サッカーとOODAループ
経営分析のフレームワークでサッカーの試合を考えてみます。
よく聞くフレームワークにPDCAサイクルがある。
そして、あまり聞き慣れない人もいるかもしれないが、似たフレームワークにOODAループがある。
この2つは、似て非なるフレームワークで適用場面が大きく異なる。
OODAループとは、元々はアメリカ空軍においてパイロットがドッグファイトをする際の意思決定を体系化したもの。
① Observe:観察。データ・情報を集める。
② Orient:判断。集めた情報を自身の経験などに基づいて加工して選択肢を作る。
③ Decide:決定。選択肢から選び、具体策を決める。
④ Act:実行。具体策を実行する。
ループというとおり、これを繰り返していく。
つまり、実行した後は、結果・反応を観察するところに戻る。
相手や環境よりも早く行動することで優位性を確保し、圧倒していくという考え方だ。逆に、相手に先手を取られ続けたり、環境変化に遅れ続けることが負けや衰退につながる。
PDCA⇒実行後の評価に重点。評価するためには実行前に綿密な計画を立て、評価尺度を決める必要がある。
OODA⇒状況に速やかに対応した実行に重点。
PDCAは、組織の大きな歯車を回すために、時間をかけて綿密な計画を立てて関係者の意思統一を図り、決めた計画を組織的に遂行し、結果の正当性を関係者にフィードバックする方法論になる。
一方で、OODAは、じっくり考えることが手遅れを招く状況下で、即応していく方法論になる。
サッカーの試合に置き換えると、試合前に監督がゲームプランを考えて選手に伝えるときはPDCAになるだろう。
そして、実際に選手がプレイするときはOODAになる。
サッカーのトレーニングにおける「認知」→「判断」→「行動」を早く正確に行うことを鍛えるアプローチは、OODAループの考え方と発想は同じだと思われる。
サッカーの試合のテンポは非常に早くなっている。
ディフェンス側はボールホルダーが周囲の状況を把握し、プレイを選択し実行する時間を削るべく素早くプレッシャーをかける。結果として、ボールホルダーの間違った選択や精度の低いプレイを誘い、ボールを奪い返すことを狙っている。
よって、ボールホルダーはディフェンス側より早くOODAループを回すことが必要となる。ディフェンス側よりOODAループを早く回しプレスをいなすことで、ボールを前進させることができ、攻撃のチャンスの拡大につながる。
選択肢を考えた後、それをじっくり議論して選ぶのではなく、選んで実行した後、結果を速やかに観察して、素早く次の選択をしていくという考え方は、統計学のベイズ推定やAB検定を用いたアプローチと類似する。