「忘れ物はありませんか?」/兎の中の人
朝から雨の日は憂鬱である。
通勤が徒歩なのもあり、職場に着くころには服も靴もびしょ濡れで気分が落ちているとこからスタートになるのも良くない。
仕事を始める前に気分はどん底だ。
いっそ、「雨が降っているので仕事に行かないでござる!」と、雨の日休暇を申請したいと思うくらいだが。
……そんな都合のいい休暇申請なんぞできるはずはないが。
なら雨が降っても気分を上げる装備が必要だろう。
RPGでも新たなダンジョンに挑むにはそれ相応のいい装備が必要なのと一緒だ。
そんなわけで、5月に入ったあたりでテンションが爆上がりするような傘をゲットしてきた。
基本ワンコインで収まるような傘しか買わない私にしたら、そこそこ奮発した傘だ。
ビニール傘でありながらも虹色グラデーションが美しく、傘をさして空を見上げれば色どり鮮やかなキラキラな空が見える。
そんな某しまむらで買ったとは思えな……いや、お店はともかく素敵な傘なのだ。
これで梅雨入りしても憂鬱にはならないぞ!
むしろ雨の日が楽しみだ!
そう思って何回か使っていた矢先の出来事だ。
雨が止むときは本当に気をつけなくてはいけない。
気を付けなくてはいけなかった……。
傘をうっかりとある場所に置いてきたのだ。
場所はちょっと言えないが、例えるなら……
軽度の猫アレルギーのくせにどうしても可愛いぬこちゃぁんに触れたいがために行った2駅先の猫カフェでツラい思いをしながら楽しみ、今日は楽しかったなぁと鼻水たらし息ゼイゼイしながら電車に乗ったところで傘を忘れたことに気付いた感じだろうか。
……例えが長い。長い上に分かりにくい!
ちなみに私は猫アレルギーではないので、アレルギーの人からはそんな簡単なもんじゃないと苦情が来るかもしれない。
素直に謝ります。申し訳ありません。
私はおそらくオイスターアレルギーです。牡蠣食うとお腹を壊し、しばらくトイレとお友だちになります。
ただ幸いなことにその傘に気付いてくださり、預かっていた方がいらっしゃった。
おかげで梅雨に入る前に傘を取り戻すことが出来たのだった。
しばらくは、その大先輩に足向けて寝れないであろう。
まぁ、これで全て万事解決……と、なればよかったが……
実はまた忘れ物をしてしまったのである。
いつも使っていた3色ボールペンとお気に入りのバインダー。
さらにいうとレッスンで使った資料一式だ。
あのボールペンとバインダー……私の中ではかなり重要な装備品だったので、またしてもテンションが下がりまくりだ。
ついでも大先輩からも「また!?」と、思われているに違いない。
ナニソレツラッ!
……雨の日だけでなく、普段から注意しよう。
帰る前には「忘れ物はありませんか?」と、何度も確認すること。