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受験指導の方法

 もちろん、受験指導にいろいろやり方はある。マンガのドラゴン桜も良いと思う。
 私のやり方は、泥縄式でスパルタ。教諭だった時からすでに、割とギリギリの時期に依頼されることが多かったので、そうなった。でも、あまりギリギリ過ぎても間に合わない。

 受験指導に必要な時間は、これまでの学習歴と関係している。こればかりは、会って話してみないとわからないので、受験指導を頼まれた時の、一般的なやり方を挙げてみる。

①希望校の過去問を解かせる。
②弱点を確認する。
③弱点克服のための問題集を分野別に探して、ノルマを課す。
④数冊仕上げたら、また過去問に戻る。
⑤過去問を時間制限内で解かせて、時間が足りないなら時短の方法を考えさせる。
⑥時間内で合格最低点を上回ることができるように更にブラッシュアップする。(ここまで行くと大抵、何をすべきかに目覚めて、すでに自走している)
⑦受験。

 ただし、①の前にすることが、実はかなりある。情報収集だ。希望校を決める時、いろいろ調べている人ならば良いが、現在は昔と違い、受験機会が何度もあり、しかも学部学科の大幅な改組がされて、しばしば親世代の常識が通用しない。本人が素直であればあるほど、保護者の影響が強く、用心が必要だ。

 今時、私立大学志望の人で、公募制の学校推薦を受けない人はいないと思うが、親世代は推薦といえば指定校推薦しか無かったから、3年生の11月12月の受験を想定していないことが多い。三十代ぐらい(ミレニアム世代ぐらい?)の、若い保護者なら知っているかも知れないが。
 基本的に、考えてもいないことは実現しない。当たり前だけれど。
 公募制推薦は、評定平均3.0〜3.2以上必要だが、現役生と一浪ぐらいまでが受けられ、一般入試より入試科目が一科目以上少ないので、科目数の負担に耐えられない人々に大変人気がある。

 ところで、呑気な高校生に、「いつから受験勉強を始めたらいいんですか❓」と尋ねられて、絶句することがある。
 実は、高校では、進学校ならば、入学時点から大学受験のためにコースが想定されて、カリキュラムや進度が考えられている。
 そうしないとカリキュラムや時間割が組めない。もし「理系と文系を分けるな!」と言われても、各大学の受験に要求されている教科科目の標準単位を並べていくと、毎日8時間目でも作れというのか、という状況になるはずだ。
 これは、1科目あたりの標準単位が多すぎるなどの、オーバーカリキュラムという問題もあるが、大学の専門的な授業に付いて行けるだけの必要な科目が、大学の学部学科によって、それぞれ全然違うことから来ている。理系科目と文系科目の両方を、生徒全員に対して、大学入学要件に叶うように高校側が時間割を組むのは、不可能だろう。

 そもそも文系の中でさえ科目選択があり、受験に影響する。例えば、私のように高校で世界史・地理選択をして日本史を取らなかった人間が、大学で文学部日本史学科に入るのは、教授に「君は非常識だ」と言われても仕方がない。
 つまり、オーバーカリキュラムが言われていなかったウン十年前でも、既に日本史・世界史・地理・倫理社会・公民を全て3年間で入試に対応できるだけのカリキュラムは、高校で組めなかった。だから、何かを選択肢から選んで、結果、その道に進まなければならない。

 そういう意味で、科目選択は、受験においてかなりリスキーな側面を持っている。

 たとえば、経済・経営学部は、文系に分類されるが、実際には数学が必要になる。
 また、家政学や栄養学は完全理系だ。看護・医療系も理系だが、若干特殊な選択になるので、医学部志望の理系とは別に看護・医療系のクラスやコースを作ることが多い。

 さらに医学系も、一昨年だったか、理系の先生に注意されたのだが、医学部入試では生物が必ずしも必須ではなく、物理・化学で受験可能だと言う。

 というわけで、何事もリサーチから始まる。受験生は、溢れるほどの選択肢があるように思わされるが、実際には、細い枝葉の先を分岐ごとに条件をつけられて、道なき道を行くはめになる。
 成功は、どれだけ早く、自分の適性と興味に合う大学を見つけて、その大学の出してくる条件を、どうやって揃えて行くか、にかかっている。
 それを高校一年生の時から分かっている人には、さほど受験指導は必要がない。そんなに悟っている人はあまり見たことがないんだけれども。
 つまり、結局のところ、受験指導は、自走できるように指導することなのだと思う。

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みゆ
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