お正月には何食べる?、の話。
年末になると鏡餅やお餅がスーパーに並び、年始には鏡開きという行事もあるそうですが、私は餅をあまり食べないので違和感を持っていました。
もちろん好き嫌いの問題でもありますが、沖縄ではそもそも「餅をついて飾って鏡開きをして食べる」という習慣がなかったからです。
いつもの重箱料理
沖縄の場合、お正月・シーミー(清明祭)・旧盆でほとんど同じ内容の重箱料理を用意します。
主な材料は、三枚肉、島豆腐の厚揚げ、紅白かまぼこ、結び昆布、ゴボウ、沖縄てんぷら(具は魚やイカ)、餅などでしょうか。
旧盆では食べるまで仏壇にお供えしておく(ご先祖様に食べて頂く)事もあり、暑い夏でも傷んだりしないしっかりした味付けの物が多いのが特徴です。
シーミーではお墓の前で食べますし(これもご先祖様と一緒に食べるという意味があります)。
我が家では父方の祖母が管理していた仏壇を受け継いでいる事もあり、お中元やお歳暮はまず仏壇にお供えしたり、重箱料理を供えたりという習慣が出来ています。仏壇のあるお家はほとんどそうだとは思いますが。
皆で集まって食べる食事
先に書いた年中行事の際は、仏壇のある家に親戚一同が集まります。
大抵「ムートゥヤー(本家)」「ウエヌヤー(自分達より本家に近い家)」と呼ばれる家に挨拶がてら訪ねる事が多いです。
我が家は接待する側になるのですが、飲み物や食べ物(おつまみ)を用意します。大人にはビールをすすめる事もありますが、車で来る方も多いので最近はもっぱらお茶やさんぴん茶ですね。
そこで大人も子供も食べられる物として用意するのが、オードブルです。
内容はお店によって違いますが(大きさによっては予約注文します)、全国チェーンの飲食店が沖縄限定で販売していたのを見た時は驚きました。沖縄に溶け込んでる!
ちなみに、残り物は用意した家で食べる事になります。うちでも数日間野菜炒めにかまぼこが混ざっていたり、三枚肉が入っていたりしていました……。正直、飽きます。
伝統を無視した故の失敗談
ここで、私が「重箱料理にはそれなりに理由があるんだな……」と実感した出来事を書いておこうと思います。
食中毒の描写が出て来ますので、駄目な方は読まない事をおすすめします。
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大丈夫でしょうか。
まだ父方の祖母が元気だった頃の旧盆、父が重箱の替わりに握り寿司を買って来ました。いわく、食べるのは自分達なんだから好きな物を供えれば良いと。
しかし旧暦の7月は新暦だと8月頃、真夏です。さらに沖縄は1日のうちで気温の変動が少なく、朝から夕方まで暑いまま。窓はご先祖様が出入りするためとして網戸だけにしてありました。
そんな空間に生ものを置きっ放しにしていたら、どうなるか予想はつきますよね。
夜、お供えしていた寿司を食べる事になりました。私は元々魚介類があまり好きではないため、卵焼きを突ついたりしていたのですが。
祖母が嘔吐。
母は慌てて介抱。
パニックを通り越して固まる私と弟妹。
1人だけ満足げに寿司を食べ続ける父。
というわけで、救急車を呼ぶ騒ぎになってしまいました。祖母は当時80代後半だったはずですが、高齢故に当たってしまったんですね。
冷蔵庫などなかった時代から伝わって来た食事と生活の知恵を馬鹿にしてはいけない、と実感させられた日でした。
ちなみに私は、これがきっかけで生魚が食べられなくなりました。元々嘔吐恐怖があったのですが、それも酷くなってしまいました。
沖縄と日本のお正月料理の違い
話を元に戻します。
日本のお正月ではお節を用意したり、餅つきをしたり、お雑煮を食べたりするのが一般的かと思います(お雑煮は具や味付けの地域差が大きいとも聞きますが)。
しかし、沖縄では全く違うお正月の形があります。地域によっては旧正月の方が賑やかかも知れません。
伝統、気候、習慣、様々な要素が地域の年中行事を構成しているのだと実感しています。
ですので、うちの父のように馬鹿にしては駄目ですよ、本当に。
※画像は「みんなのフォトギャラリー」からお借りいたしました。ありがとうございました。
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