今はまだ埋もれている未来のリーダーたちへ
どこからともなくやってきた、新型コロナウイルスによって僕たちの人生はあっという間に大きく変えられてしまった。
緊急事態宣言が発令された当初は、『今しかできない経験だ』となんとか前向きに捉えていたつもりだった自分も、本当は新型コロナウイルスというヤツにめちゃくちゃムカついていて、しかも、その怒りをどこにぶつけたらいいかもわからない。
なんだかなぁと、よくわからない疲れに襲われた。
「あぁ、これが自粛疲れか」なんて思いながらも、この疲れがどうやったら癒されるかもわからん。
そんな、どうしようもなくモヤモヤしている僕の元に、編集者の柿内芳文さん(@kakkyoshifumi)から、昨日、ある本が届いた。
2019年8月に亡くなられた、瀧本哲史さんが、10代20代の若者に向けて書かれた”最後の本”。
届いてすぐに、本を開き、あっという間に読み終えた。
瀧本先生からのメッセージはいつも、非常にシンプルで、
「君たちが未来を変えろ」と。
その後も何度も本に目を通した。そして、瀧本さんからのメッセージにエンパワメントされて、今僕は「自粛疲れとか言ってられん」という気概で、こうしてPCと向き合っている。
瀧本さんのメッセージは、今はまだ埋もれている未来のリーダーへのメッセージだと思った。
だから僕は、その想いを受け取り、あらゆる場所で何かを変革しようと、これまでの常識に挑んでいる同志たちへ、そして何より、弱気になりそうな自分自身へのメッセージを、今、湧き上がる熱量に任せて、ここに残そうと思う。
自ら明かりを燈せ
「僕たちの多くは、ずっと何かに頼って生きてきたのかもしれない。」
最近、強くそう思った。
10代の青臭い自分たちが語っていた”カッコいい大人”ではなく、”ダサい大人”の一員になろうとしていないだろうか。
人生のあらゆる選択の場面において、親や、先生、社会が求めることのような、何か大きなものに流され続け、そして、それに違和感を感じながらも、「それが大人になることだ」と、意味不明な呪文で自分を説得させて、10代の自分が思っていた”ダサい大人”に近づいてはいないだろうか。
そうして、そうなった人たちは、自分の人生のあらゆる物事を他人のせいにするようになる。
その人生に自分の意志はほぼ存在することなく、自分の退屈な人生に明かりを灯してくれるのは、他の誰かだと勘違いしている。
親、学校、会社、国…周りに期待ばかりして、自分にとって都合が悪くなると、文句を言う。
その生き方は明らかに”ダサい”と、僕は思う。
瀧本さんは、『他の誰かがつけてくれた明かりに従って進むのではなく、自らが明かりになれ』とこの本に書いている。
間違いなく、今の社会には、もっと、明かりを燈せる人が必要だ。
あらゆる絶望を受け入れ、それでもなお、明かりを燈そうとすることを、やめちゃいけない。
自分の人生を自分自身で照らし、そして、その明かりで、他の人の人生をあたたかく照らすことができる"カッコイイ人間"がもっと必要だ。
僕たちはそんなカッコイイ大人で在りたい。強くそう思う。
学びは、現状を打破する力となる
なぜ”カッコいい大人”になることなく、”ダサい大人”になっていくのかを考ると、それはそっちの方が圧倒的にラクだから、なんじゃないかなと思う。
”カッコいい大人”って、自分で考えて、自分がおかしいと感じたことにはちゃんと「おかしい」って言ったり、自分がやりたいことをちゃんと形にしたりしていく人だ。
でも、そうするためにはあらゆるものと、闘わなきゃいけない。
闘うための武器を手に入れなきゃいけないけど、それが大変だから、まあいいやって、流されちゃう。結果、ダサくなる。
