社会科学者の本棚

知恵と実践の融合に渇望する社会科学者。 豊かな未来のために今を生きる。 書評、時事論壇、社会、経済、科学 etc. 当面無料、いずれ有料。

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『学力と階層-教育の綻びをどう修正するか』(苅谷剛彦、朝日新聞出版、2008年)

『学力と階層-教育の綻びをどう修正するか』(苅谷剛彦、朝日新聞出版、2008年) https://www.amazon.co.jp/dp/4023304050 科学技術の発展が加速化し、習得した技術や知識の陳腐化することが益々早くなった現代社会。 そのような社会を生き抜くために必要な学力とは、知識量ではなく、自ら進んで知識を獲得する意欲と能力を伴う「学習資本」に帰着すると本書は説く。 日本の学校教育での学力低下や学力格差が取り沙汰されて久しいが、それらを学習資本の蓄積程

    • 【時事経済】日銀が全世界に向けて財務破綻の可能性をアナウンスしてしまった

      日銀が連続指値オペ(子弟利回りで国債を無制限に購入)を断行することで、超金融緩和政策の継続を鮮明にした。 結果、海外(特に米国)の利上げ推進と併せて金利差は大きくなり、円安ドル高のさらなる促進は不可避なこととなった。 日本の製造業の競争力が強かった時代なら、円安は経済にとってプラスの面もあっただろう。だが、現在のように国際競争力が失墜している状況下で、「円安→輸出促進」というポジティブな影響よりも、輸入材の高騰によるさらなるインフレ、そしてそれによる高コスト化がおよぼす企業

      • 『物は言いよう』(斎藤美奈子、平凡社、2004年)

        『物は言いよう』(斎藤美奈子、平凡社、2004年) https://www.amazon.co.jp/dp/4582832415 日本ほど人口政策が経済成長とうまく結びついた国は稀だと言われる。 戦後の高度成長と人口増加は表裏の関係にあり、増加し続けた生産者(企業)側の労働力の需要増加を満たす上で、家庭での労働力の産出(出産および育児)を支える「良妻賢母」の存在は、日本をして、世界史上でも稀有な高度経済成長を達成させる基盤となった。 裏を返せば、日本の経験した驚異的な経

        • 『それをお金で買いますか-市場主義の限界』(マイケル・サンデル 著/鬼澤忍 訳、早川書房、2012年)

          『それをお金で買いますか-市場主義の限界』(マイケル・サンデル 著/鬼澤忍 訳、早川書房、2012年) https://www.amazon.co.jp/dp/4150504199  テレビで放映されたハーバード大での名講義(『ハーバード白熱教室』2010年)を通してサンデル教授の名前をご存じの方も多いであろう。 ※『ハーバード白熱教室』のHP: https://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_

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          『成功する子 失敗する子-何が「その後の人生」を決めるのか』(ポール・タフ 著、高山真由美 訳、英治出版)

          『成功する子 失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか』( ポール・タフ 著、英治出版、2013年)  https://www.amazon.co.jp/dp/4862761666  「人生はテストの点数では決まらない」という願いと裏腹に、子どもの試験点数に一喜一憂してしまうのが親心の本音である。 本書は、米国の最新の研究や実践事例を参照しながら、知能や試験点数のような目に見える能力よりも、(例えば学校を最後まで通い切る能力のような)目に見えにくい「非認知的ス

          『成功する子 失敗する子-何が「その後の人生」を決めるのか』(ポール・タフ 著、高山真由美 訳、英治出版)