第25節 広島対川崎 対戦レビュー
今回は8月21日に行われた広島対川崎をレビューしたいと思う。
今回の試合のスタメンは下記の画像の通りであった。
このスタメンから、以下の2つのポイントについて注目して観戦していた。
①広島のWBがSBまでプレスに来るのか
②シミッチをどれだけ封鎖できるのか
③川崎の守備の仕方
始めに、川崎ビルドアップ時、広島守備時
前半、広島はWBをSBまで出し、基本マンマーク気味で守備をしていた。
広島の考えとしては、中盤を規制して外回りの攻撃にさせたいというものであったと考える。
実際、川崎の左サイドでは長谷川、登里、旗手が激しいマークにあい、効果的な攻撃が仕掛けられていなかった。これは、車屋が運ぶドリブルが多かった理由でもある。
このようなことから、広島の守備戦術は非常に効果的であったと考える。
上記の図は車屋がボールを持った際の川崎のビルドアップのシーンである。
川崎の左サイドの選手と相手選手のポディショニングについてみてもらいたい。長谷川選手は5レーンの一番外側のレーンではなく、一つ内側のレーンでボールを受けようとすることが多かった。そのため、登里選手や長谷川選手に対して、広島は1対1で対応することができている。
右サイドも同様である。
そのため、前半は川崎はペナルティエリア付近にボールを運ぶことができたシーンは少なかった。
後半に入ると、川崎は長谷川選手に代わって宮城選手が入り、旗手選手とい家長選手がポディションチェンジを行った。
広島はより守備的な5-2-3(5-3-2)の形でブロックを組むようになった。
川崎の狙いとしては、
①家長選手の中盤起用により、中盤で時間を作ること
②宮城選手の起用により、WBと1対1を作ること(正直、長谷川選手から宮城選手への交代は最近多いため、試合内容にかかわらず、決まっていた交代かもしれないが、、、)
広島の狙いとしては、最終ラインと中盤を固めて逃げ切ることであったと思う。
実際、川崎が前半に比べて、ペナルティエリア付近でプレーすることが多くなったが、これは広島がシステム変更したことの影響によるものである。
川崎は、広島がブロックを組んでくれたおかげで、宮城選手に時間を与え、宮城選手付近での攻撃が目立っていた。残念ながら得点につながりはしなかったが、遠野選手の決定機などうまくゴールにつながるシーンが作れていた。
<総括>
川崎は能動的に試合を動かすことができなかったと思う。理由は、後半川崎ペースになったのは、広島の守備戦術の変更によるものであると考えられるからだ。家長選手と旗手選手のポディションチェンジは効果的であったと思うが、広島の前半のプレッシングを受けた際に機能したかは正直図ることができないと思う。
広島は前半の守備戦術の継続を行っていれば十分に勝ちに価する試合であったと思うので、惜しい試合であったと思う。
3バックあるいは5バックを相手が用いてきたとき、川崎はどのように相手ゴールにボールを運ぶのか、非常に課題であると感じる。中盤をふさがれ外回りにされたときに、中盤の選手が下りたり、SBが絞ったりして、3バックを形成しながらビルドアップするなどの人の立ち位置を工夫する必要があると思う。
だが、きっと鬼木監督なら、工夫を加えて新たなサッカーを見せてくれるであろう。期待をしながら次の試合も観戦したい。
読んで下さりありがとうございました。
<番外編>
今回の試合で、長谷川選手のキレがないと言われているが、個人的には立ち位置的な問題なのではないかと思う。今回の試合では、中に絞ってパスを受けることが多く、後ろ向きにボールを受け、相手からのプレスにさらされることが多かった。ライン際に位置取り内側のレーンは、インサイドハーフの選手や登里選手に使わせたほうが、半身の状態でボールを受けることができるし、ドリブルだけではなく、内側のレーンとのコンビネーションができ、効果的なのではないかと思う。
長谷川選手関係なしに5バック相手に大外のレーンにウイングが位置どることは、相手のWBがSBに対してプレスをすることを躊躇させることができる。そのため、川崎は5バックの相手に対しては特にウイングを大外に張らすことが重要であると思う。
↑大外に張ることで黒くなっているスペースが空く。
↓仮にWBが出てくれば、WBの裏のスペースが空く。
だが、基本的に裏のスペースは使われたくないし、WBが一列出て残りの4人のDFがスライドするよりも、二列目の選手がスライドしたほうが早いのでWBがウイングを放すことはできないと思う。このような形を作れれば、SBとウイングで相手WBに数的優位を作れるので、意識的にウイングが大外を位置どることが重要であると思う。