じゃあ、その闘う武器ってなんなのか。
それが「学び」だ。
様々な教養を学び、新たな視点を手に入れることで、自分がなんとなくおかしいと感じることの「何がおかしいか」がわかるようになったり、自分が本当にやりたいことが見つかったりするようになる。
そして、言葉という武器を身につけて、自分の頭で考え、自分の力であらゆるものと闘っていく。
学びもせずに、文句を言うのは自分の力のなさを露呈しているようなものだ。
現状に不満があるのであれば、学ぶこと。
学ぶ力は、現状を打破し前に進める力だ。
自らの人生を自分で照らすためにも、学びを通して自分自身をアップデートし続け、自分自身の考えを、自分の言葉で話せるようになるのが重要だ。
自分の子供ができた時、自然と子供が自分から勉強したくなっうちゃうぐらい、まずは自分が学びを楽しむことだ。
若者しか新しい世界を作れない
年功序列の社会の中で生きていて、「自分の番」が回ってくるのを待ってはいないだろうか。
「今はまだ、若いから。時が来るまで待とう。」
それも悪くないだろう。でも、それでは世界は変えられない。
いつの時代も新しい世界を作ってきたのは若者だった。
明治維新で薩摩藩代表を務めた大久保利通は35歳。長州藩の木戸孝允は32歳。明治維新の中心人物はほとんど全員20代後半から30代。
今の日本経済を代表するような大企業の経営者も、若くして会社や業界の常識に挑んだ人ばかり。
トヨタ自動車を作った豊田喜一郎が、自動車に挑戦し始めたのも31歳の時。
これまでの変化が少なかった時代においては、経験が活きたから、年功序列はあながち間違っていなかったのかもしれない。
でも、これからの変革が求められる時代には、経験は不要だ。
年齢に関係なく若者がどんどんチャレンジしていくべきだ。
ではなぜ、若くないと新しい世界を作ることができないのか。
理由は3つだと思う。
①新鮮な目でモノゴトを見ることができる
②体力がある
③失うものが少ないから120%で挑戦できる。
歳を重ねて、権力を手に入れたらやろう、じゃない。
今、若いうちにやれなかったら、一生変革は起こせない。
そんな気概を持って、これまでとは違うやり方で自分なりに、今、挑もう。
今日から、明日から、できることを考えよう。
世界は必ず変わるから、諦めてはいけない
変革に向けた挑戦をしていると、「これ本当に変わるのかな…」「自分がやってることって意味あるのかな」と、とんでもない無力感に襲われることがある。
変革は果てしない。
それは、一人の人間という単位でも、学校という単位でも、会社という単位でも、社会という単位でも。
だから、「自分がやってることは、意味があるのか」と、しんどくなる時もあるだろう。
それに対し、瀧本さんは「パラダイムシフト」についての話を教えてくれた。パラダイムシフトとは、それまでの常識が大きく覆って、新しい常識になるってことだ。
例えば、最近だと、ガラケーが常識だった時代から、スマホが常識になったこととかを、パラダイムシフトっていう。
で、どうやったらパラダイムシフトが起きるのか?世界を変えられるのか?という問いに、天動説から地動説への大転換した話を書いている。
「地球はこの宇宙の中心で、空が動いているんだ」という常識に対して、コペルニクスっていう人が「ちょっと待って、これって地球が回ってるんじゃね?」ってなって、地動説論者vs天動説論者という構図の世界になった。
でも、当時はキリスト教が強かったこともあって、地動説を唱えたガリレオ・ガリレイとかは、裁判にもかけられちゃうぐらい、天動説が当たり前の世界だった。
そんな常識がどう覆ったのか。
一生懸命説得したから?証拠を揃えて論破したから?
