読書感想文_003_デザイン系
読書感想文、第3弾。読んだ後の付箋だらけの状態を晒してみます。
本の概要
タイトル:問いのデザイン
著者:安斎勇樹・塩瀬隆之
初版年月:2020年6月
読了時間:4~5時間くらい(丁寧に読むと1日くらい)
感想
買った理由:副業でサービスデザインの各種手法を用いたプランニングワークショップの開催と、特にリサーチ手法をレクチャーする仕事をしている。その中で、最初にフレーミングをして問いを立てて進めていくことをもう少しシャープに説明でき、ワークショップ運営ができると良いなと感じており、そのためにはそのフレーミングや問いを立てることについて自分なりに言語化する必要があった。この本は友人のFacebook投稿で知ったのだが、タイトルと概要で、自分が感覚的に捉えていたことを体系的に整理してありそうだと直感したのでその日のうちに本屋に行って買ったのだった。
得られたこと:筆者は組織変革やイノベーション創出、地域課題の解決など多岐にわたるテーマでワークショップを通じて問題発見と課題解決を行ってきた方々である。その中で、「問題を整理した上で、なんの課題を解決するのか」を決めるフレーミングと、ワークショップで実践してきた「課題を解決するための問いの設定とプロセスデザイン」が世の中から求められていることに気づき、書籍にまとめた。ということが「はじめに」に書かれている。まさに私も副業を通じて取り組んでいる領域で、汎用的に活用できる思考プロセスがまとめられていた。言葉の定義、どのような分類方法と解釈の仕方があるか、どのようなプロセスで進めていくか、その辺りが順を追って解説されている。これを読んで、自分なりのマイテーマを設定し、一つ一つの手法を適用して思考の練習をしてみると良さそうと思った。
こうした何かをデザインしていく思考プロセスやワークショップに触れたことのない人は、思考法を変えて問題に取り組むとこれまでとは違った結論が導き出される可能性があることが少しでも感じられると良いなと思う。一方、デザイン分野に少しでも触れたことがあり、普段からイノベーション創出や新規事業企画・開発に取り組んでいる人にもオススメしたい。世の中には様々なフレームワークや手法がある(乱立しているような気がする)。どれも最終的には同じ目的に向かっていると思うのだが、微妙にプロセスや定義、対象範囲が違っていたり、ワーディングも似ているものもあれば違うものもある。初めて触れる人たちにとって、この微妙な差は困惑の元だったりする。問いのデザインのなかでいくつかのワークショップの事例が紹介されている。でもそこにはフレームワークっぽさはない。「問題と課題の違い」など言葉の定義や、「問い」そのものの性質など取り扱う思考法の特徴の説明、考え方のプロセスなどが適度に短いセンテンスでまとめられている。普遍的な考えや解釈を言語化しようとしたのだなと私は感じた。完成されたフレームワークは便利である。と同時に、そのフレームだけにこだわって押し込んだ解決手法を取るのは危険である。思考法をフレームワークにするのではなく、センテンスでまとめておくことで、一度決めたフレームにハマるのではなく柔軟に使えるものになるのだなというのが私の発見だ。
Next Action
今回、この本は週末の副業関連の仕事で必要だと思ったので急いで読んだ。目の前に迫った仕事の中で、フレーミングや問いについて言及しておきたいという思いがあり、その資料化を先週進めていた。手元にあるいくつかの参考文献を元に、自分なりに言語化を試みていた。その直後に出会ったので、「答え合わせしてみたい」と思って読んだのだった。結果、手応えとしては自分の言語化はある程度感覚的に近しいと思えたが、少し範囲が狭かったり深さのバランスが悪かった。
ということで、この本を読んで、より柔軟な思考プロセスを編み出したり、提供方法を作るためにできることがNext Actionになるだろう。具体的には、以下を想定している。
1. フレーミング部分についての深掘り
2. 問いの性質や範囲がプロセス毎に違ってくることを網羅的に説明する
3. これらを踏まえた上での思考法全体の整理
イチオシ名ゼリフ
9点問題
誰もが何かしらの枠を当てはめて見ている象徴的な例だと思ったので。