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働くことに対する自分なりの意味付けが必要な訳

少し前の話になるのですが、校内研修の一環で、「経験年数別の求められる教職員の資質と能力を知って自分の力を伸ばす」というワークショップを受けました。

その研修を受けてみて、「それぞれのステージでは、こういう資質や能力が求められているから、そこに課題のある人は、改善策を見つけて、そこまで上がってきなさいよ」というメッセージを投げ掛けられているように感じました。

一緒に受けていた同年代の先生からは、「できてないなあ…」という声も聞こえてきて、人間的に魅力的で、わたしは大好きな先生なのですが、自信をなくしてしまっているようでした。

わたしに至っては、そもそも、働くことを通して身に付けていきたい力と、一致していなかったので、そうなれていない自分に対する焦りや失望のようなものを感じることはありませんでした。

教職年数の浅い先生方は、「資質や能力でこんなことを求められているのかと、そこに自分をマッチさせていかないと…」という感想が多かったように思います。

このようなミスマッチは、学校という働く場だけではなく、会社等で雇われの身として働く人なら誰にでも生じている現象なのではないでしょうか?

なぜこのようなことが起こってしまうのかを考えていこうと思います。




キャリアパス制度とは

わたしたち教職員に対して求められる資質や能力があるように、企業においても、従業員に対して企業が考える理想の従業員像があります。

そこで、導入されたのが、キャリアパス制度です。

☆キャリアパス制度
従業員が社内においてどのようなスキル、実績を積んでキャリアをたどるのかという基準や条件を明確にした仕組み

理想の従業員像を示す目的って何だろう思い、調べてみると、そこにはメリットとデメリットがあることがわかってきました。

☆キャリアパス制度のメリットとデメリット
○メリット
・企業の持続的な成長のため
・人材育成のため
・社員に目的意識を持たせるため
・キャリアパスに満足すれば優秀な人材の確保ができる
・キャリアパスが明確→道筋見える→社員のモチベーションあがる

●デメリット
・キャリアパスの不一致…社員が望むキャリアパスとが必ずしも一致しない
※1on1ミーティングなどで、個人のキャリアパスとすりあわせるなど、丁寧な対応が必要
・モチベーションの低下

なるほど、企業側にしてみれば、離職を防ぎ、会社の存続と前進のために、優秀な人材を確保しておきたいというもくろみがあるのですね。

深刻な教員不足に加え、採用辞退者の増加といった学校現場の状況に置き換えて考えてみました。

昨今の深刻な教員不足、採用辞退者の増加、初任者の離職といった問題に対して、各都道府県の教職員人事課としては、企業に優秀な人材を持っていかれないようにするために、何とかしていかなければならないと考えています。

このような切羽詰まった状況になっていたからこそ、わたしが受けた研修が行われたのかもしれません。
採用担当の人事担当者の方々には頭が下がります。



個人のキャリアパス

初任者や経験年数の浅い先生方は、まだ自分の職業人生をどのように進んでいこうかといった、社員が望む、いわゆる個人のキャリアパスが具体化されていないので、キャリアパス制度は有効かなと思いました。

実際に、若い先生方が、「こんなことが求められていたんですね」と気づき、軌道修正しようと考えている様子がありました。

しかし、わたしのような経験年数が10年、20年を上回るようなものからすると、すでに、自分なりの教師としての働き方、生き方ができあがってしまい、求められていることとの違和感を感じてしまいます。

人事課から求められている資質や能力という物差しでは、自身が経験によって積み上げてきた能力や強みは、はかられず、モチベーションが低下してしまいます。

キャリアパス制度のデメリットが、ここにハッキリとあらわれてしまっています。

だからこそ、1on1ミーティングで個人のキャリアパスとすりあわせることが必要なんでしょうね。

しかし、教職員人事担当者からしてみればもうできることはないくらい従業員である教職員へのアプローチはしてくれているように思います。

だから、意識して変わるべきは、従業員であるわたしたち教職員ではないかと思います。


個人のキャリアパスを明確にする訳

求められていることに対して何となく感じる違和感をそのままにしておくと、モチベーション低下の原因をつかめず、落ち込んだり、自信をなくしたり、自分を責めたり、文部科学省の対応を嘆いたりということにつながる恐れがあります。

この違和感の正体は、求められているキャリアパスと個人のキャリアパスとのミスマッチなのです。

自分のキャリアパスが明確であれば、求められている資質や能力、今の役職や業務内容に対してミスマッチを感じたとしても、「自分なりの意味付け」ができます。

だから、求められているキャリアパスを嘆き、変わらないとあきらめるのではなく、自分自身のキャリアパスを明確にして、自分からマッチさせていくことが必要なのです。


個人のキャリアパスを考える上で大切な視点

自分のキャリアパスを明確にするためには、、その前提として、今後どんな人生を歩もうとしているのか、その人生の中でどんな働き方をしたいのか、働くことでどんなことを得たいのかといった、より大きな視点を考えることが大切になってきます。

☆キャリアビジョン
将来的に仕事で達成したい目標や実現したい理想像。ただ、決して仕事の限ったものではなく、人生における価値観や生き方など、幅広い領域を含んだ「なりたい自分」の姿

☆キャリアデザイン
仕事だけではなく、結婚・出産・子育てや、転居・住宅の購入など、全てのライフイベントを含めた人生設計をたてること。
就きたい仕事や働き方を考えるだけでなく、プライベートの理想も含め、自分自身について深堀りする必要がある。
人生設計であるキャリアデザインという大枠の中に、企業内でのキャリアの道筋であるキャリアパスが存在する。

☆キャリアプラン
キャリアデザインでイメージした将来の理想像にたどりつくための、仕事においての計画。
特定の企業内におけるキャリアの道筋だけではなく、転職や起業など幅広い選択肢を含む。

キャリアビジョン・デザイン>キャリアプラン>キャリアパス…こんなイメージなんでしょうね。


自分の人生を生きるために今日を生きる

ここまで、専門家のように、わかったように書いてきましたが、今回、病気休暇をいただき、じっくり自分を見つめる時間をもらえたからこそ、見えてきたことです。

休んで、見つめて、考えて、働くことへの意味付けが整った今、改めて、自分は、意味付けを見失いながらは働くことができない人だと思いました。

見失いながらも、なんとなく、だましながらやっている自分を許せないようなところもありました。

休んで見えてきたのは…
・いなくても現場はまわっている。
・自分しかできないと思っていた業務も、代わりの人ができる。

そんな業務内容の中にも、自分なりの意味付けをどうつけていくか…
自分のキャリアデザインという大きな枠組みの中でも、それは自分の人生の目的にとって意味のあることだと、一日一瞬意味あることだと、意味付けできるか

そんな自分なりの意味付けができれば…
「自分の人生を生きるために、今日を生きる」
…ということにつながると自分に言い聞かせ歩んでいきたいです。




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