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【読書記録】深夜特急3:雑踏の国インド、文面から漂う生々しさと生活の営み臭さ

どうも、一休誰絵です。
前回と引き続き、読書記録を付けていこうと思います。前回投稿したアルケミストの前・前々回に投稿した君の膵臓をたべたいの前に読了したものになります。なぜ、今……ということは、後で言及したいと思います。

文面から漂う生々しさ



今回読了したものは、深夜特急3ーインド・ネパール。


深夜特急2では、バックパッカーの聖地・バンコクに行くものの、思ったような手応えがなかったというお話でした。これは、香港での刺激的な生活と比べて…ということでもあるかと思います。

しかし、今回の深夜特急3、インド編は香港同様の刺激的な生活をすることになるのです。

ちょうど筆者がバックパッカーをしたのが1970年代前半ということで、何と50年近く前の話!私の両親がまだ赤ちゃんの時です。とくにこのインド編では現代とかなり違い、まだまだ貧しい国、都市でさえも牛が歩き、売春なども当たり前のようにあったそうで。

ここでバックパッカー憧れの(?)値切りとか、野宿とか、諸々するように。まるでバックパッカーの洗礼を受けているようでした。

一方、インドの農村地域での子どもたちとの戯れの場面も。孤児院にいた子どもたちと遊んだりしていたのですが、今までの刺激はどこへやら、ゆったりとした時間が流れていたのも文面から伝わりました。

その後ベナレスにも行き、ガンジス川で沐浴をする人々、死体が焼かれてるところ、死体が海に投げ出されているところを眺めます。そこで人生に対する達観したものを持ったようでした。

あっけなく焼かれ水中に沈められる人々、農村地域での孤児

私は、この農村地域での子どもとの交わりとベナレスでの場面が対照的に映りました。

どうせ、人間もタンパク質と菌でできているだけ

もしその当時に私がベナレスに向かい、数々の死体が焼かれ水中に沈められた様子を見たのならば、死んだ人間の肉体に対し、「かつては心臓が動き、血が流れていてたのか」とつい最近までの生命を感じてしまい、ギョッとしてたのではないかと思うのです。

その一方、あっけなく生命が閉じたことに対する一種の「諦め」という達観も持つのではないかと思います。今を生きる身からしても、そろそろ持たないと行けない感性ですが。

もしそういう思いを持つならば、かつての、自身の生命や環境を守るべく、どうしても自己保身に走ってしまったことに対する葛藤も生まれると思うのです。

今の私も例外なく、自己保身に走っているのではないかと不安に思うことも多いのです。これから、そういう自己保身に走りそうな時は「どうせ、人間もタンパク質と菌でできているんだ」と思うようにしたいと、この本を読んで思いました。

だけど、人間にも思考があり言葉を話す

人間の達観に対する一方で農村地域での孤児との関わりも印象に残っていました。子どもをはじめとした人間も、ただの命ではなく、思考を持ち、心があり、言葉を話します。

筆者は農村地域で暮らす子どもの中で、カースト最下部で差別を受け、裕福ではないけれど、家族と陽気に暮らす様子を見ます。一方で親のいない孤児たちが、孤児院での生活で他の子どもと仲良くなり始める様子も見て、「外に対する好奇心を持つ」という孤児院が果たす役割も感じたそうです。

最近は、コロナが収束しているのか専門家の間でも意見が分かれるようですが、少なくとも人との交わりに関して考えさせられた期間であったなと思います。その中で、やはり人とのつながりなしに生きていくことはできないなと感じています。

そんなことを思い出しながらこの話も読んだという、感想でした。

ところで、読了から期間が空いてしまったのは…

実は、少し実験をしてみたかったのです。普通の読書感想文だと読了直後に書かないと内容を忘れてしまう!と思い、私も当然ながら読了直後につらつらとつけていました。

しかし、一冊の書籍に入っている情報量はかなり膨大で、自分の場合だと書くことでさらに思いが発散してしまう傾向がありました。

だから、読んでしばらくしたあとに自分が印象に残ったものはどこなのか、と探り、その一点集中で感想を掘り下げてみたいと思い、今回の実験に至ったわけです。

感想としては、結構難しかったです。思い出すのにも一苦労だし…間に2冊挟んだのがいけなかったのかもしれませんが。だけど、確かに深く掘り下げることはできたかなと思います。その掘り下げ方が、自分の生きていった20数年間という短い間で悟ったものを関連付けさせるといった感じです。いいのか悪いのか…

今度は、せめて間に1冊挟む程度でいきたいと思います。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。






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