大井競馬場、エンタメの殿堂へ──開催日以外も稼ぐ新戦略

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ニュースのまとめ

東京都競馬は、大井競馬場の再整備を進める。老朽化した厩舎や調教施設を外部に移転し、スポーツや文化イベント向けの大規模施設を新設。競馬開催日以外の収益を増やし、多角化を図る。ネット馬券の普及により競馬場の集客が減少する中、競馬ファン以外の客層を取り込む狙いがある。株主還元や地方財政への貢献のためにも、新たなエンターテインメント拠点としての成長が期待される。

ポイント1: 競馬場の収益モデル転換

競馬場は年間100日ほどの開催日に依存するビジネスモデルだった。しかし、ネット馬券が売上の85%以上を占める現在、現地来場者は大幅に減少。巨大な敷地を持て余している。これを打破するため、厩舎や調教施設を外部に移し、その跡地を活用してスポーツや文化施設を導入。競馬開催日以外でも収益を生む仕組みを構築する。競馬場の「遊休資産」を活かし、新たな価値創出を目指す動きだ。

ポイント2: 競馬だけでは成長できない理由

地方競馬は、開催利益を自治体に還元する役割がある。大井競馬の利益の一部は東京23区に分配され、23年度の総額は138億円に達した。特に足立区では、競馬利益を活用した奨学金制度が運営されるなど、財政的な影響も大きい。一方で、収益性を追求しすぎると「公営ギャンブル」の枠を超えられないというジレンマがある。公共性を保ちつつ、エンターテインメント施設としての競馬場の役割を拡大することが、今後の課題となる。

ポイント3: 投資家と自治体の狭間での経営戦略

東京都競馬は、都と特別区が出資する公的色の強い企業でありながら、東証プライム市場に上場する民間企業でもある。現在、投資ファンドのオアシス・マネジメントが8%以上の株式を保有し、資本効率の改善が求められている。一方で、都市計画公園としての制約があるため、無制限に商業開発を進めることはできない。このバランスの中で、大井競馬場を「競馬＋α」の収益モデルに転換することが、今後の経営の鍵を握る。

未来を読み解くヒント

競馬場の「非競馬」ビジネス化は、日本全国の競馬場にも波及する可能性がある。例えば、地方競馬場が音楽フェスやスポーツイベントの会場として利用されるケースも増えており、競馬場＝ギャンブルという固定観念が変わりつつある。また、今後はeスポーツやメタバースとの連携など、新たなデジタル戦略も考えられる。競馬場を「総合エンタメ空間」として進化させる流れは、今後の地方活性化にもつながるだろう。

この事例のマーケティング的な学び

大井競馬場の再整備は、「既存資産の新たな活用方法を見出す」好例だ。競馬場の本来の目的である競馬開催に加え、エンターテインメント施設を併設することで、新たな顧客層を取り込む。この手法は、テーマパークや商業施設にも応用できる。市場環境が変化する中で、既存のインフラを活かしながら収益構造を多角化する戦略は、多くの業界にとって示唆に富む。

キーワード解説: 競馬場のエンタメ化

競馬場は、かつてギャンブル施設としての側面が強かったが、近年は「エンタメ施設」としての価値が注目されている。ナイター競馬「トゥインクルレース」やイルミネーションイベントなど、競馬以外のコンテンツを充実させる動きが進む。海外では競馬場を商業施設やレジャー施設と統合するケースも多く、日本でも今後、より複合的な活用が進むと予想される。

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