感謝
職場で知り合った友人に勧められた。
「モノを書く仕事とか1から何かを作る方があってるんじゃない?」
なんだか、そんな感じの言葉だったと思う。
URLは、このアプリだった。
ふぅん。
「日記みたいに、書いてみたら?」
ほぅ。
縛られるのが嫌な、自分勝手な私は確かに、そんなことをしながらお仕事できたらどんなに幸せだろうと考えたか。
新鮮な空気を肺に取り入れたみたいに、想像だけが膨らんだ。
でも、
書くって、そんな簡単な事じゃない。
ましてや、万人に向けて日記なんぞ。なんて、思いながら、つらつらと言葉を綴る。
私もまた、結局は、心の中で対峙する社会の人間と同じ部分を共有し合うのかと不本意に思いながら、ただそれも正しく、理解される表面の言葉こそが、その時の救いのマリアだったりするのかも知れない。
書いてみたかった。興味本位に友人の言葉を言い訳に手を伸ばした。
誰にも理解できない、理解されたくないこの自分の脳内をほんの少しでも誰かに共有出来たらと何度も思った。
今の状況は、特に何もなく、今の職場に就職した。言葉にできない学生時代を超えて、ただ就職した。訳の分からない職場に就いた。それでよかった。人並みに愚痴を言い、人並みに仕事をして、人並みにあーだこーだと恋をする。
ただ当たり前だし、当たり前すぎることかもしれないけど、しんどいっていうこの事実も、望んだ幸せの形だったりして。
なんて思いながら、今日も認識の異なる自分の意思で何も生み出せなかった時間の優越感に浸る。
何も生み出さないこの時間は、何も生み出せない自分を肯定する唯一の時間であり、自由だから。
それでいいは、それがいい。
そんな脳内の自分でなく、ただそれでいいと思える感覚だけを自立化し、日曜日の夜を終える。
言葉を紡ぐその時間だけは、音のない、言葉の世界で息をする。ただ、視線を外す。それだけに意味を持たせる。
あぁ、書いてもいいんだ。
読む側に選択肢があるだけで、私には何も迫られないこの時間だけが、自分を映し出す。
幸せを感じる。
誰かに会いには、あなたに会いに。
宙に浮いたあの感覚にも、いつでもお迎えしてくれるあの感情も。意識的信頼関係図を手に、また言葉を紡ぐ。
素直じゃない自分がおしゃれだと言う。
全く、悪意しかないこの世界に、一つだけあるとしたら、綺麗じゃなくていい、低い位置から体現しよう。
教えてくれた友人の、自分を分かってくれたようなそんな言葉さえも否定的で。でもきっと、何も得られないまま、欠けたまま過ごした4年間を埋めてくれる私には大事な人だと思った。
彼にはいつか言おう。
ありがとう、言葉を紡ぐ居場所をくれて。
そんな一言もうまく紡げないのは、きっと照れくさいから。
今日も当たり前のように、この街の一部のように、ただ言葉を楽しんで、電話しよう。
ありがとうを先延ばしにして、心がそばにいる時間が長くなりますようにと、気づかれないように。
そっと呟こう。
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