使用済み紙おむつ再生へ　住友精化が挑むリサイクルの未来

2025年1月23日 08:30

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住友精化が使用済み紙おむつの吸水材「高吸水性樹脂（SAP）」を再生する技術を開発しました。この技術は、不純物を徹底的に除去し、衛生面をクリアした再生SAPを作り出します。年間5000トンの回収を目標に掲げ、社会問題化している紙おむつ廃棄物の削減と水平リサイクルの実現を目指しています。

紙おむつに含まれるSAPは、し尿を閉じ込める特殊なポリマー構造を持ちますが、これがリサイクルの障壁でした。住友精化は、化学的な分解技術を活用してポリマーの結合を解き、不純物を取り除く方法を開発。この再生SAPは衛生面の懸念がなく、再び紙おむつや他製品に利用できます。

日本では、使用済み紙おむつが一般廃棄物の約5.2%を占め、2030年度には6.4%に増加すると予測されています。特に高齢化による大人用紙おむつの需要増が背景にあります。リサイクル技術の普及は、廃棄物処理のエネルギー削減や環境負荷の軽減に貢献します。

リサイクルには、回収体制の整備が不可欠です。住友精化は主に介護施設や医療機関からの回収を想定していますが、家庭からの回収には自治体や住民の協力が必要で、課題も多いです。他社ではユニ・チャームが鹿児島県で回収ボックスを設置する事例があり、高齢者の使用量の約6～7割を回収する成功例があります。

紙おむつのリサイクル技術は、環境問題の解決と地域の協力を促進する新しいモデルケースとなる可能性があります。自治体や企業、消費者が連携することで、リサイクル意識の向上と効率的な回収システムが構築されることが期待されます。

「水平リサイクル」
使用済み製品を回収し、同じ製品に再生するリサイクル方式。素材の循環利用を実現し、環境負荷を大幅に削減する効果があります。

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