採用担当していますが…今の就活って
ちょっと就活に関して思うことがあったので、書き留めておきたい。
採用担当として20年近く、これまで就活に励む数多くの学生と真摯に向き合ってきたという自負はあります。
少子高齢化に伴う学生の減少、多くの企業が人手不足という状況の中で、いい学生を早期に採用しないと、新卒学生を採用するのは難しくなりますよ。
という世の中全体の風潮には、常々疑問を感じています。
厳しい受験競争を勝ち抜き、晴れて大学に入学したばかりの学生の皆さんに1年生の時から「4年後の就職を意識しましょう!」みたいなことをガイダンスで学生に伝える大学も少なくないと聞きます。
華の大学生になって、入学していきなりもう4年後の社会人になることを考えて行動しなさい!と言われる。結構哀しくなりますね・・・。
大学生活についての私の個人的な意見?考え方?としては、
大学生の本分は、勉強すること、幅広い人間関係を作ること。
学び、遊び、友人たちとコミュニケーションをとって、様々な価値観に触れて、色々なことに気づき、疑問に思うことを考え、誰かに伝えて、相手に意見されて、また考えて、自分の中である答えを見つけて…。みたいなことを繰り返していきながら、どちらかと言えば、能動的だった高校生から、主体的に自分の意志を持って、自分で決断して行動していく大人へと成長する場が大学だったり、専門学校だったりすると考えている。
しかし、多くの学生が「よし!大手企業で内定を勝ち取るぞ!」とか「たくさん給与が貰える会社に行くために、就活頑張ろう!」っていう「意識高い系の学生」を見て、「あっ!俺もやらなきゃ!」「えっ?私もやらないと」っていうふうに想ってしまって、大学生活を謳歌するっていう言葉が、もう既に死語なのではないか?と思うほど、悲しい社会になっている気がする。
なんで、人生をそんなに生き急ぐのか?
私自身もそうですが、なぜ日本人はそんなに生き急ぐのか?という疑問を感じている。何かに追われて生活している。それはきっと日本人としてのDNAに起因するのではないか?というふうに想っている。
(これについて書くと、長くなるので、軽く流しますが、、、)そもそも、島国だった日本、日本独自の文化が醸成されていく中で、海外からの移民もなく、戦国時代から江戸時代、第二次世界大戦で敗戦をしたあとの高度経済成長という中で日本が、日本人がどうやって暮らしてきたか?みたいなことを考えたりすると、何となく答えは見えてくる。世界的に見れば、平和な国・豊かな国、NIPPONと言われ、国民性を含めて海外からの評価は高い。
しかし、実際に皆さんの生活はどうですか?
先日の衆議院議員選挙の時のれいわ新選組の山本太郎さんの演説ではありませんが、30年間日本の経済は疲弊しているんです。国民の多くが苦しんでいるんです。と、演説をしていた実際に聞いたり、動画を見たと思います。
きっと日本人は金銭的・心理的な貧困に苦しんでいるんです。
もっと言えば、きっと心が満たされないんです。高度経済成長期に国民が豊かに暮らしていたのは50年前~30年ぐらいまで。バブル崩壊以降、日本の経済は、徐々に下降線をたどってきている。ボクシングでいうボディーブローのようにゆっくりとでも着実に下降線をたどってきた。飽和状態になった雇用を維持するために、派遣社員という働き方が生まれ、就職難民が救われた!と喜んだ。しかし、そのあたりから、国を守るために、国民が犠牲になるようなことが始まっていたんだと、思う。そして、派遣社員、契約社員という形で社会人になっていったのが、我々第2次ベビーブーム世代(今の55歳~40歳ぐらい)である。
当時、そうして社会人になった子供たちに親たちはなんて言ったか?「正社員になってから、結婚しなさい!」「そんな安い給料で、家族を養えるの?」などと親から言われて、子供である我々世代は「そうか、結婚をもう少し考えるか?」とか「正社員になったら彼女にプロポーズしよう!」なんて考えていたのではないか?それが日本の晩婚化を急速に進めた要因だと考える。初婚年齢が20代前半だったものが10年もしないうちに、20代後半になった。
そして、20代後半まで自分で自分の生活費を稼いできた夫婦が結婚して、すぐに子供を産みましょう!というふうにはならない。ある程度、共働きで稼いでマイホームを買う資金を溜めよう、海外旅行に行こう!などとなる。そして、じゃあ、そろそろ子どもを作ろうか?と言って初めての子供を産むのが30歳とか35歳とかってなる。
実際に自分たちの子供を見た時に、その愛おしさに感動するんです。そして気が付くんです。この子が大学を卒業する時、自分は55歳?57歳?!待て待て、2人目とかを作ったら、3年後でも俺が60歳の時に大学卒業?いや~、そんなの無理だろ?老後の生活もあるのに、、、ってなって、2人目を産まなくなってきたのではないか?となって、少子高齢化社会が止まらない。
そして、リーマンショック、東日本大震災といったストレートパンチがさく裂して、日本の企業が打撃を受け、日本経済を守るために、企業が存続するために、国民が犠牲になってきた。給与の少しずつ下がり、社会保険料や国民健康保険の料率が上がり、消費税もアップして、手取りの給与が減る。そして、モノの値段は高騰し、最近になってからは物価高という中で、我々国民の心は、どんどんと貧しくなってくる。
「今日の夕飯どうしよう?」といって、食べたいものを食べたいお店で自由に食べる!という人もいるだろうが、「今月、飲み会とか結構あったから、きついんだよな~。コンビニ弁当でいいや。」とか、1,000円以下、500円以下で、、、みたいな生活をしていると、心が荒んできたりしませんか?
