【ミニレポート】仙台長町未来共創センターに行ってきました!(株式会社フクダ・アンド・パートナーズ)
せんだい・みやぎソーシャルハブ(以下、ハブ)では、一人ひとりが気づいたまちの問題を取り上げ、市民・NPO・企業・行政など、さまざまな団体や人が力を合わせ、ともに解決していく場づくりをしています。
今回、ハブの事務局で、地域との共創・共生を目指す企業のオフィスビル「仙台長町未来共創センター」を見学してきました。
1.仙台長町未来共創センターについて
平常時と非常時で機能が変わるリバーシブル・ビルをコンセプトとして、地域に寄り添うオフィスビルです。
平常時「共創」:人を育て、企業間でイノベーションを生み出す施設
非常時「共生」:人を守る地域密着の防災施設
このオフィスビルの開発にあたっては、仙台市、東北大学災害科学国際研究所、丸和運輸機関と共に防災に関する4者協定が締結されており、この協定に基づき帰宅困難者の一時滞在施設としての機能を備えています。
2.株式会社フクダ・アンド・パートナーズについて
このオフィスビルを事業主として開発したのは、株式会社フクダ・アンド・パートナーズ(以下、フクダ・アンド・パートナーズ)です。
フクダ・アンド・パートナーズは、物流施設の設計・監理、監修やプロジェクトマネジメントを主な事業としており、仙台・東北を始め、全国各地の物流を支えています。
通常、こういった設計事業者が自身で不動産を持つことは少ないのですが、なぜ「仙台長町未来共創センター」を作り、地域とかかわっているのか、お伺いしました!
3.なぜ、仙台長町未来共創センターを作ったのか?
福田社長は、東日本大震災でお客様の施設復旧に携わった経験から「物流施設は暮らしを支える生活インフラであり、非常時は人々を守るライフラインになる」と強く胸に刻み、社会貢献になる施設を作りたいという想いがありました。その後さまざまな縁が重なり、保有していたこの土地に社会貢献となる施設を作ろうと考えられたとのことです。
お話を聞いた社員の方々も社長のそんな思いに共感しており、地域との繋がりを大切にしています。
周辺住民に対してくまなく挨拶に行くのはもちろん、コンセプトづくりの段階から仙台のさまざまな方の意見を聞くために、足しげく通われたとのことです。4者で協定を結ばれたのもその賜物です。
テナントに入っている企業も、そんな思いに共感している企業であり、一体となって地域の防災を支えています。
4.他のオフィスビルとは一味違う⁉防災のノウハウが盛沢山!
では、この施設、他のオフィスビルとは何が違うのか、お見せします。
(1)停電時の非常電源を3次バックアップまで用意
①非常発電装置
・停電時には72時間連続での発電が可能(燃料として、重油5000Lを備蓄)
・津波浸水なども想定し、発電設備はかさ上げして設置している
②太陽光発電・蓄電池
・太陽光発電による電力を蓄電し、災害時の電力として活用可能
・ソーラー街路灯の設置。家庭用コンセントも使えるため、停電時には携帯電話の充電も可能
③ EV、FCVからの電源確保
・電気自動車(EV)や水素自動車(FCV)から建物に給電できるシステムを設置(V2Xシステム)
・自社でEVとFCVを保有
(2)BCP専用倉庫を備えて、200名×6日分の防災用品を備蓄
本社のある東京が被災した際の経営継続機能を確保する施設でもあるため、全社員200名×6日分の食料や日用品を備蓄しています。この物品は協定を結んだ丸和運輸機関に輸送してもらうことになっているそうです。
一方、仙台が被災して帰宅困難者(80名程度)を受け入れた場合には、帰宅困難者に提供するそうです。
(3)大型エレベーターを完備
物資の輸送を行うために、2基あるエレベーターのうち、1基は大型のものとなっています。エレベーターから建物の出入り口は直線でつながっているので、そのまま外の車両にスムーズに積むことが可能です。
(4)帰宅困難者受け入れスペースも兼ねた広い会議室
・80名の受け入れを可能とするスペースを設置
・平常時には貸し会議室として利用することができます。
数々の施設を設計してきた会社らしく、防災のノウハウが詰まった施設でした。
5.所感~今後の展望について~
運営している社員さんに話を伺うと、建物を建てただけでは意味はなく、これをどのように活用していくのかが大切だとも語っていました。
そのため、いざという時の停電を想定した訓練は幾度も行われています。
また、東北大学と共同で防災やBCPの研究を行ったり、入居企業や地域の方たちと災害の際にどのように行動するべきなのか話し合うことが必要ということも話されていました。
ハブとしても、地域の防災を考える取り組みを進めていきたいと考えています。
会社の理念や社員さんの想いとも共感するところが多いため、ぜひ今後とも連携を取り合っていきたいと感じた、実りある視察でした!