ゴミってなに?カンボジアの環境問題【第3回ワッティーってなに?】
カンボジアに来て一番驚くのは、道端に落ちているゴミの多さだ。
4月5月の灼熱に季節になると、そのゴミと湿気がなんとも言えない悪臭を放つことになる。
カンボジアの人たちはゴミをゴミだと思っていない節もある。生まれた時から、当たり前のように落ちているので、土に帰るゴミとビニール袋の土に帰りづらいゴミの違いも特に意識できていない。
だから都会だけではなく、カンボジアの田舎の街道などに行くと、ビニール袋のゴミが永遠と続いているという風景をかなりよく見る。
そして、そのゴミにハエや蚊が集る。
カンボジアを始め、発展途上国と呼ばれている国々が苦手な人は、ハエや蚊などの虫類が苦手という人も多いだろう。特に用水路や川沿いなどの水辺は、ゴミで黒く濁りその悪臭を増加させ、信じられないほどの量のハエや蚊が群がる。確かに、その光景はトラウマものだ。
しかし、カンボジアではそのハエや蚊が自分たち人間を殺すかもしれない、ということもあまり知られていない。
つまり、ゴミにたかるハエや蚊が病原体を運んできて、人間の病気へ繋がるという因果関係を知らないのだ。カンボジアに住んでいるとデング熱の感染は後を絶たなかったりする。(実際、私の妻もデング熱に感染して随分と苦しんだ。)
それだけではない。そのゴミは、用水路や川の水を汚染する。近年、そのゴミや工業用水、そして上流でのダム建設などの多様な要因によりカンボジアのトンレサップ湖の水質は汚染され、魚の漁獲高は減っているのだ。(それに関連したワッティー動画を今年2021年製作している)
その上カンボジアでは、その汚染されたを使って農業することになる。最もわかりやすいのは、中華料理でお馴染みの空芯菜だ。雑草にも見えるが、水辺で栽培される空芯菜。ゴミが浮く水辺で栽培され、クメール料理の食卓に並ぶのも珍しくない。ゴミの栄養分があるから元気に育つのかもしれないが、果たしてこれでカンボジアの人たちの健康は大丈夫なのだろうか?
そんなゴミや水に関しての環境問題について啓発するため、2012年にJICA(国際協力機構)と共に、初めてワッティーを使って作ったがこの動画だ。
このプロジェクトは、同時期に行われた『EcoCityプロジェクト』というJICAがODAで作った洪水対策用の地下施設で行われたプロジェクションマッピングのイベントに合わせて作ることになった。
単なるキャラクターアニメーションにはならないように、グラフ、地図など、啓発動画で必要だけどちょっと小難しいデータもインフォグラフィックなども使いなるべくわかりやすくする。案外、啓発動画とアニメーションは相性が良いのかもしれない。
そして、この動画を作るためにプノンペン都の許可を貰い、普段入ることができないキリングフィールド近くのゴミ処理場などを撮影することができた。アニメーションを作ることを仕事にした私だが、もともとは学生時代ジャーナリスト志望。部屋に篭ってアニメーションを作るだけではなく、現場に入って貴重な場所で撮影ができる。ある意味、こういった啓発動画はその両方を満たすことができるので、私にとって天職かもしれない。
そして、何よりも大きかったがクメール語で作られたということだ。
スマホも普及してカンボジアの人々も、YouTubeで多くの動画を見ることはできるが基本、それらは彼らにとって外国語の動画ばかりだ。
環境問題という決してわかりやすいテーマではない啓発動画。しかし、ワッティーという謎のゆるキャラが出てくるアニメーションであるだけで、カンボジアの子どもたちは想像よりも真剣に見てくれる。
作った動画を真剣に見てくれる人がいる。これがクリエーターにとって、何よりも生きがいを感じることだ。
ワッティーがカンボジアのキティちゃんになるには、まだまだ程遠い。しかし、少しだけ可能性を感じさせてくれた。
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