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乾いた道

細く舗装されていない乾いた道に
シルクハットを被った男が
紺色の傘をさして歩いている
道の両側は枯れた芝の野原で
見渡す限り広がっている
道の先に
道の遠く先に
霧がかっている隙間から
一本の木が見える
太くて立派な木だ
男はその木を目指して歩いているのか
ただ歩きたいだけなのか
私にはわからない
厚い雲が空を隙間なく埋めて重い
冷たい風が悪戯っ子のように時々吹き抜ける
まだ雨は降っていない
それでも何故、男は傘をさしているのか
私にはわからない


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