評価の季節(評価者の観点から)
評価の季節がやってきた。
私もマネージャーの端くれなので、この時期は部下の評価でかなり忙しい。
好きな人はあまりいないと勝手に思っているが、私はこの評価の仕事が一番嫌いだ。
他の組織のことを考えず、自由に評価点をつけていいのであれば半分くらい負担は減るのだが、私の属している会社では、点数のすり合わせが行われ、点数調整がなされる。
私の中では、評価の最大の目的はメンバーの意欲を高めることだと思っているので、必ずしも「正しい」評価をすることは最重要事項ではない。
しかし、どうしても組織内のバランスを取る必要があるため、公平な評価にする必要はある。
私のグループは、定量目標と定性目標の両方を持っている。定性目標では、とある課題に対して課題分析と原因の深掘り、対策の検討・実施を行うことが設定されることが多い。
この定性目標の評価というのが難しい。
目標設定時に成果物、スケジュール、品質、それぞれの観点で達成基準を決めるのだが、品質の定義が難しい。
例えば、課題・原因分析の深さや、対応策の実効性や蓋然性、インパクトの大きさ・影響範囲を品質の要素としているが、どうしてもこの評価は主観的になる。(マネージャーによっては形にしただけで達成にしてしまう人もいるが、こうなるとほとんどの人が高評価となり、点数がインフレしてしまう)
さらに、公平性を保つ範囲によってかなり難易度が変わる。私は今15人の部下を見ているが、この範囲で公平な評価ということであれば、そこまで難しくない。(いや難しくはあるが不可能ではない、というのが正しいか。。)
これが部全体となり会社全体となると、一気に難しくなる(というか不可能に近い)
私が関わるのは、部長と各グループのマネージャーで行う部全体での個人評価のすり合わせまでだが、公平性を保つには無理がある。
なぜなら、各グループのマネージャーは、他グループのメンバーのことをそこまで知らないし、部長も70人くらいいるメンバー一人一人のことを事細かには把握できないからだ。
こうなると各メンバーの象徴的な出来事を思い出して比較するか、「アイツの方がよく頑張った」というような感覚的な評価になりがちだ。
今のところ、この構造的な問題を解消するにはマネージャーレイヤーに評価基準の共通認識を作るのが最も現実的に思う。
そのためには、他グループの仕事においても何がどの程度難しいのか?どのようなインパクトを生むのかといった理解が必要だ。そして目標設定の段階で、各グループメンバーの目標の難易度を合わせておくのが好ましい。
あとはできる限り目標を定量化することだが、これも現実的には難易度が高い。
とある数字を上げるための活動が他の数字を下げてしまうというケースが多々あるからだ。(例えばWEBマーケにおいて流入数を上げるためにインセンティブを付与するキャンペーンを行えばCVRは落ちる)
逆に他の数字への影響を抑えるために、より本質的な指標をKPIとすれば、直接的にコントロールできない指標がKPIとなってしまう。
結果的に評価の質を上げるには、マネージャーレイヤーの他グループの仕事や人の理解というのが最も大切なのだろう。
評価の質に悩む人事の方もこの点に着目すると良いかもしれない。