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29歳。お菓子を焼く以前の大切な“為事〟を教わった。【episode 17】



せっかく出会ったんやもの。この人の人生をより良くしたい。


そう思っていつもスタッフと一緒に働いています。


ゆきちゃんに対してもそういう想いで一緒に働いています。


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拾われた元職場の卸先のカフェで働くこととなったその日。


このカフェのオーナーである奥さんから言われた言葉。

前の職場ではもちろん今まで働いていて、そんな事は言われた事はなかった。


なんだこの人は?!!

ビックリしたのを覚えている。


言葉だけを繕う人はたくさんいるけれど

この方は言葉と考動に一貫性があって。

必ずスタッフが出勤したら

『おはよう!今日は元気ですか?^^』と、

とびきりの笑顔で挨拶してくれる。

自分の店(正確には旦那さんの店)だけれども

『働いてもらって当たり前、とは思ていない。働いてくれてありがとう。と思ってみんなに接している。』とよく、口にしていた事が印象的だった。

(もちろん仕事に対してはとても厳しい。でもその厳しさも、誰かを思っての行動があって。本当に温かい方だった。)


本当に尊敬しかなかった。

こんな人になりたい!!と一緒に働きながら思った。


スタッフそれぞれの事を考え、耳を傾け、

話をし。

皆のお母さんの様な存在だった。

(私もすぐに実家にいける距離に住んでいたわけでもなく、長男を若くに産みその後、仕事に没頭していた時期を経て、このカフェで働くことになったのでその6年ほどは頼る人もおらず、お母さんのような存在だった。)

仕事の価値観も似ていて同じような方向性を持っていた。

店をより良くしていきたい!と考動していくその過程。

働く仲間同士で同じ志を持ち、

店で働くという事はこんなにも楽しい事なのかぁ!と体感して感じさせてくれた方。

子育てでも先輩、

人生の苦悩でも大先輩で。

この方と、毎日一緒に仕事がしたくて働きに行っていた

と言ってもいいくらい、志が素敵な方だった。

もちろん

専属パティシェとしてちゃんと仕事もしていましたよ。(笑)


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↑スタッフの誕生日にはみんなでお祝いして。本当に幸せでした。


接客もやらさせて頂き、楽しく有難い日々。

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子どもが熱を出せば『すぐに休みなさい。後は任せて!』とこんな家族優先の優しさを頂いたのは初めてで(前職では昼間出れないなら夜勤で菓子焼いたりしていた)本当に有難い職場だった。(何回言うねん!ってくらい本当に有難かったのです)


前回の記事にもチラッと書いたけれど、

このカフェは美容室が経営しているカフェ。

実は何店舗も経営する美容室のカフェ一号店で。

このカフェも1階はカフェ。

2階は美容室。という変わったお店でした。

そして、

私が尊敬してやまない上司(オーナーの奥さん)も、

元美容師で。(今は引退している)

同業者がいない職場。

(のちに後輩が入ってきてくれるけれど)

こんな職場は滅多にないわけで。

だからこそ、学ぶことが本当に多かった!

朝『おはようございますー!』と、まず挨拶するのは美容師さん(笑)

必ず朝、アシスタントのスタッフさんが練習している。

毎日毎日、練習しているんです。(夜も)

華やかな職業やけれども、やっぱりその裏側は本当に地味で。

練習する後ろ姿はとってもカッコ良かった。

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よく、私もヘアアレンジして頂いたり、仕事終わってから教えてもらったり。(↑)

今までずーーーーーーーーーーーっと、

学費の借金を返す事やパン屋で粉まみれになって仕事をしてきた、

そんな私にとっては

暮らしを楽しむ。

オシャレを楽しむ。

仕事を楽しむ。

そんな事をここで教わりました。


独特な接客もとてもとても、好きでした。

美容師さんにとっては普通のことなのかもしれない。

けれど飲食しかやった事のない私には印象的な接客でした。

それは

今の焼き菓子屋そぼくな。が心がけている接客方法でもあります。


この美容室、2階が美容室なので終わったら

1階のカフェ(私の職場)でお客さんと美容師さんが降りてきて

ご飯食べたり、カフェの利用をしてくれるのです。

お客さんと美容師さんが、めっちゃ仲良いのです。


私自身、美容院に行って、

美容師さんとこんなに仲良くなった事が無いから不思議で。

それで一度、

美容師さんとお客さんの居られるテーブルにお料理を持って行った時、聞いてみた事があるのです。

『元々、お友達やったのですか?』と。

そしたら違うと。

けれど、

『10年以上○○さんに髪をお願いしているよ。』と!

