴールという結果に繋がってしまったからミスに見えるのであって、全力で止めようとしたプレーがミスな訳はない。それにサッカーはミスのスポーツだから、仮にスベルディアがミスだと思っても、どうかそんなに気にしないでいてくれたら良いなと。

何度もそのシーンを見返し、スベルディアの無念をおもんぱかった。

今回のベティス戦で、久し振りにその日のことを思い出した。


そもそもミスとはなんだろう。

失敗と訳すならば、この試合でPKを決められなかったベティスのロチェルソだって、PK失敗だからミスということになる。

でもロチェルソのシュートは、ちゃんと枠を捉えている。
軸足を滑らせたわけでもない。
これをミスとくくってしまえるのか。
単に、GKレミーロがロチェルソを上回ったというだけのことなんじゃないだろうか。

スベルディアにしてもきっと同じ。

あの時、スベルディアの頭にはディレイ(相手のプレーを遅らせる)という選択肢も当然あったに違いない。
それでも、取れると判断して足を出したんだから、出させるように仕向けた相手(36番ヘスス)が上手うわてだった。それだけのこと。

もちろんスベルディア自身は相当悔しいだろうし、多分に責任も感じているだろうが、これはミスではない

幸い、ベティスとは同じリーガ勢。再戦の機会は今後いくらでもある。
今回は苦杯を喫したが、次は絶対に止めてやろうぐらいの気持ちで、顔を上げてくれていることを願うばかり。



最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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