既得権益
澄み渡る空気の中を、
アイディアの風船が飛んでいく。
最初は小さく、頼りなさげにふらふら揺れているだけだけれど、
徐々に空気を吸い込み、大きく逞しく天に昇っていく。
周りを見れば、そんな風船がいくつも飛んでいる。
雨風雷、たくさん邪魔をされて、
中には割れたり萎れたり。
ただ、いくつかの風船は強く大きく育ち、
グングンと天に向かって昇っていく。
いつか本当に天に昇り、
人々を照らす光になるのだろう。
何だか良い感じだ。
あれ??
どれだけ逞しい風船も、同じ高さのところでみんな止まっちまう。
よく見ると、天だと思っていたのは、
天のフリをした厚い厚い壁。
よく目を凝らすと、汚く澱んでいる。
風船たちはその壁をどうしても抜けられず、
そうこうしている間に、澱みから伸びてきた何かに、
叩き落とされるか引き込まれるかしてしまう。
引き込まれた風船は最初の輝きを失って、
やがて澱みの一部になる。
2023年、天のフリしている奴らは、
そんな重たい澱みで、僕たちの世界を覆っている。
全然、良い感じじゃない!
今日も良い天気だね、ってさ、
目を凝らさないとね、もっと。
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