その方は海外で仕事されていて、日本に帰ってきたら

この美容師さんに必ずお願いしているんだと。

(19歳の頃からずっと!)

そして、こんなお客さんが一人ではないのです。

何人もいるのです。

もうビックリして。

もちろん、カラーやカット、パーマ。。。

技術にもクオリティがある、けれども、

それよりも

『この人に会いに来ている!』が強い。

10年間ずっと、なんて頻度は少なくとも、その人の人生により沿っている。

その人の心の拠り所になっているんだ。

美容師さんの世界ってこんなんなん?!!と

めちゃくちゃ感動したのは今でも忘れない。

そして

その時に

私も店をするならば、日常の一コマではなく。

『食べ手の人生に寄り添えるような菓子を焼き届けよう。』

そんなことを薄っすらと頭の中で形成し、

そしてそのまま、

今の焼き菓子屋そぼくな。で心がけている接客の心得です。

(伝わっていたら嬉しいな。)

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そしてね、

この美容室、決して安くないのです。

平均よりもむしろ高い。

でも。お客さんはそのお店を目がけてくる。

これは後から上司(オーナーの奥さん)から聞いた事。

昔、美容室業界でも値段を下げるという価格競争があった、と。

けれどこの美容室は下げなかったんだと。


この仕事に誇りをもってお客さんと接している。

そしてスタッフ(美容師さんたち)にも、

ちゃんと誇りをもって仕事して欲しいからだ。

と。

ーーーーー

そんな想いがあるからこそ

美容師さんたちはいつもキラキラしていて。

お客さんに寄り添っている。

私はいつもカフェのカウンターで仕事をしながら

美容師さんとお客さんが階段から幸せそうに降りてくる、あの瞬間が好きで好きでたまらなかった。

ニヤニヤ、ニヤニヤしていたと思う(変なカフェ店員やったやろな)

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(いろんなSNSで使用しているこの写真も実はこのカフェでの撮影なのです。)

美容師さんって髪を綺麗にするだけではなくって。

その方の人生をより良くするお仕事なのだ。と。

そして、

その為には

オーナーがこの仕事に誇りを持ち

また、スタッフにも誇りを持ち。

そんな良い循環が店の雰囲気を良くし

それがお客さんに伝染するのだと。

だから、

みんながみんなとても魅力的で。

オシャレはもちろん、だけれど

魅力的な人って

魅力的な仕事の仕方って

こういう事か!と

ここで働かさせて頂いて学んだこと。


それまでは必死で必死で

悔しさと共に、ひたすら働いてきていたけれど

『ゆきちゃん、もっと楽しく生きよう♪』と上司に言われたように

本当に

楽しく、有難い、職場でした。


この職場と

この上司に

出会えたことは本当に私の人生での宝物で。

焼き菓子屋そぼくな。の源でもあります。


所詮、

焼き菓子屋にしたって

美容室にしたって

どの職業にしたって

その職業は手段にすぎなくって。

本来の目的は

その受け手側の人生をより良くしていきたいと想う事なんだと。

受け手側とはお客さんももちろんですが、スタッフや関わる人全て。



その目的は忘れないように。

自分自身も楽しむことを忘れずに。

その選んだ手段で

関わる人の人生をより良くしていきたい。


そんな事を考え出した

今から約2年前のこの時期でした。

そして今でも大好きな職場と上司です。

今でも結局1年に1度会いに行きたくなる魅力のあるお店です。

焼き菓子屋として目指したくなるお店。


さて。

そんなに恵まれていても、

自分のお店をやりたくなり。

その後、徳島にまで引っ越しまでする事になった

その後のお話はまた次回に。


読んでくれてありがとう。

#焼き菓子屋そぼくな

ゆ季


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焼き菓子屋そぼくな。ゆ季
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