違う。答えは「世代交代」だ。
天動説を唱えていた古い学者たちは、どれだけ地動説側が証拠を説明しても最後まで変わることはなかった。
でも、新しい世代の学者たちは古い学者と違って、冷静に天動説と地動説を比較して、どうやら地動説の方が正しいと、地動説をみんな唱え始める。
で、それが50年とか続くと天動説論者の人たちはみんな亡くなって、この世界に残ったのは地動説論者の学者だけ。
つまり、パラダイムシフトは、世代交代で起きるということ。
そうやって、常識は変わっていく。
だから、急に変革を起こす必要は、ない。
自分の周りや、後の世代に、自分が思うことを、しっかりとメッセージとして発信していけば、いつか必ず世界は変わるよ、と。
実際に、工場で働いている僕の友人が「つまらない職場を楽しい場所に変える」というミッションを掲げて、「毎年入ってくる後輩を本気で面倒見る」ということをした。
毎年、新人が入ってきて、年齢が上の人が少しずつ異動したりしていく。
僕の友人は「仕事ってのは、楽しくやるもんだ」っていう常識を新人に教えていく。
そして6年経って、その職場は周りと比べて明らかに、明るく楽しい職場になったらしい。もちろん、生産性も高く、品質もいい。
まさに、これなんだと思う。
何かを変革することは、すぐに結果が出ることじゃない。
でも、時代の変化とともに、必ず世界は変わる。
諦めずにやり続けることが大事だ、と瀧本さんは教えてくれた。
Do Your Homework
僕自身は今、「たった一度きりの人生の中で、一人一人が自分の可能性を最大限活かすことのできる社会」を実現したいと思って、東京で闘っている。
その夢を叶えるために、今は「教育」というフィールドを選択し、ここで勝負してみることを決めた。
生まれながらの環境によって、自分自身がもつ可能性を活かしきることができない若者が、日本にはまだ、たくさんいる。
その問題はこれまで誰も解決したことのない問題なのかもしれない。
だからこそ、若くて、未熟で、無知な自分が挑まなければいけないんだと思う。
自分はこの場所を選んだけど、また違う場所で何かを変革しようと闘っている仲間が、僕が知るだけでも、たくさんいるし、まだ出逢っていない人も、きっともっとたくさんいるだろう。
違う場所で、それぞれが違うことをやっているけど、そんな人たちに共通しているのは、本気で、「今よりいい社会を作ろうとしていること」だと思う。
そして、そんな僕たちは、今はまだ無名だと思う。
社会に埋もれているし、これといった結果も出せていないかもしれない。
本気で社会をよくしようとしたら、壁が高すぎるし、それまでの道のりは遠すぎる。
だからまだ、未来のリーダーは社会に埋もれていて当然なんだと思う。
この前、インスタグラムで「お前は口だけで、実績なんにもないらしいですね」と、知らないアカウントから書きこまれた。
正直クソ悔しいが、僕が闘うべき相手は、そいつじゃない。
自分であり、社会に蔓延する課題たちだ。
自分が実現したい未来に向けて、目立たない場所でコツコツと、何度も自己破壊を繰り返しながら、今を闘う人たちはきっと、何十年後かに、本当に新しい世界をつくったリーダーとして、きっと出てくる。
いつか、カッコイイ大人代表として、みんなで集まれるように、僕も目の前にある仕事をめちゃくちゃ頑張ろうと思う。
自分より後の世代が生きる世界に思いっきりチップを張ろうと思う。
これを読んでいる一人一人が自分のHomework(宿題)をやりきって、いつか自分の人生を振り返った時に、きっと世界は少し、変わっているはずだ。
ミライを変えられると信じて、今日も、挑戦を続けよう。
これを読んでいる、あなたと、僕はミライを変えたい。
新しい世界を作りたい
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ps.
このようなメッセージを最後まで若い世代に伝えていただいた瀧本さん
瀧本さんのメッセージを、遺伝子を、本という形で残した柿内さん
この本を出版するにあたりご尽力されたであろう星海社の皆さま
大変、感謝いたします。
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みんなにおすすめしたいもの
瀧本さんの著書は、一通り目を通してみてほしい。
僕がずっと大切にしている、作家・水野敬也さんのブログ