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稽古日記 11/28-29 笠木泉

11/28 
稽古。世田谷にて。稽古場が広い。やっぱり気持ちがいい。象の鼻テラスの空間を想像できる。みんなが伸び伸び稽古できる。やっぱり稽古場が欲しいな。夢だな。戯曲の構成を変えた部分を印刷していった。みんなに読んでもらう。即座に対応してくれる。ありがたい。意見を聞き、これで行こうと決める。いつだって決断が重要だ。でもその決断に甘えてはいけない。決断の先にまた決断。私は音が好きだ。声、音。3人の声や、体のしなやかさを見続ける。渡辺梓さんの響く声が好きだ。弦楽器のようだ。繊細で、低い。胸の奥で響くイメージ。水辺にいる動物をイメージする。静かな、でも、その確固とした目。そんなシーンをイメージした。橋本和加子ちゃんの声は、柑橘類のようなイメージである。香りの漂うような、私の気持ちを明るくしてくれるような、そんな眩しい声。鳥島明くんの声は、どこまでも優しい声だろう。どこか遠くに居ても、近くにいるような。そんな声に囲まれて、私の書いた言葉も喜んでいるであろうと感じた。この3人の声を聞いてほしい。演出助手とのちゃんが来てくれる。帰り道オリオン座を見つけたとのちゃんにしつこく星空解説をしてしまった。これだよトゥーマッチってやつは。私は星空オタクだ。ロマンもなにもない、88個の星座を全部覚えたり、星の等級を記憶したりと、まあ、ただただ基本オタク気質なのだった。「面白いです」と言ってくれるとのちゃんの優しさよ。稽古のこと、音楽のことを話す。衣装のタムナデ姉さんとLINE打ち合わせ。頼もしい。たくさんの方に助けられて、スヌーヌーの公演に向かっている。ビールを飲まないで3日。飲んでいる暇がないのか、余裕がないのか。飲んでもいいんだけど。

11/29
稽古。また別の世田谷。ここも広い。駅から近くていい稽古場だが、会議室の長机のたたみ方がわからず、困惑。会議室で稽古をするとよくある話なのかもしれないが、マジで、長机畳むの、難しいよねー!一週間みっちり稽古していると、自分の疲れを感じる。でもここでもう少しだけ手を伸ばし、考える。思考が停止しないように、常に運動し続ける。私が実験するかしないか、今までの方法で稽古を続けるかという判断を下す際、梓さんも和加子ちゃんも鳥島くんもいつも「やってみましょう」と私の背中を押してくれる。勇気をもらう。みんなも疲れているはずだ。休んでほしいと思いつつ、稽古をしている。休憩を入れよう。お茶でもしよう。そんな稽古場にしていきたい。シーンが進む。同じシーンをやり続けていると、前のシーンとのバランスや動線との連携がわからなくなってくる。長く見なければならない。それが演出の仕事だ。みんなを長く見続けることが私の仕事だ。夜、ウエストエンドスタジオでかみむら文庫「御社のチャラ男」を観劇。上村くんの演出、出演者のみなさん、本当に素晴らしかった。長いこと友人である上村くんの長い長い長い挑戦をずっと見てきた。その姿に勇気をいただく。私も頑張らなければならない。もっともっともっと、考えよう。疲れたって、悪夢を見ても、考える。それが48歳の私の現在地である。言葉が多い、言葉が足りない、戯曲より、俳優の身体、そこにあるものを。スタッフワークをする。チケットの販売状況を見る。あと二週間。みなさんに、お客様に出会えますように。少しずつ、いろんなことを。わたしの演劇をがんばります。





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