蕎麦丸

詩を書くのが好きです。 洋楽の詩を和訳して楽しんでもいます。 和訳の間違いについてはご指摘下さい。 エッセイもたまに書いています。 よかったら読んで感想コメントを頂けると 嬉しいです。

蕎麦丸

詩を書くのが好きです。 洋楽の詩を和訳して楽しんでもいます。 和訳の間違いについてはご指摘下さい。 エッセイもたまに書いています。 よかったら読んで感想コメントを頂けると 嬉しいです。

最近の記事

Blue floor

血管が透けて見えてる? ここの、首筋の青い血管を あなたの2本の指で触って 脈打つのを感じて これがセイよ ワタシはこれよ 冬の地面を掘るにしても 反り上がった崖を登るにしても 素手と裸足 心配されたところで 氷はとけない だからこれがワタシよ これが彼女が僕に話したくれた全て 今、僕には青い床しか見えない

    • 美しさと疲労

      そして、私はあなたが美しいと知っている。 
そして、あなたも自分が美しいと知っている。 
みんなが言う、あなたはとても美しいと――
 美しい、美しい、美しい、美しい。 でも、彼らはこう言った、「疲れているみたいだね」と。
 あなたも、自分が疲れていると知っている。
 そして私は言った、「本当に疲れた」と。 疲れた、疲れた、美しい、疲れた。 それで私はレールを外した 
あなたが走るそのレールを。
 朝に沈む太陽、
夕方に昇る太陽。 あなたの頭も、私の頭も その軽さに壊されている

      • Tired and beautiful

        And I know you are beautiful. And you know you are beautiful. They say you are all beautiful— Beautiful, beautiful, beautiful, beautiful. But they said you looked tired. You know you are tired. Then I said, "I am so tired." Tired, tired, be

        • 底無し沼

          点数に拘る君は僕だ 煩悩まみれの麦わら帽子 底なし沼に手掛かりはない いっそ180度回転して 平泳で底を目指してみたくもなる ただ馬鹿な俺は 誰かが足を掴んで引っ張り上げてくれる 期待をしている 坐禅を組んで 底なし沼で浮沈み

          乾いた道

          細く舗装されていない乾いた道に シルクハットを被った男が 紺色の傘をさして歩いている 道の両側は枯れた芝の野原で 見渡す限り広がっている 道の先に 道の遠く先に 霧がかっている隙間から 一本の木が見える 太くて立派な木だ 男はその木を目指して歩いているのか ただ歩きたいだけなのか 私にはわからない 厚い雲が空を隙間なく埋めて重い 冷たい風が悪戯っ子のように時々吹き抜ける まだ雨は降っていない それでも何故、男は傘をさしているのか 私にはわからない

          乾いた道

          楓の葉っぱ

          楓の 大きな楓の葉が タクトを振るように舞いながら落ちてくる それは死者に捧げられる曲を演奏している 白髪の、痩せた指揮者が目を閉じたまま タクトを振る コンサート会場には普段着で来ている人や タキシードの人、着物や 野球のユニフォームの人 派手なラメのレオタードを着た ダンスチームもいる ただ、浴衣の人はいない 死を目前にした母が 落ちていく楓の葉を指差し 落ち葉の揺れに合わせて タクトを振る 涙腺が壊れて涙目の秋に

          楓の葉っぱ

          元気だったころは 空港に車で迎えに行き トランクを開けて 荷物を積み込み キーを回して いくよ、とバックシートに振り向いて アクセルを踏んで 鮮やかな風景の中に 車を走らせた 今はそれが出来ない 体は言うことを聞かず 力もなくなり 振り返るのも一苦労だ だけれども それは持ち回りで  寂しく、怖くもあるが 温かく優しい面もある 限られた時間を痛みや和らぎとして 僕は感じている 飛行機の下に広がる雲を 眺めるように 小舟が波に揺れる夜のように

          孤独な

          体の中が一人を求める 人が多すぎて疲れたな、と言う 何が一人を求めるのか 雨を求めるように 一人を求める 楽しそうな祭りの中に混ざって たこ焼きを笑いながら分け合っても センサーに引っかかるくらいに 誰かが気がついて気を使ってくれるくらいに

          ホワイト

          カーテンが揺れて 朝日がもれて 目覚めて白紙 何が起きたか 起きなかった 君は隣いない 僕自身すら怪しい それは随分前からだっけな 太陽が昇る前から 春が来る前から 話さなかったことは 何処へいって どこへ流れたのか 絵に描いてくれた風景が 君とのキスの思い出

          新芽

          君が海を渡り 波が残った 空を見上げると 月が出ていた 砂浜から カニが出てきた 屋台が店を開く準備を始めていた 高校生が自転車を歌いながら漕いで行く 風は冷たいけど その冷たさが心地よかった

          閉ざされた場所

          君も来たね ここに来たね 暗く閉ざされたドアの前に 出口のない狭い通路に あまりにも1人で、 酸素の重さにも肺が耐えられそうにもない 多分だけど、そこにはかつて誰かがいた 多分だけど、あまりにも1人になる場所に かつて誰かがいた 多分、同じように

          閉ざされた場所

          Dig deeper

          それを我慢してみると もう少し地面を深く掘ることが出来る 地面は深く掘れば掘るほど 抜けられなくなるかもしれない それは確かにそうかもしれない 深く掘った地面から空をみたなら それは雲が薄くかかった爽やかな空かもしれない 今にも雨が降りそうな 不機嫌な眼鏡屋のような空かもしれない そうかもしれない

          清潔な恐ろしさ

          0=♾️の世界に涙と愛を添えて バグったロボットに寧ろ温かみを 正確無比な表面が 裏面から胃袋を凍らせる 頑なに閉ざされた檻なら 斜めから下からすり抜ける オイルを身体に塗って ヌルヌル 亀が海を自由に泳ぐように ゆるりゆるり 素早さは素早さ のんびりはのんびり 一人一つなんてやめて 0=♾️の世界に涙と愛を添えて バグったロボットに寧ろ温かみを

          清潔な恐ろしさ

          グッドモーニング

          歯を磨きカーテンを開けて 朝が来たことを確かめる 庭の芝の露が希望のように輝いている コーヒー豆も調子がいい 腹の空き具合も健康的だ からしの効いた玉子サンドイッチに 新鮮な玉ねぎとレタスのサラダ 文句なしのグッドモーニング

          グッドモーニング

          ドアのある場所

          そこは見えないけど見ることが出来る 誰でもはいけないけど誰かがいた場所 孤独で寒くて薄暗くて錆た臭いがする 目の前の古びたドアには、つらい、と 書かれている 僕は座ってそのドアを眺めている 私も来たことがある、と ドアの向こうから誰かの声が聞こえる あーここに君もいたのかと僕は思う 誰かがいたと思うと、孤独が僅かに軽くなる 今いる場所の地図が豆電球で照らされる 誰でもはいけない場所に君はいたし 僕はいるし、まだ誰かがいる

          ドアのある場所

          白壁の向こう側

          顔のない男が硬く磨かれた靴の紐を結んでいる 時計の振り子は黙々と針を動かしている 働き者の農夫のように 時計の振り子はひとつひとつ確実に針を動かす 清潔なキッチンに朝の新鮮な日光が差し込み 空の冷蔵庫が息を吸い、息を吐く 顔のない男はアルマーニ のスーツを着て 真っ白な絹の清潔なハンカチを スーツの内ポケットに入れている 男はリビングのテーブルにメモを残している メモは裏返しで あなたも私も読むことが出来ない 顔の無い男は靴紐を結び終える キッチンの蛇口はしっかりと閉まってい

          白壁の向こう側