本人だけがそうだったら良いんですが、きっと親御さんがそんなふうにしていたとしたら、幼少期からそんなお父さん、お母さんの背中を見てきた大学生の皆さんなどは、自分の知らない記憶の中にそういうものがあって、「あんなふうになりたくない」「裕福な生活で苦労したくない」っていうのが深層心理の中にあるのではないでしょうか?だから、中学生の頃から「偏差値の高い高校へ行って、偏差値の高い大学に入って、いい会社に就職しないと!」っていうふうな考えで生きている。だから、いろんな情報には敏感にならなきゃいけない!とか早く準備して、希望の会社から内定を取るんだ!みたいな強迫観念の中で生きているのではないでしょうか?
採用する企業も、見えない何かに怯えてる?
もう誰もが知っている超大手企業の採用担当者に知り合いがいるが、その会社ですら「大学3年生になってからでは遅い!2年生のうちに目星をつけておけ!」みたいなことを採用の責任者が言っているらしいです。
【うちみたいな業界の中では有名でも、知名度のない部品メーカーの会社】が太刀打ちできるわけねぇ~な。って思った笑
だから、昨年度からその大手企業の採用現場で、どのようなことが行われ始めたか?というと、3年生の夏のインターンシップに参加した学生に
「2年生の後輩、ゼミやサークル、バイト先の後輩(別大学可)を5人紹介してくれたら、一次選考免除します!」
って言って、2年生の学生の囲い込みを始めているそうです。
そんなにしてまで、母集団を確保しなきゃいけないのか?そうだよな~、毎年数百人規模で採用をしているから、そうなるよな~。確かにそれは効率がいい採用だな~。って、聞いた当初は採用担当者の視点で感心しました。
でも、ちょっと経ってみて、冷静になってちょっと考えてみたら「おかしくないか?」っていう事に気づいてしまった。
(皆さんもおかしいな?って思いませんか?)
後輩を5人紹介しただけで「一次選考免除!」って、もちろん学生にしてみたら、おいしい話ではありますが、じゃあインターンシップに参加してない学生さんや、後輩を紹介できなかった学生さんに対して、やっている一次選考って、何を基準に一次選考の合否を決めているんですか?って思いません?
だいたい超大手企業の一次選考と言えば、「エントリーシート」ですよね?
必死になって、学生生活を無駄にしながら、ガクチカやって、ガクチカをピールするエントリーシートを必死に書いて、キャリアセンターの人とかに添削してもらったりしながら、夜中まで考えて志望動機も書いて提出しているエントリーシートって何??って思いませんか?
当社ではエントリーシートの提出は求めず、履歴書のみですし、一次選考っていう書類選考もしていません。というよりも元々はやっていたのを私がなくさせました。筆記試験も止めました。笑
性格診断と職務適正をみる適性検査と面談・面接のみです。
結局、企業の方も数多くの母集団を形成しないと良い人が集まらない!と思っているんですが、それも私は神話だと思っています。笑
100人を採用するのに、母集団が1000人いないと、、、みたいなことをいう採用担当者だったり就職支援会社の営業がいますが、果たしてそうですか?
うちの会社にも営業電話でよく言われます。笑。
「母集団の形成にお困りではないですか?」って。
その時に「いや別に毎年10名~15名の採用ですから、母集団形成に困ってません。」と答えると「どれくらいの学生さんとお会いされてますか?」と聞かれ、「150人~200人ですね」というと「それで、採用目標人数は達成されているんですか?」と大きなお世話だわ!って思うことを言ってくる(# ゚Д゚)
電話口の相手がちょっとイラっとする言い方、話し方をする奴だったら言ってやります。
「真摯に学生と向き合う採用をしていれば、充分な人数の方とお会いできて、うちの会社に合う方に入社して貰っているので、問題ありません。」
ってね。笑
自分は、学生さんの人生の貴重な時間と自分の労力を無駄に増やしたくないだけですけどね。最近の就活って、ホントに学生さんも企業の方も無駄に時間と労力をかけまくって、お互いに疲弊するような採用活動、就職活動になり過ぎてんじゃないの?ってホントに思う。これも見えない何かに怯えている日本人(心配性なところ)がものすごく影響している社会現象の一つなんだろうな。って思っている。
私は、そこまで時間と労力をかける意味はないと思っているので、今のままで採用活動を続けていきます。もし、私の採用手法で人が採用できなくなってきたら、採用担当者の仕事はもうやりません!ただ、それだけです!!